写真=INKT初ツアーは何を意味するのか[1]

「サイサリス」を引っ提げ7月に初のライブハウスツアーを行うINKT

 ボーカリストKOKIを中心に結成されたバンド、INKT(インク)。いわゆる「エモ系」的なロックサウンドをベースにする一方で、そのバンド名のとおりに個々が完成として個性的な「インク」を持ち、色彩感あふれるサウンドを展開。そのコンセプトは、単なる一ジャンルを超えて、幅広いリスナー層にアピールできる性質をサウンドにたたえている。

 強い特質を持ったバンド、INKTは2013年に結成、まだライブ経験はわずかながら、着実に人々にその存在感を見せつけ、ファン層を拡大しつつある。そんな彼らはこの4月に新譜『サイサリス』をリリースした。前作『INKT』と比較すると、彼らの個性がより凝縮された向きがうかがえる新作だ。このアルバムを引っさげ、彼らは7月よりバンド初のライブハウスツアーをスタートする。

 今回はメンバーのKOKI(Vocal)、Kei(Guitar)、kissy(Keyboard)、mACKAz(Bass)、SASSY(Drums)に、今回のアルバム制作の経緯や初のライブツアーへの意気込みをたずねる中で、この個性豊かなバンドの本質に迫ってみた。  【取材・桂 伸也】

「攻めの姿勢を見せる」から始まったアルバム作り

写真=INKT初ツアーは何を意味するのか[2]

――今回の最新アルバム『サイサリス』についておうかがいしたいと思います。このタイトルにした経緯とは、どのようなものだったのでしょうか?

Kei 新しいアルバムを作るにあたり、アイデアを出そうとしたときのことでした。改めて前回のアルバムを聴いていくつか思うところがあり、それを具体的に形にしたいと考えていて「今回は攻撃性や攻めの姿勢をアルバムに反映させたい」という意向が出てきたんです。そしてまず作ったのが、オープニングの「Wanderlust」と「サイサリス」という2曲。まずは「この2曲で攻めの姿勢を見せてみようか」というところから、アルバム作りが始まりました。タイトルについては、アルバムというよりはこの曲自体に込めた、という思いの方が強いですね。

kissy 実はあの曲を最初からリードにしようと決めていたアルバムではなかったんです。その2曲をリード候補として「どちらがリードとしてふさわしいか?」ということを考えながら進行していきました。2つの歌詞の感じやイメージなんかは、植物っていうキーワードが共通していて、「サイサリス」はほおずきの花の言葉、「Wanderlust」の詞の舞台はわりと植物的な世界観というところから、花や植物とか、そういったイメージはあるような気がします。

――私が拝聴したイメージでは、1曲目の「Wanderlust」の方がアクティブで力強い感じがあり、どちらかというと「攻めている」というイメージを持ちましたが…

kissy そういう見方もあるかもしれませんね。ただ「攻め」といってもいろんなアプローチの仕方があるわけですが、わりとファーストアルバムのイメージの種類を踏襲したのが「Wanderlust」で、それとは違う攻めの形を追究したのが「サイサリス」と考えています。

――なるほど。ファーストアルバム『INKT』と今回のセカンドミニアルバム『サイサリス』を聴き比べると、ファーストがどちらかというと自分たちのスタイルを模索しているような手探り感が見えるのに対し、2枚目のアルバムはある程度の方向性が固まった感じがありますね。

KOKI そうですね。1枚目はバンドとしてまだ世に出たことがない、ライブで歌っているわけでもないという状況で作ったので、ある意味「それが果たして正解なのかも分からずにいた」状況でもありました。それを引っさげてライブをやらせてもらい、そこで見えてきたものも大きかった。本当にゼロから生み出したものと、「1」が見えたところ、それが今作と前作の大きな違いだと思います。

――そういう意味では、ステップアップしたと思われますが、自信にもつながっているのではないでしょうか?

Kei そうですね。それは当然あって、狙いが成功したところもあれば、もっと見えてくるところもあって「さらに攻めたい」とか、新しい気持ちにつながるようなところもあります。だから、さらにステップアップし、自分たちの思いを形にしていきたいと思っています。

――アクティブな意向ですね。「サイサリス」は、かなり切ない感じのメロディですよね。パッと聴くと「攻める」という強いイメージからかけ離れているようにも見えますが…

Kei 「攻める」という意味合いが、単純に難しいことをするとか、聴き取りづらいようなことをするということを指されているのであれば、当然それは僕にとって「攻め」ではないんです。やはりどこかにキャッチーなところがないと。だから、たとえば「サイサリス」に関しては「サビの部分だけはキャッチーな感じにして、テンポ感や他のきっかけが引っかかるようなものにした」ということが、僕の中では攻めの姿勢をとったポイントになります。

写真=INKT初ツアーは何を意味するのか[1]

――深い考えですね。詞を作る際に、KeiさんからKOKIさんに渡された世界観というのは、具体的にどのようなイメージを伝えられたのでしょうか?

Kei 「サイサリス」というのは英語でほおずきの花のことで、その花言葉は「偽り」という意味なんですけど、そこから転じて「自分を偽らないでほしい」というメッセージを曲にしました。一人の女性をモチーフにしている曲なんですけど、その一人の女の子を通すことで、僕たちと聴いてくれる人たちとのやりとりを具現化したというか。

――なるほど。ボーカルのメロディラインは、「アニメの主題歌にしてもおかしくない」という雰囲気すらありますね。

Kei 僕は歌が好きなので、歌のメロディラインが良くないと気持ち良くないんです。だからシャウトだけをしているような曲では成立しないと思う。たとえばメタルな部分一辺倒で押すような曲は、個人的にはもういいかなと思っていますし。そういうのは今まで散々聴いたし、やってきたし。

――キャッチーな部分にはアニメソングの影響なども多いのかなと感じました。

Kei そうですね、多少なりともそれはあると思います。確かにみんなアニメ好きで、曲のイメージを伝えるときに「あのアニメの、このときのこんなイメージ」みたいな話をすることもあって(笑)

――今回のアルバムでは、mACKAzさんも「Dreamcatcher」を作られていますが、やはり制作にあたっては同様なことを考えられたのでしょうか? この楽曲は他の楽曲ともイメージがかなり異なり印象的ですよね。

mACKAz そうですね。僕の中では毎回「今までやっていないような曲を実験的にやってみたい」という思いもあって、「こんなのがあるけど、どう?」という感じでみんなにお伺いを立てて(笑)

――サビの部分の構成がかなり面白くできてきますね。

mACKAz 実は最初はアレンジが違っていて、世界観をAメロ、Bメロでちょっと不思議な感じにしても面白いかなと思ったんです。そして、考えた世界観にアレンジをさらに寄せてみて、同時にライブでみんなと一緒に声が出せるパートがあってもいいかと考え、ひと工夫しました。こういう曲は今までありませんでしたしね。


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