桐谷健太の堂々とした音楽パフォーマンス

『TOO YOUNG TO DIE!』の完成披露試写会に出席した桐谷健太

 【取材雑感】13日、都内で行われた映画『TOO YOUNG TO DIE!』の完成披露試写会に、俳優の桐谷健太が、共演の長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子、森川葵、清野菜名と、宮藤官九郎監督らとともに登壇、舞台挨拶を行った。

 映画『TOO YOUNG TO DIE!』は、不慮の事故で突然の死を迎え、地獄に落ちたある一人の男子高校生が、閻魔大王の計らいで生還のチャンスを得て、ロックバンドを率いる鬼の特訓と共に生き返りを目指す様を描いたコメディストーリー。

 ストーリーにある「ロック」というキーワードの上、Charや野村義男、マーティー・フリードマン、ROLLYなどの豪華ミュージシャンもゲストとして登場。さらに映画の音楽はZAZEN BOYSの向井秀徳が担当、主題歌「TOO YOUNG TO DIE!」はMAD CAPSLE MARKETSのKYONOが担当するなど、制作陣に到るまで、隅から隅までロックな作品になったという印象だ。

 監督の宮藤官九郎も、ロックバンド「グループ魂」のギタリストとして活躍。映画作品の中でも、とあるパンクバンドにまつわるストーリー『少年メリケンサック』を制作するなど、制作の中でも非常にロックに込めた思いの深さを匂わせている。

 さらにこの作品でメインキャラクターを務める長瀬も、アイドルという側面を持ちながら本格的なサウンド、パフォーマンスで支持を集めているTOKIOのメンバーとしてメインボーカルを担当、タレント、俳優と活躍する一方で、ミュージシャンとしてのキャリアも申し分ない人物であり、この映画にはまさにうってつけのキャラクターともいえる。

 一方の作品中で、また違った視点で見所を作っているのが、桐谷。本来、数々の有名な映画、ドラマに重要な役柄として出演、活躍を続けているため、どうしても俳優という面にフォーカスが集められがちだが、この日の舞台挨拶では、長瀬から「au」のテレビCMで浦島太郎“浦ちゃん”役の桐谷が歌った「海の声」や、ラップのプレーを煽られるなど、再三の無茶振りを受け、少しウンザリした表情をしながらもしっかりとその投げかけに応じていた。特にラップの方はその歌い込んだ詞のストーリー性、韻の踏み方など、あてずっぽで作ったものとは思えない完成度を見せていた。

 そもそも桐谷自身も高校時代よりロック少年であり、プライベートでもドラムをプレー、かつて映画『ソラニン』に出演した際にもドラマー役で出演している。ラップについても以前、桐谷が出演した映画『BECK』で、映画のシーンであるラップ・ボーカル部分に関し、監督と原作者にビデオレターで直訴、自身の声を収録したという経緯がある。昨年、CMで頻繁に放送された「海の歌」も、CMのための楽曲としてはそのクオリティの高さも評価されており、パフォーマンス力は申し分ない。

 「海の歌」は、CMの一構成要素であるという事実を飛び越え、歌番組で生演奏も披露されるなど、大きな評価を得ている。そんなところからも、桐谷の一面にはキラリと光る音楽的素養を感じる。だからこそ、彼のこれまでそのキャリアに、音楽的な方向がないのは非常にもったいない気もする。

 あくまで俳優という立場を重視しているのだろうが、俳優の仕事の中で積み上げたキャリアも、彼の音楽にはさらに深みを与える要素もあるのではないだろうか。当日のいきなりの無茶振りにも堂々としたパフォーマンスで返した様子からは、例えば桐谷の音楽的な面がもっとフィーチャーされる場所があっても面白いのではないか、という所感を得た。(文・桂 伸也)

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