[写真]拍謝少年の魅力とは

拍謝少年「台十七」(YouTubeより)

 台湾インディーロックシーンからの刺客「拍謝少年(Sorry Youth)」がサマーソニック2015に参戦となった。バンド名の英語表記が「Sorry Youth」なもので、その文字を見て「今年のサマソニにソニックユース(Sonic Youth)出演?!」と筆者は一瞬本気で勘違いした。しかし、それはあながち完全な勘違いとは遠いものである事を、「拍謝少年」の音を聴いて感じるものがあった。国内においてまだ情報のあまりない、拍謝少年について、サマソニでのステージを前にこの場をお借りして少し予習をしていきたいと思う。それほど、「拍謝少年(Sorry Youth)」は一聴の価値があるバンドだ。

台湾からの刺客・拍謝少年

 拍謝少年(はくしゃ・しょうねん)(Sorry Youth)が、一体どの様なバンドかというと、

▽2005年活動開始、台湾のインディーロックバンド・バンド名の「拍謝」は「ゴメンなさい(台湾語)」の意
▽メンバーはギタリストの維尼、ベーシストの薑薑、ドラマーの宗翰らの3ピースバンド
▽1stアルバム「海口味」を2012年White Wabbit Recordsよりリリース
▽ライブでは巨大な魚の頭のかぶり物をした役割不明の半裸男がしばしばステージ上ではしゃぐ叙情的で極めてエモーショナルなサウンド
▽バンド名表記(Sorry Youth)も音も、一瞬「ソニックユース」かと思ってしまう

ざっくりではあるが、基本的な概要はこれらである。

参考MV:拍謝少年 - 台十七

拍謝少年のサウンド背景

 サウンド面は、アメリカのオルタナティブロックに非常に強い影響を受けている事がはっきりと窺える。それこそ、米・オルタナティヴロックシーンの代表格「ソニックユース」ばりのギターアンサンブル、ノイズサウンドとクリーンサウンドの対比で展開される80年代後期〜90年代初期のオルタナティブサウンド、シューゲイザーを彷彿とさせるサウンドキャラクターだ。要は、ギターの音がまず滅茶苦茶ダイレクトでカッコ良い。

参考MV:拍謝少年(Sorry Youth)- 湯姆熊

 フェンダージャガーやテレキャスターギター、プレジションベースの硬質なサウンド、空気感を含めた生々しいドラムプレイ。彼らの音楽は、台湾の若い文系兄ちゃん達という雰囲気の見た目と反し、相当硬派なプレイを魅せるバンドだ。

 あまりに秀逸な「ソニックユースのサウンドフォロワー」と表現しても恐らく差し支えは無く(実際に英表記のSorry Youthはソニックユースを意識したものらしい)、その轟音と静寂の対比、カポタストを多様した変則チューニング的な弦和音の響き、絶妙にヨレたドラムプレイで生成するバンドアンサンブルがたまらない。

 2012年発表アルバム「海口味」で聴ける統一感のあるバンド色は、シリアスな演奏と空気感をそのまま録音し、感情をそのまま収めた様なリアリティある緊迫感、衝動に溢れている。「拍謝少年」のサウンドに一瞬で琴線を弾かれるロックファンは多いのではないだろうか。

 活動初期の頃、彼らの楽曲に歌は無く、演奏主体の活動だった。そのなごりか、現在でこそ台湾語で歌うロックバンドだが、アルバム「海口味」では歌の無いインストゥルメンタル楽曲も聴ける。そのロックバンド演奏のみで聴かせる楽曲の構成力は凄まじく、その「テンション、ボルテージの持って行き方」こそ「拍謝少年」の最も特筆すべき点だろう。ドラマチックな抑揚とはまた別次元の勢いがあり、一聴の価値は充分にある。

 歌詞は、日本人にとっては恐らく英語よりも言葉の意味がピンと入って来ない台湾語(北京語)での歌だが、言葉の意味を解釈せずに聴いていても、「拍謝少年」の音楽は非常に情緒的で、驚く程そのメランコリックな感情がダイレクトに伝わってくる。

 拍謝少年(Sorry Youth)の来日ステージはSummer Sonic 2015 TOKYO 08/15 Sat(千葉マリンフィールド 幕張メッセ)ISLAND STAGE-ASIAN CALLING- での出演予定となっている。  【文・平吉賢治】

メモ

◆Sonic Youth(ソニックユース) 80年代中盤から現在も活動中の米オルタナティブロックバンド。オルタナやシューゲイザーのシーンにおいて、世界的に最も有名で評価されているバンド。

◆シューゲイザー(シューゲとも呼称) ギターノイズや音響効果を多様するアプローチのバンドスタイル。My Bloody Valentine、ニルヴァーナ、ピクシーズなどが有名。うつむいて足下の機材を操作しながら演奏したり、極限まで歪ませたギターのフィードバック音や弦のスクラッチによってノイズ、轟音を出すプレイ、浮遊感あるボーカルが特徴。(基本的にギターノイズ音楽なので、コアなシューゲ系は、好きでない方には聴けたものではない。拍謝少年のそれは、かなりライトな類い)

◆英表記の「Sorry Youth」 完全にソニックユースを意識したものと疑い調べた結果、レーベルのオフィシャルページより確認。堂々とパロッたものらしい。

◆カポタスト ギターのフレットに装着する道具。開放弦の位置を短くする事で、チューニングを変えずに移調しての演奏が可能となる。

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