カンボジアに音楽学校を作りたい――。そうした夢を抱き、音楽活動を続けているシンガーソングライターがいる。稚菜(23)は単身でカンボジアに赴き、音楽ボランティアを行っている。その活動の一端はスポーツ紙にも紹介され話題となった。そして、今年2月からはマンスリーワンマンライブを開催している。想いを歌に込めて毎月、届けている。記者は、彼女の歌声に触れようと去る6月30日の東京・渋谷 LOOP annexで行われた公演に足を運んだ。その模様を以下に伝え、彼女の魅力を紹介したい。  【取材・上村順二】

反戦の想いを届ける

 カントリーチックなBGMが流れるなか、ファンは和やかな雰囲気で彼女の出番を待った。開演時間をちょっと回ったところで、稚菜がステージに姿を現した。キーボードの前に座るとフロアの空気感が変わった。1曲目はMr.Childrenの「Tomorrow Never knows」。ピアノのみのアレンジで、原曲よりもしっとりと聴かせてくれた。

 カバー曲だが、ファンは一気に彼女の世界観に引きずり込まれていく。2曲目はオリジナル曲である「遠く遠く」。もう長い間、演奏していなかった曲のようで、久しぶりのお披露目となった。こういったレアな曲が聴けるのもワンマンライブだからこそ味わえる醍醐味だ。

 「それでは大切な曲を1曲」と語り、反戦の想いを込めた「戦火の詩」や、マンスリーライブではお馴染みの「約束の場所」を披露。「約束の場所」は、スクリーンを使ってその楽曲に合わせた映像などを流した。視覚による演出でより一層、楽曲が持つ世界観を引き立たせていた。カバー曲は他にも、ザ・ブルーハーツの「情熱の薔薇」や、中島みゆきの「糸」などが演奏された。選曲はアンケートのリクエストを元に構成したという。

魅力は透き通る高音

 彼女の歌は透き通る高音が魅力。楽曲によってその表情を巧みに使い分ける。時に熱く、時に優しく、シーン毎に違った歌を聴かせてくれる。その歌声に、訪れたファンも静かに耳を傾けていた。

 特にオリジナル曲での歌詞に込められたメッセージは、聴いた人の心に残ったはずであろう。反戦の歌や失恋の歌など多種に渡るテーマを掲げた曲たちは重い内容ではあるものの、稚菜はこのようなメッセージを発信できる数少ないアーティストの1人だと言えよう。カンボジアに自ら訪れ、現状を肌で感じた彼女だからこそ、歌や詞にリアリティーが生まれる。

 MCでは、ライブに来てくれたファンや、自分に出会ってくれた人たちに感謝の言葉を述べていた。

 フライヤーの中に書かれていた彼女のメッセージには「出逢ってくれてありがとう。その気持ちでいっぱいです」。その想いが詰まった2時間であった。彼女は歌とピアノの弾き語りスタイルで、新曲を含むオリジナルとカバー曲を中心に13曲を披露し、この日を終えた。

 昨年は年間100本のライブを行うなど、精力的に活動する稚菜。次回のマンスリーワンマンライブは、渋谷 LOOP annexで7月30日に行われる予定だ。

 稚菜は13年にSHOW-YAがプロデュースするイベント『NAONのYAON 2013』のオープニングアクトとして出演。14年には本編に出演した。

2015年6月30日 渋谷 LOOP annex セットリスト

01.Tomorrow Never Knows(Mr.Children カバー)
02.遠く遠く
03.情熱の薔薇(THE BLUE HEARTS カバー)
04.アイノウタ
05.風(はしだのりことシューベルツ カバー)
06.戦火の詩
07.笑顔の先に
08.約束の場所
09.アンマー(かりゆし58 カバー)
10.歌唄い詩
11.糸(中島みゆき カバー)
12.言葉の要らぬ世界へと
13.新曲

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