[写真]クミコが歌う楽曲「広い河の岸辺」が異例のヒット

「広い河の岸辺」を歌うクミコ

 歌手のクミコが歌う楽曲「広い河の岸辺」が、歌謡曲のジャンルで異例のヒットを続けている。NHK朝の連続ドラマ『花子アン』『マッサン』で主人公がたびたび原曲を口ずさんだ。これがきっかけで広まり、オリコン演歌・歌謡曲チャートで22週連続でトップ50入りを記録している。

 更に、この曲がNHK『おはよう日本』と同・『特報首都圏』で、仕事に行き詰ったサラリーマンや闘病生活を送る人の支えとなっていることが紹介されると、CDへの注文が殺到。発売から22週目(5カ月)にあたる12月29日付同チャートで1位を獲得した。

 USEN・HIT演歌歌謡曲部門では8週に渡って1位と2位を獲得。海外の民謡としては史上初の快挙となった。また、12月17日付USEN・HIT演歌歌謡曲部門ランキングでも3位を記録するなどヒットを続けている。

 レコード会社の担当者によれば、購入者の多くは40代や50代を超える中高年の層で、楽曲配信よりもCDの売れ行きが良いという。

 「広い河の岸辺」は、作詞のやぎりん(ケーナ奏者)自身が、家族と離れ、職も失い生きる意味を失いかけてた時に340年前のスコットランド民謡「The Water Is Wide」に出会って励まされた経験を持ち、この不思議な力を広めるため日本語詞を付けたもの。絶望のふちに立ちながらも、かすかな希望を見つけて1歩踏み出そうという希望の歌になっている。

[写真]やぎりん作詞の楽曲「広い河の岸辺」が異例のヒット

「広い河の岸辺」の詞を書いたやぎりん

 この340年前のスコットランド民謡が、やぎりんの日本語詞と、曲を聴いたときに真っ先に被災地のことを思い浮かべたというクミコの声により“希望の歌”として時代を超え国境を越え、今、日本において心に響く曲として蘇り中高年を中心に反響を得ている。

ヒットの要因、歌詞に人生を投影

 注目されるきっかけとなったのは前記の通り、朝ドラでの使用となるが、楽曲そのものに対する反響の要因を探っていくと次のことがみえてくる。

 そっと背中を押してくれるような優しい詞と、340年以上愛されてきた普遍のメロディー歌詞冒頭「河は広く渡れない 飛んでいく翼もない だけど小舟があるならば 漕ぎ出そう二人で」たとえ“広い河”のような困難が目の前にあってもきっと渡っていけるという、希望のメッセージが込められているシンプルな歌詞が、すっと入り、自分の人生にリアルに重なってくると評判を生んでいる。

 今まで、たまに入る演奏者としての僅かな収入を頼りに各地で小さな演奏会を開くなど、やぎりんが地道に演奏してきた曲だったが、クミコの歌声によってテレビ・ラジオで流れはじめると多くの人のもとへ届き、「元気になれた」「涙が出てきた」などの声が、レコード会社などに寄せられているという。

 日本経済や世界情勢のなかで見えぬ先行き。異例のヒットにこうした現代の世情が反映されているのか。自身の人生に投影するリスナー。クミコの歌う「広い河の岸辺」が人々の心を掴んでいるようだ。  【紀村了】

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