迫力のステージングでファンを魅了したLAMP IN TERREN(撮影・浜野カズシ)

迫力のステージングでファンを魅了したLAMP IN TERREN(撮影・浜野カズシ)

 LAMP IN TERRENが7日、自身初の全国ツアー『THE FIRST ONE MAN TOUR “BLUESYARD ~landing probe tour 2015~”』を地元・長崎で終えた。

 メンバーにギターの大屋真太郎を迎え4人体制として走り出した。松本大が生み出す世界観はこれまで、松本のボーカルとギター、中原健仁のベース、そして川口大喜のドラムで表現されてきた。中原はかつて「3人それぞれのグルーヴが集まったときに生まれるモノを味わえることが楽しい」とも語っていた。そこに大屋のグルーヴが加わることは大きな意味を持つ。

 ファンと共有する彼らの世界観は、大屋の加入によってより表現豊かになる。4つのランプと、ファンの気持ちが混じり合った時、どのような光が灯されるのであろうか。彼らにとって大きな変化となったツアー。ミュージックヴォイスでは5日に東京・渋谷クアトロで行われた4人体制初のワンマンを以下にレポートする。  【取材・木村陽仁】

会場の心は一つになっていた(撮影・浜野カズシ)

会場の心は一つになっていた(撮影・浜野カズシ)

 明らかに異なっていた。これまで松本大、中原健仁、川口大喜の3人でできる最大限の音を奏でていた。これに大屋真太郎のギターが加わった。これにより表現できる音の幅は広がった――。

 超満員の場内は、暖色に照らされていた。観衆は各々に言葉を放ち、この喧騒を材料に地を這うBGMがゆったりと流れていた。音が次第に大きくなり胸を打つようになる。場内の天井からはぶら下がった幾つかのランプは空調の空気に煽られ、ゆったりと揺れ動く。

 フィーリングミュージックが流れ、自然のなかにいるような雰囲気が生まれる。それはあたかも、「皆さま、こちらです」と語る、顔をランプに照らした道案内人に、今宵の舞台となる森にある屋敷に誘われ、歩いているようだった。

 “森”へと抜けるのに数分が経った後、明かりは落とされた。ランプだけが灯る。屋敷の扉が開かれたように、ステージに背面には紫、そして青のライトが場内を照らした。BGMと拍手に誘われ、メンバーが登場する。

最初に書き上げた曲で幕開け

中原健仁(撮影・浜野カズシ)

中原健仁(撮影・浜野カズシ)

 軽く手をあげる松本。BGMの音色はやがてギターにとって代わられ、そして松本の吐息が会場に静かにわたる。「ただいま!」と呼びかけると、大歓声に包まれながら激しいサウンドを奏で、1曲目をスタートさせた。東京公演の最初は「L−R」。彼らが最初に書いた楽曲で、彼らの歴史でもある。「喰らえ!」と松本は荒々しく煽る。

 スパっと曲をキメて終わらせると、今度は神秘的な音が這う。「BLUESYARDへようこそ!」と語って披露したのは「林檎の理」だ。歌でファンを引き寄せる、いわば“歌による万有引力”をテーマに書いた楽曲で、アルバム『LIFE PROBE』収録曲だ。そして、雰囲気をがらりと変えるように「into the dark」を送る。同アルバムのなかで松本が「Aメロが格好良い」と答えていた楽曲で、松本のとある心模様が描かれたものだ。

 最新アルバム『LIFE PROBE』の目的は、松本がかつてのインタビューで「自分の証明とはつまり、あなたの証明でもある。自分として認識してくれる人がいるから、自分として存在ができる」と語っていた通り、“互いに認識し合い、心を通わせ、そして一歩を踏み出す”ことを込めている。この日のライブでは開始10数分後・3曲目で既にファンと認識し合い、一つになっていた。そして、その空気感は「クライベイベ」へと紡がれていく。

 最初のMCでは、中原が渋い声で案内する。「全日程、ソールドアウトでございます。ありがとうございます。関わってくれた方がこの日を作ってくれたんだなと思うと嬉しいです。ありがとう。この前の下北で『絶対クアトロでワンマンやるぞ』と言っていて、その夢が掴めて。ツアーには、憂鬱や不安の全てをここに置いて、楽しんでという思いが込められています。だから今日を、明日に駆け出す最高の日にしましょう」と語りかけた。

 中原の声と重なるように静かな音色が響き、明かりがゆっくりと落とされる。明かりが再び灯ると同時に「雨中のきらめき」が披露された。目を髪で隠す松本の歌声は力強く、ファンの心へと響き、その人の人生にも触れていく。そして「balloon」。空間は静から動へと変わる。ベースとドラムの心地良いリズムに、新たに加わった大屋のギターサウンド。そして、曲が終わるたびに囁く松本の「ありがとう」の言葉が、社会で凝り固まったファンの心を溶かしていく。

4人体制に「自信満々」

川口大喜(撮影・浜野カズシ)

川口大喜(撮影・浜野カズシ)

 ギターのカッティングで誘われたのは、映画『夫婦フーフー日記』主題歌に起用された「ボイド」。中原がピックを持った手を上に挙げ、ファンに興奮を示す。「ここで新曲をやります」と静かに説明してから「時の旅人」を歌い始めた。青く染まるメンバー。後先を考えずに喉をつぶしても構わないスタンスで全身全霊で歌い続ける松本は印象的だった。

 リズムを踏む中原、力強く弦を弾く松本は「去年は3人だったんですけど、目標の一つをクアトロで叶えることができました。来てくれて、ありがとう」。「新しいメンバーが入ったというか、帰ってきたというか」と述べ、大屋の加入と馴れ初めを紹介。「我々は4人体制を自信満々でやっている」とも語った。

 後半戦は、激しいナンバー「Sleep Heroism」でスタート。腰を落としてビートを刻む中原。長いキメが空間を止める。やがて松本の声が入り、再スタートを切る。大屋は川口に向かって、頭を振って感情の高ぶりを表現していた。

 一転して伸びやかな音色で始まったのは「reverie」。不規則なリズム、こだまする松本の声。オレンジ色のライトに照らされて披露された「イツカの日記」。ゆったりと流れる時間に、ファンはそれぞれの過去を当てはめているようだった。

 そうした時間をドラマチックに盛り上げたのが「緑閃光」だった。ギターの音色で紡がれてゆっくりと光が放たれる。ドラムカウントが会場に響く。青色に照らされた彼ら。ランプが灯る。ファンの心を撫でる。天井高く挙げられたファンの手にはライトが反射され、MVのワンシーンを再現しているようでもあった。

記事タグ