スランプを克服する一番の方法はやっぱり曲を作ること

ナカジマノブ(Vocal&Drums)

ナカジマノブ(Vocal&Drums)

――コンスタントにアルバムをリリースしていますが、みなさんはスランプとかあるのでしょうか

鈴木 ある意味、僕は常にスランプみたいなものだけど(笑)

和嶋 大きな意味でのスランプはなかったかも知れないですね。その時々の曲によってはありますけどね。全く作れなくなるってことはなかったね。

――25年以上のキャリアになると、アルバムも3〜4年置きぐらいというバンドも多いですが

和嶋 うん、だんだんスパンは長くなるよね。でも、スランプを克服する一番の方法はやっぱり曲を作ることなんですよ。作曲って特殊な感覚なので一回やめちゃうとこのフィーリングを忘れてしまうので。なので、やめちゃうとスランプになるかもしれない。常に作ってきたからやれてきたんじゃないかな。駄曲、名曲、色々ありますけど、作り続けていれば良い曲は絶対出来る。だから自分たちは活動休止とかしないようにしてきたし。

ナカジマ 和嶋君と研ちゃんは一緒にいる時も、曲を作る時もいつも刺激し合っていますね。お互いの曲を聴くことでリスペクトし合っている感じですね。スランプというよりも和嶋君がちょっと苦しくなってくると研ちゃんが曲を持ってきて、その逆もありつつみたいな。なので、スランプとか感じることないんじゃないんですかね。

――長年培ってきたコンビネーションが素晴らしいんですね

和嶋 実際、それもありますね。

ナカジマ ずっと進み続けて26年、27年という期間がそうだったからキープできたんじゃないですかね。

――その長いキャリアの中で1度メジャーを離れてインディーズに戻って出したアルバム『踊る一寸法師』(編注=95年発表の6枚目のアルバム)を以前、ターニングポイントに上げていましたがそれはなぜなのでしょうか

和嶋 自分たちの目的がレコードデビューすることではなく、ロックをやりたいんだということと、契約を切られても活動はしていくという確信を得られたアルバムなんです。どんなことをしても続けていくという気持ちになれたのがこれだった。

――確固たる決意が封じ込められたアルバムなんですね。ファンから再販を望む声も聞かれますが?

和嶋 自分たちも出したいとは思っています。

ギター談義、弦の人、ダウンチューニング

鈴木研一(Vocal&Bass)

鈴木研一(Vocal&Bass)

――鈴木さんは新しいベースを手に入れたようですが

鈴木 今まで使っていたイーグルベースが不調でデッドポイントが出ちゃって。それで、ネット(通販)で、代わりのイーグルベースを買おうかなと思ったんですけど、凄くカッコ良いモッキンバードを発見してしまって、次の日に買ってしまったんです(笑)ネットで売っていたけど、売主のところまで行って買ったんですよ。

――イーグルベースはメインから降格?

鈴木 いや、イーグルベースは今、長いスパンの修理にいっています。それで、デッドポイントを移動させる方法とか聴いたんですよ。それを移動させる重りが売っていまして、ファットフィンガーっていうんですけどそれも買いました。

――ヘッドに挟むやつですよね。あれってデッドポイントが移動するんですか

鈴木 そうなんです。よく使うフレットじゃないところに移るみたいなんです。まだデカイ音で試してないからわからないんだけど。

――ファットフィンガーってサスティーンを伸ばすためのアイテムだと思っていました

鈴木 一応サスティナーって書いてあるんだけど、それ目的で買う人は少ないみたい。

――では、和嶋さんのアルバムでの使用アンプは?

和嶋 マーシャルですね。いつもと同じ1987です。いつも通りのセッティングが良いと思うんですよ。そこはあまり冒険しないほうがいいね。

――それが人間椅子らしいサウンドってことですよね

和嶋 そうそう。その音が好きで出しているわけだから、そこはあまり変えないほうが良いだろうと。壊れたら変えますけどね。

――マーシャル一筋な和嶋さんですが他のアンプを試したりとかは?

和嶋 仕事で試す機会はあるけど、(自分には)違うなと思うんですよね。結局マーシャルの音が好きなんですよね。

――チューニングも主にレギュラーと1音半下げですか?

和嶋 そうですね。

――人間椅子といえばダウンチューニングのイメージがありますが、1音半下げはいつ頃からやり始めたのでしょうか

和嶋 2ndアルバムからですね。ダウンチューニングは皆がやり出す前から割とやってましたね。

――弦はやはり太いのを張っていたのでしょうか?

和嶋 いや、その時は普通の弦を張っていましたね。ブラックサバスの最初の頃もそんな感じなんですよ。

ニューアルバムでの新しい試み

ニューアルバム『怪談 そして死とエロス』(初回盤)

ニューアルバム『怪談 そして死とエロス』(初回盤)

――ニューアルバムでの新しい試みは?

和嶋 いつも以上にプレイ的な面で工夫をしましたね。先程出た三味線風のサウンドみたいな小技をてんこ盛りにしましたね。例えば「眠り男」でスクラッチ(ギターの弦をピックで擦る奏法)を入れているんですけど、映像的に眠り男の棺桶のふたが開くイメージで入れたんですよ。歌詞がなくても音で表現したりしました。

鈴木 僕は今までベースはマイク1本で録っていたんだけど、今回は久々にライン(マイクを使用せず直接ミキサーに接続し録音すること)も使っていますね。マイクで拾った音にラインの音を足してミックスしています。試したら良い感じにミックスされて良かったんだよね。ラインの音も入れた方がベースの音の動きがわかって良いのかなと思いました。

和嶋 これは新しい試みですよ!(ライン録音を)ずっと拒んでいましたからね。なので、今回のアルバムはベースの音が大きいです。ベースがハッキリ聞こえて良い。

――ラインの音を取り入れた恩恵ですね

鈴木 エンジニアの人の腕が上がっているというのもあると思いますね。自分たちはずっと同じ人とやっていて、毎年毎年上手くなっていくんだよね。ミックスの音の傾向も毎回変わるし。

――歌での新しい試みは?

鈴木 キーを高くしてみたことかな。普段は低い声で歌うのが得意で、低いキーの曲をたくさん作ってきたのだけど、今回は敢えてライブ用に高いキーの曲を増やしました。出なくて次の日に歌い直したのもあったし(笑)レミー・キルミスター(モーターヘッドのベーシスト 享年70歳)みたいにしたいと思って「地獄の球宴」は自分の声が出るギリギリの高さにしましたね。

――「地獄の球宴」の歌詞の“生首”はインパクトありますね

鈴木 これは、“生首”を僕と和嶋君でキャッチボールするというコンセプトなんです。和嶋君は“生首”って16回歌わなきゃいけない(笑)

和嶋 これ大変でしたよ、ただ“生首”って言うんじゃなくて“生首”の表情を出さなくちゃいけないんですよ。

――細かいですね!ではナカジマさんの新しい試みは?

ナカジマ スネアドラムを新しい物にしてみました。

――どのメーカーの物にしたんですか

ナカジマ 昨年末でお店を畳んじゃったんですけど、千葉県の柏市で「アメリカングルーヴ」というドラム専門店をやっていたオーナーがオールハンドメイドで作ってくれた物なんです。なのでメーカーはなくて「EBANA スペシャル」という完全に一点しかないオリジナルのスネアですね。彼は人間椅子のライブをいっぱい観てくれていて俺のプレイを観て、音を聴いて、俺に一番合うであろうスネアを作ってくれたんです。凄く分厚いウッドで、材料をアメリカまで行って選んできた物を削り出して作ってくれて。

――サウンドも以前のものとは全然違うんですか?

ナカジマ 音の立ちが全然違って、存在感がある音になっています。「泥の雨」だけレコーディング時期が違かったので使っていないんですけど、他の曲は全部このスネアです。

――リズム面では?

ナカジマ 「菊花の数え唄」の中間部のシャッフルの部分が、僕が入ってから初めてやったリズムパターンだったんですよ。人間椅子に加入して12年間で「一度もやっていないリズムパターンが初めてここに出てきた」って和嶋君に話して大喜びだったんですよ。新しい試みというか新しいパターン(笑)まあ世界的には昔からあるパターンなんですが、人間椅子としては初めてのリズムですね。

ロックレジェンドの他界で思う事

――最後にアルバムが生と死というテーマなのでお聴きします。昨年末から、今年にかけてモーターヘッドのレミー・キルミスターさん(享年70歳)やデビッド・ボウイさん(享年69歳)、更にイーグルスのグレン・フライさん(享年67歳)までもが亡くなってしまいました。ロックレジェンドの方達が相次いで亡くなったことで、何か考えたことはありましたか?

和嶋 悲しいですね。でも、いずれ皆に訪れることでもあるので…。彼らは現役でやり続けてきたわけですよ。デビッド・ボウイも病気だったけど、アルバムをちゃんと作っていたし、そこをリスペクトしたいですよね。亡くなった方たちを観て生涯現役で行きたいと改めて思いました。それがやっぱりカッコ良いロックミュージシャンの生き方なんだなと教えられた気がします。

――では人間椅子は生涯現役ですね

和嶋 病気になってもやりますよ!

(取材・村上順一)

作品情報

ニューアルバム『怪談 そして死とエロス』(通常盤)

ニューアルバム『怪談 そして死とエロス』(通常盤)

「怪談 そして死とエロス」2016年2月3日 (水)発売
初回限定盤(CD+DVD) TKCA-74333/4000円(税込)
通常盤 CD TKCA-74337/2900円(税込)

▽収録曲全12曲
01.恐怖の大王
02.芳一受難
03.菊花の数え唄
04.狼の黄昏
05.眠り男
06.黄泉がえりの街
07.雪女
08.三途の川
09.泥の雨
10.超能力があったなら
11.地獄の球宴
12.マダム・エドワルダ

▽DVD収録内容全5曲〉
阿呆陀羅経/ねぷたのもんどりこ/ 夜叉ヶ池/黄金の夜明け/見知らぬ世界
(2015年7月24日に渋谷TSUTAYA O-EASTで行われた『屋根裏の散歩者~「現世は夢」ライブDVD発売記念ツアー~』のライブより)

ツアー情報

タイトル『怪談 そして死とエロス ~リリース記念ワンマンツアー~』 全15公演
2016年
2/19(金) 大阪心斎橋 BIGCAT
2/21(日) 四国高松 Olive Hall
2/23(火) 熊本 B9 V1
2/24(水) 博多 DRUM Be-1
2/26(金) 名古屋 Electric Lady Land
2/29(月) 広島 CAVE-BE
3/1 (火) 神戸 Chicken George
3/4 (金) 仙台 enn 2 nd 
3/6 (日) 青森 Quarter  
3/8 (火) 宇都宮 HEAVEN’S ROCK
3/11(金) 札幌 cube garden  
3/13(日) 盛岡 CLUB CHANGE WAVE
3/14(月) 秋田 Club SWINDLE
3/16(水) 千葉 LOOK 
3/19(土) 赤坂 BLITZ  

チケット絶賛発売中。
3/19の赤坂BLITZ公演のみ、2/7より一般発売開始。

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