来年への意欲を奏でた白波多カミン with Placebo Foxes(撮影・みてぃふぉ)

来年への意欲を奏でた白波多カミン with Placebo Foxes(撮影・みてぃふぉ)

 【ライブレポート】京都出身のシンガーソングライター白波多カミンが2015年に結成したロックンロールバンド「白波多カミン with Placebo Foxes」が2日、東京・TSUTAYA O-nestで、自主企画ライブイベント『白波多カミン with Placebo Foxes presents「涅槃」vol.3』を行った。このバンドは今年、多くの国内フェスに参加し、その知名度を上げた。バンド結成には、もともと白波多自身の歌が持つポテンシャルを、どのようなスタイルで実現するのか? そんなビジョンが必要となるはずだが、彼女、そしてバンドはそれをどう考えているのだろうか? 今回はこの日の彼女らのライブにより、その真意に迫ってみたい。(取材・桂 伸也)

黙々と弾く白波多と支えるバンドの技量

撮影・みてぃふぉ

撮影・みてぃふぉ

 SEに合わせ、微かな拍手に迎えられながら、4人は登場した。バンドの中心に立つ、タートルネックのセーターと、ホットパンツ姿の白波多。彼女のトレードマークともいえる赤いリッケンバッカーをかき鳴らすと、いよいよステージはスタートした。

 オープニングは、最新ミニアルバムに収録されたナンバー「すきだよ」。どこにでもいそうな、普通の女の子。そんなイメージのあるルックスの白波多は、何か特別なパフォーマンスや音を繰り出すわけでもない、とにかく黙々とギターを弾き、精一杯に歌を紡ぐ。

 そんな姿に観衆は、ずっと気持ちを引かれ、彼女の立っているポジションに視線を注ぐ。「今日はお足元の悪い中、ありがとうございます」MCをたどたどしく語っていた白波多だが、プレーに入るとまるで別人のように変貌し、その空気感をハードなものへと変えていった。

 白波多を囲む3人のミュージシャンは、確かな技量で彼女の歌をバックアップしている。照沼と上野が構成するリズムセクションは、グルーブ感抜群。支えとしての頑丈な屋台骨を持つ一方で、16ビートを基調としながらもさまざまに変化するリズムに存在感を持っている。

 そして、音に広がりを与えている濱野のギターは、サウンドに広がりを与えている。いわゆるシューゲイザーと呼ばれているタイプのサウンドに近いようにも見られるが、オブリガートやソロでも見せ場を作るなど、テクニックでも存分に見せ場を持っており、彼らならではのバックアップで白波多のサウンドをバックアップしていた。

脳裏に焼き付く言葉の数々

撮影・みてぃふぉ

撮影・みてぃふぉ

 そんな力強い支えに包まれた白波多のギター、そしてその声は、決して何か難しいことをやっているわけではない。たくさんの言葉を並べるより、彼女の感性に合った言葉で構成された歌詞。

 そんな選ばれた短い言葉を、サビで彼女がその言葉を語ると、どうしてもその言葉が脳裏に焼き付けられ、離れない。テクニックを駆使しているわけでない、素直に歌っているだけに、それはストレートに耳に入り、その言葉にたどり着き、歌詞に込められた物語をたどりたくなる。

 この日はバンドの重大発表として、来春にこの4人でメジャーデビューすることが発表された。「いっぱい悪いことしてやるので、楽しみにしておいてください」何かブラックなユーモアを含んだ白波多の言葉。

 彼女だからこそ、こんなコメントが映える。たとえば「あたまいたい」といった歌のタイトルからも印象付けられるように、歌の中にある世界は、胸の内にあるような決して綺麗なものではない、しかし自身の核心に迫るようなストレートで、作意性の内のない、ピュアな表現。それこそが白波多の魅力だ。

成長の糧「新しい刺激」

撮影・みてぃふぉ

撮影・みてぃふぉ

 ラストナンバーは「いますぐ消えたい」。この曲はこの日プレーされた楽曲の中で、唯一ストレートな8ビートで疾走する、ロックンロールスタイルの曲だ。みずからのギターを置き、マイクを片手に自分をさらけ出す白波多。

 さらに彼女はステージだけでは飽き足らず、フロアにまで下りて観衆とのひと時を楽しみ、エンディングを盛り上げた。さらに彼女は、アンコールにも答え、これからの躍進をプレーの中で表現していた。

 エンターテイナーとしての技量に秀でたものがあるわけではないが、その歌にはありのままの彼女を表す潔さと、耳を引き付ける魅力にあふれている。

 白波多の歌には、ソロでもバンドでも、それぞれに魅かれるポイントがある。その中でこのバンドは、聴くものだけでなく、プレーする彼女ら自身にも新しい刺激を与え、さらに彼女ら自身を進化させる原動力になるに違いない。

 メジャーデビューでさらに多くの人の目に晒されることになる来年以降、果たして白波多カミンwith Placebo Foxesはどのような変化を遂げていくだろうか? 今から注目しておいて、決して損はないアーティストといえるだろう。

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