津田沼で活動するご当地アイドル、はづきちーぬ

千葉・津田沼を中心に活動するご当地アイドルの“はづきちーぬきゃんでぃーぬ”

<シリーズ・ご当地アイドルを追う=千葉県編>
 サブカルチャーの聖地とも言われる東京・秋葉原から東に約23キロ。JR総武線各停で揺られること約40分、津田沼駅に到着する。千葉県習志野市内にある津田沼は商業施設等が立ち並ぶ県でも有数の繁華街。その昔は旧日本軍の鉄道第二連隊が置かれていた“鉄道連隊の町”としても栄えた。秋葉原から路線一本で繋がるこの津田沼から「元気を届ける」ことを掲げ活動しているご当地アイドルがいる。ふわふわ系アイドルの“はづきちーぬきゃんでぃーぬ”だ。

 月間25本近くのライブをこなす“はづきちーぬ”は、大きな眼鏡にツインテール、前髪を揃えた萌え系アイドル。いまブレーク中の唐橋ユミフリーアナ(39)やアイドルの時東ぁみ(26)にも近い雰囲気を醸し出している。彼女はソロデビューして1年も満たないが、県内のコアなファン層を中心ににわかに注目されている。

 地元テレビ局には定期的に取り上げられ、ライブの出演依頼も増えた。つい先日は東京・渋谷で自身の誕生日を祝う誕生祭を初めて自主開催した。県を飛び出して名古屋などでもライブを開いた。関係者は「彼女の魅力が伝わり始めている。千葉県を中心にもっと盛り上げたい」と期待を膨らませている。

 彼女が歌う曲は“萌え系”に近いものがある。本人が影響を受けているアニメ系やボーカロイド(音声合成)系が主体で、ファンがペンライトを片手に激しく踊る、いわゆる“オタ芸”を考慮したつくり。容姿も曲も、そしてパフォーマンスもこの“萌え系”を意識したものとなっている。だが、彼女の音楽のバックグラウンドは意外にもロックであるという。

 “ふわふわ系アイドル”としてソロデビューしたのは昨年9月。それまではガールズバンドでボーカルを担当していた。好きな曲のジャンルにも前述のアニメ系やボーカロイド系に加えロックが入っている。

 「当初はアイドルになる気持ちはなかった」。

 ロックミュージシャンを目指していた時期もあった。ガールズバンドではメインボーカルとして活動していた。ロック路線を走り続けていた彼女に転機が訪れたのはそのバンドからの脱退。「自分の存在価値を考え行動していくうちに気付いたらアイドルの道を歩いていた」という。

 プライベートではもっぱら家でアニメ鑑賞を楽しむ。外に出るのはライブの時。「もともとライブは大好き。ロック系もアニメ系も見に行っています。どちらかというと今は勉強しに行っているイメージかな」。

 今では必要がなくなったギターも家では時折、弾いているという。「いつかはライブでも弾きたい」とも語っているがその機会は当面なさそうだ。

 ご当地アイドルはここ最近急増している。街づくりの活性化の一環として活動するものもあれば、地域で経験を積んで将来は全国区に、という目論見もある。気になるのは売れるまでの生計のやりくりだ。ミュージシャンや芸人などと一緒であるように、彼女もまた本業だけでは足りない分の生計をアルバイトで補っている。

 夢は「ビッグになりたい」。

 千葉県に活動の軸を置きながらも全国で活躍するアイドルを目指しているという。そのために歌に磨きをかけ、少しずつ知ってもらうためにライブをはじめ、ツイッターやツイキャスなどのネットツールを使ってファンとの交流を密に行っている。

 ライブは月に25本こなし1日多い時で3本。「今年は年間300本行くかも」と往年のロックミュージシャンを思わせるアグレッシブさだ。

 彼女のライブをのぞいてみた。ファンとの距離が近いことに驚く。ライブのMCではファンと掛けあい、ツッコミも入れあう。自身の出番が来るまではフロアで一般人と会話を楽しむ。「ファンの皆さんは私を支えてくれています。私がやろうとすることに全力で合わせてくれる。本当に感謝しています」。何よりもファンとの信頼関係を大事にしている。

 ファンにも聞いてみた。彼女の魅力は?「距離が近いことですね。育てていると言ったら語弊がありますけど、一緒に「スタイル」や「ライブ」を作り上げているような感覚があり応援しがいがあります」。

 彼女もまたファンと作り上げていくことの楽しさを話していた。

 ソロデビュー8カ月。当面の目標は、地域に根差したライブ活動でファンを増やしていくこだ。最近は県内の町おこしイベントに呼ばれる数が増えた。県外からもその層から「津田沼発」「千葉発」のご当地アイドルとして認識されつつある。

 つい先日、新たに結成されたフルーツリングという千葉のアイドルグループにメインボーカルとして加わった。苦手だったダンスにも挑戦している。

 このグループではイチゴの良さをアピールする“イチゴのパート”を担っているが、当の本人は薬味と濃厚なラーメンが好きだと言う。「カロリーが高いラーメンが好き。でも事務所に怒られる」と、言いつつも週に1度は食べているそうだ。

 ところでなぜ覚えにくい名前を選んだのか。「皆に名づけてもらったんです。長い名前が良かったので。ちなみに“きゃんでぃーぬ”が苗字です。欧米人みたいな名前でお気に入りです」。本人に意識はないだろうが、津田沼がある習志野市は、米国アラバマ州のタスカルーサ市と姉妹都市を結んでいる。

 ではなぜふわふわ系なのか。「皆が私を天然キャラで、ふわふわしているからと言うので取り入れました」。

 最後に聞いてみた、目標は?「何よりもライブが楽しい。ファンに元気を届けることを目的に頑張っていますので、これからもファンと一緒に作り上げていきたい」。

 インタビュー中も終始、笑顔を絶やさなかった津田沼発のふわふわ系ご当地アイドルは秋葉原を背に、同地から元気を届けるためきょうも県内でライブに励む。