写真=cali≠gariが品川で単独公演[1]

品川StellarBallでワンマンライブを行ったcali≠gari

 [ライブレポート]今年3月に最新アルバム『12』をリリースしたヴィジュアル系ロックバンド、cali≠gari(カリガリ)。ギタリストであり、唯一のオリジナルメンバーである桜井青(以下、青)を中心に、現在、ボーカリストの石井秀仁(以下、秀仁)、ベーシスト村井研次郎(以下、研次郎)という3人のメンバーで、第八期の体制としての活動を行っている。その彼らが、5月より開始された第八期初のライブツアー『セックスと嘘とライブハウス』の追加公演として5日、東京・品川StellarBallでワンマンライブ『セックスと嘘とステラボール』を行った。今回はそのステージの模様を以下にレポートする。  【取材・桂 伸也】

広大なフロアの中、密度を増したスタンディングエリア

 横に広く広がった品川StellarBallのフロアは、開場より間もなく人で埋め尽くされた。前方をスタンディングエリア、後方を座席エリアとして区切られていたが、特にスタンディングエリアが隙間なく観衆で埋め尽くされる様は壮観の一言だ。後方の座席エリアにも観衆はビッチリと入り、フロアは人また人の様相。ネット技術や情報網が発達した今日、ライブの集客の難しさも方々でささやかれる中、ホールのライブにこれだけの観衆が集まるには、「cali≠gari のライブを見に行かなければならない」そう思わせるだけの意味がそこにあったからに違いない。

 ステージは定刻より約15分遅れてスタートした。会場に流れていたBGMは止まり、やがて心臓の鼓動のように、ビートを刻む音が断続的に打ち込まれた。その鼓動音に同期し、明かりが照らされてはまた消える。その不確かな明かりの中、最初にステージに現れたのは研次郎、続いて現れたのは、青。この日のセットは、アルバム『12』のオープニングナンバー「わるいやつら」でスタートした。青が「死ねばいいのに」と、退廃的な言葉を繰り返し呟く。

 荒々しく打ち続けられるリズムに、アバンギャルドなギターとサックスが絡み、異様なまでの怪しい空気をフロアに蔓延させていく。その空気を「待ってました!」と、まるで待ち構えていたような観衆の動き。パンパンに埋まっていたスタンディングエリアの観衆が、さらにギュッと集まり密度を増した。いよいよ秀仁がステージに登場すると、その密度はさらに濃くなり、フロアからは強烈な熱気が立ちのぼっていった。

 研次郎が叫んだ。「今日でお前達とのセックスも最後だ! 今日もたくさんセックスって叫ぶぜ!」。さらに青が「セックス」コールで観衆を煽り上げる。この日のセットは最新アルバム『12』のナンバーを、最初から順にプレーしステージが展開された。異様な空気をかもし出した冒頭より、ポジティブな気持ちを煽るような調子の「セックスと嘘」、ポップな曲調の「トゥナイトゥナイ ヤヤヤ」など、この12曲をたどるだけでもさまざまなスタイルを感じさせるcali≠gariの楽曲群。

 アルバムの楽曲を1ステージで全て、しかも順にプレーされるというケースはまれであるが、それを違和感なくプレーできるところにcali≠gariのcali≠gariたる所以があるともいえる。荒々しくも深い思惑を感じさせる世界観と、さまざまな音楽スタイルを網羅するセンスを持つ青。その楽曲群を猛烈に駆け回るように、縦横無尽のハイテクニックベースでバンドサウンドを支える研次郎。そして歌声、立ち振る舞い、存在感と抜群のアピールを見せるフロントマン、秀仁。大きな品川StellarBallのステージが、大きく見えない。それほどまでに彼らの立ち姿は大きく見え、観衆の眼と気持ちをしっかりと捉えていた。

まさかの「3度のアンコール」

写真=cali≠gariが品川で単独公演[1]

品川StellarBallでワンマンライブを行ったcali≠gari

 ラスト曲「さよならだけが人生さ」を終え、cali≠gari のメンバーがステージを去った後、すぐさま観衆は大きな手拍子と共にアンコールを求めた。さすがに全12曲とはいえ、ここまで一気に駆け抜けてしまい、終わるには早すぎる。その思いを反映するかのように、幾度となく続いた観衆の呼びかけに、再びステージに現れた面々。ここでは青がギターをアコースティックギターに、研次郎がベースをアップライトベースに持ち替え、アコースティックタイムが展開された。白のワイシャツに身をまとった秀仁の、心地よい歌声がホール内に響く。ここでは朗々という表現がよく似合う、聴かせどころたっぷりの歌を披露。改めて秀仁というボーカリストの技量の深さを見せつけられ、観衆はじっと彼の歌に耳を集中するほかない有様だ。

 再び彼らがステージを去り、その後はまたもや観衆からのアンコールを求める声の嵐。もはやアンコールというよりは、セットに組み込まれた本編の一パートにすら感じてくる。これこそもcali≠gariの企みの一つなのだろうか。第二アンコールはSEより「オーバーナイトハイキング」でスタート。会場の照明は全て落とされ、観衆が持つペンライトの照明だけでプレーという大胆な企みが見事成立。第一アンコールとは対照的に、アバンギャルドなナンバーが続き、観衆の熱気は高まるばかりだ。

 秀仁の立つ位置を中心に、フロア全面から人が集中し、全ての者が腕を振り上げ、秀仁を指差していた。その一点に集中する様は圧巻という以外の言葉が見つからない。セットのラストは「クソバカゴミゲロ」。そのタイトルで、秀仁と観衆がコール&レスポンスを行う。「クソバカ!」「ゴミゲロ!」その時、熱気以外のものと感じられる、恐ろしいまでのエネルギーが会場に蔓延していた。

 そして再びの退席、さらなるアンコールの声。第三アンコールはいよいよ迎えたこの日のクライマックス。「本当にありがとうございました! これからも、紆余曲折しながらもがんばっていきたいと思います」。青はこの日を迎えた感謝を告げた。そして「ブルーフィルム」、続いて再びの「セックス」コールからラストナンバーとなる、二度目の「セックスと嘘」へ。ズンズンと胸に響くビート、前に進まずにはいられない高揚感。この場ならではの感動をもろに受け、恍惚とした表情の観衆。人々の中に強い衝動を植え付けたこの日のステージは、こうして幕を下ろした。

既成概念を打ち壊す、それこそがcali≠gariの魅力

 「死ねばいいのに」「クソバカ」「ゴミゲロ」――。時に、ある種下衆な言葉が飛び交った。そして序盤、終盤に飛び交った「セックス」コール。例えばかつて存在したルックス、世界観などを重視したいわゆる「ヴィジュアル系」という存在では、このような言葉はある意味ご法度とも感じられた。そんな語群をしっかりと自らのスタイルと融合させ、表現している彼らのスタイルは、ある意味、ロックに新たな流れを生み出した「ヴィジュアル系」誕生の、本当の意味を踏襲したものとも考えられる。

 この日のステージは、まさにその意味を強く表しているようにも思われた。異様なバランスのアンコールセットや、表には見えないさまざまな企み。まるで既成概念をぶち壊したような彼らのステージ、それこそが、人々が彼らのライブに行かざるを得ないと思ってしまう、その理由ではないだろうか。第八期としての活動はまだ始まったばかり、次はどんな企みを見せてくれるのだろうか? 引き続き、cali≠gariの動向には要注意といわざるを得まい。

セットリスト

1.わるいやつら
2.脳核テロル
3.颯爽たる未来圏
4.セックスと嘘
5.トゥナイトゥナイヤヤヤ
6.ギムレットには早すぎる
7.とある仮想と
8.紅麗死異愛羅武勇
9.バンバンバン
10.フィラメント
11.あの人はもう来ない
12.さよならだけが人生さ
13.春の日
14.わずらい
15.オーバーナイトハイキング
16.-踏-
17.淫美まるでカオスな
18.マッキーナ
19.ゼリー
20.クソバカゴミゲロ

アンコール

21.ブルーフィルム
22.セックスと嘘

ライブ情報

シリーズ街“最後の宿題”@新宿BLAZE
8月21日・OPEN 17:30 START 18:30
スタンディング 5000円(税込、ドリンク代別)
問い合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12~19時)
“客室ノイローゼ”会員先行7月6日0時より受付決定
www.kyakusitsu.com

作品情報

▽「春の日 桜闇盤」 CD2枚組(2013年盤「春の日」+2015年盤「春の日」)
2015年5月8日発売 1,500枚限定 3,000円(税込)
仕様:特殊金色桜闇パッケージ ※FC会員特典として帯ストッパー(新井薬師前2号踏切ver.)を付属※ツアー会場優先販売

[Disc 1] 2013年盤
1,春の日
2,ウォーキング!ランニング!ジャンピング!フライング!
3,ミッドナイト!ミッドナイト!ミッドナイト!
4,DOG DAYS(岡村靖幸カヴァー)
5, ウォーキング!ランニング!ジャンピング!フライング!~ミッドナイト!ミッドナイト!ミッドナイト!

[Disc 2] 2015年盤
1,春の日
2,ウォーキング!ランニング!ジャンピング!フライング!
3,ミッドナイト!ミッドナイト!ミッドナイト!
4,春の日 1999年4月8日 中野通りにて篇

▽New Album「12」

2015.3.11発売
狂信盤(初回限定盤) [CD+DVD] COZP-1021~1022 価格4,000+税
良心盤(通常盤) [CD only] COCP-39034 価格3,000+税
全12曲
※ 狂信盤付属DVD
「初回特典のために半ば強制的に制作しなくてはいけなくなった割に沢山の協力者によって大分面白くなったと思われるノープランDVD」
メンバー×ゲストドラマー対談、メンバーインタビュー、ジャケット撮影メイキングなど

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