この日のツアー最終日はINKTにとって大きな意味を持つであろう

この日のツアー最終日はINKTにとって大きな意味を持つであろう

 【ライブレポート】KOKI(田中聖)率いるロックバンドのINKT(インク)が4日、全国ツアー『Re:birth of INKT TOUR FINAL』のファイナル公演を、東京・渋谷CLUB QUATTROで開催、全17曲を熱唱した。12月から全国8カ所を回ってきた。ツアー最終日は、INKTの「第2章」を告げるに相応しく、アコースティックによるしっとりした曲なども披露、新たな音楽性を提示した。また、結成以来ともに歩んできたキーボードのkissyがこの日をもって脱退することを発表。KOKIは「これからも5人を宜しく」とメンバー最年少の“末っ子”を送り出した。なお、KOKI、そしてkissyが終盤で語ったMCは重要な内容であると捉え、ほぼ全文掲載した。(取材・木村陽仁)

新たな魅せたもう1つの“INKT音楽”

KOKI

KOKI

 終演からこの日を振り返れば、所々に“その節”はあった――。ヘヴィーサウンド主体の“INKT音楽”に、叙情的なサウンドというアクセントを奏でていたkissy(Key)の脱退。KOKIはアンコールで「これからも4人でINKTを続ける」と宣言した。となれば、kissyの脱退は、おのずと“INKT音楽”の変化を意味する。そして、その変化はライブ中に見られた。例えば、アコースティックギターの導入など。「これからがINKTの第2章」と叫んだ4人の真意がこの日、随所に見られたのである。

 劇場型サウンドの始まりは、暗転して鳴るSE。青いライトが事忙しく点滅を繰り返す。その照度は突き刺さる様に眩しい。その合間を縫って人影がステージに現れる。歓声が上がるのと同時に、ファンお馴染みのメロディが流れる。「ラストだぞ! 東京! 最後まで盛り上がっていこうや!」というKOKIの叫び声を合図に、激しいサウンドが地響きをあげて送り出される。「Fight for freedom」。

 荒れ狂うステージ。それはフロアも同様だった。興奮に満ちた場内は理性と感情の狭間で渦巻き、それを更にかき乱すように、kissyのキーボードが叙情感を与える。疾走感を伴った楽曲は送り出される度に興奮の度合いを高めた。そして、KOKIも自身の胸ぐらを掴み、鍛え抜かれた胸筋を見せ、髪を荒々しく掻き上げて「おまえら準備はできているか! おまえら頭振れ!」とヘッドバンキングを促す。Kei(G)のディストーションが更に煽る。

 落ち着かせるようにKOKIがMC。「あけましておめでとう! あけおめ!」。激しいサウンドとのギャップもファンをくすぐる。「12月のツアーでたくさん各地を回って東京に帰ってきました。皆さん盛り上げっていますか! 楽しんでますか。たぶん俺らの方が楽しんでいるから」と笑み。「今日はツアーの集大成。全く同じ事やってもしょうがない。なので新曲を用意しました。踊れるような曲だから、適当に身を揺らして自由に動かして」と、新曲を披露した。

KOKI

KOKI

 SASSY(Dr)とkissyがリズムを作る。これまでのへヴィーサウンドとはまた異なるダンサブルなナンバー。5弦ベースのmACKAz(B)がチョッパーでリズムを跳ねさせる。Keiもクリーンで決めたかと思えばディストーションを利かせて変化をつける。ここにも彼らの“進化”が見られた。

 曲終わりにKOKIが問いかける。「新曲どうよ! 今までのINKTにない楽曲だったけど、これからはお馴染みのいくぜ!」。ここからは再び“アウトバーン”の本線に入る。「A Whole New World」はギターカッティングでグルーヴィーな雰囲気を作り、情緒的なサビが入る。向き合い奏でるKeiとmACKAz。疾走感が増す。mACKAzの“独奏”を挟んで「Shangri-La」で昇天した。

 呼吸を整えるようにここで再びのMC。ツアー中の出来事や年末の事、地元の事など他愛もない話が続く。ファンから投げかける質問にも笑顔で応える。そして、少しトーンを変えて「2016年第2章のスタートかな。新たな試みにもチャレンジしようかと」と言って、初のアコースティックコーナーへ。まずは「ずっと」。

 青く照らされるステージ。Keiはエレキギターからアコースティックギターに持ち替え、アルペジオで優しい音色を奏でる。そのフレーズにのるkissyのキーボード。KOKIも奥深くそして優しく歌い上げる。これまでとは異なる空気感。床から伝われる冷たい空気と青い光は夜空を演出しているようだった。しっとりと聴かせた。KOKIは「音楽の幅の広さも見せられれば」とも語った。

 そのまま、ドラムがリズムを刻み、アコギの音色に乗ってこれまでの楽曲とは異なる「Past & Future」。ジャジーなサウンド。間奏にはキーボードが入り込み更に厚みを加える。ベース音が地面を這う。シンバルの音がエコーにかかり響く。キーボードがメロディアスに、且つゆったりと流れる。KOKIの歌声が絞られる。

 キーボードの音色に乗りKOKIが語り掛ける。「集まってから2周年が経ちました。どれもこれも単に皆さんの応援のおかけげ。俺らにとって一番大事な曲を歌わせてください」と新曲を続けて披露した。KOKIが続ける。「濃厚なツアーだった。順風満帆でもなかったのかな。いろんなことがあって色んな吸収もできて、人間的にも、ステージに立つ人としても成長できたツアー。嬉しい」と率直な思いを伝えた。

 そして、語気を強める。「ラストスパートだから後悔しないように、嫌なことを全部忘れて。俺らと一緒に歌ってくれ。俺達からおまえらのギフトだよ」。ずばり「The Gift」。キーボードの音色が雰囲気を作り上げたかと思えば、ギター、ベース、ドラムが激しく奏でる。そのまま階段を駆け上がるようにサビへと突入する。そしてKOKIも叫ぶ。胸を叩くKei。kissyもマイクを持って歌う。KOKIがフロアに前のめりになる。

 ラストスパートへスロットルをフルに押し出す。「俺にとって一番大事な曲。俺らの始まりの曲。Trigger!」と叫ぶKOKI。「ラスト! 今日は本当にどうもありがとう。俺らのライブはいつだってルールはない。好きに暴れろ!」とシャウトして「サイサリス」を披露。空高く挙げられる観客の手、そして様々に揺れる手は赤色に染まり、それこそほおづきのように揺れた。ヘッドバンキングを繰り返す。頭を振るKei。髪を揺らすSASSY。KOKIは、ギターKei、キーボードkissy、ベースmACKAz、ドラムSASSYとメンバーの名前を叫び、最後に「俺たちがINKTだ」と言ってステージを後にした。

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