INTERVIEW

山崎天×田牧そら

「涙」が作った関係性
『こころのフフフ』撮影裏側


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:21年08月09日

読了時間:約8分

 注目を集める若手女優の田牧そらが、WOWOW初の本格ショートドラマ「ショートショート劇場『こころのフフフ』」(7月17日土曜日午後5・00~WOWOWオンデマンド全9話配信中、8月15日・日曜よる9・00 全9話一挙放送)でドラマ初主演を飾る。同級生で親友役は、ドラマ初挑戦となる櫻坂46・山崎天(「崎」は立に可)。「お互い人見知りだった」という2人だが、打ち解けてからは本当のクラスメイトのような間柄に。早くも「再共演したい」と目を輝かせる2人に撮影の裏側を聞いた。【取材・撮影=木村武雄】

第1話「袖サロン」

第2話「なまリップ」

似たもの同士?本当のクラスメイトのよう

 「お互い人見知りだったので、初めて会った時は2人とも喋らず部屋の端っこにいました(笑)。でもその姿を見て『私たち似ているのかもしれない』って思いました」

 田牧は山崎の方を向き笑いながら振り返った。一歩下がっての初対面だったが「今はもう同級生という感覚に近いです!」と口を揃え笑う。

 お互いの印象を聞けば、田牧は「しっかりしているところもありますが、おふざけするところもあって、笑うところも一緒なので、話しやすかったです」。櫻坂46では最年少の山崎は「私よりも年下と聞いてどう接したらいいのか悩みましたが、大人っぽいところもあるし、空気感も似ていて喋りやすかったです」

 取材中もクラスメイトのように仲が良い。

 「あのシーンの芝居が良かった」と称えれば、申し合わせたように揃って頭を何度もペコリして「ありがとうございます」。リハーサルの話題になれば、女子高生のようにキラキラと目を輝かせ話し始める。

 山崎「リハーサルの時、机に予備の台本がたくさんあって、それをめくっていたら、『それ全部持ってきたんですか!? すごい量ですね』と言われて(笑)」

 田牧「だって、すごく真剣に見ていたから。こんなにたくさん持ってきたんだ、すごいなって思って(笑)」

 山崎「その姿を見て、そらちゃんは、物事を真っすぐに見る人なんだなって思って。普通ならちょっと考えるじゃないですか。こんなに持ってくるはずはないから(笑)。でも『心配して印刷して持ってきたのかなって思った』と言われて、真っすぐだなって(笑)。撮影の休憩中にお喋りがすごく盛り上がって、学校の先生に怒られるようなテンションでスタッフさんに叱られたことがありました(笑)」

田牧そら

山崎天

役者としての真価、涙

 本作は、現代ショートショートの第一人者と目されている田丸雅智氏が完全オリジナル原案で描く、高校を舞台にした9つの物語からなる。

 主人公・奥野こころ役を演じる田牧そらは、若干15歳ながら映画、ドラマ、CM、バラエティと幅広く活躍する10年以上のキャリアを持つ実力派だ。『AI崩壊』で演じた主人公の娘役も記憶に新しい。社会的な作品で強烈な印象を残してきた彼女が挑戦するのは初の高校生役。

 田牧「新鮮でした。あまり同世代の方とお芝居をする機会がないので勉強になることもたくさんありました。これまで自分に足りないものがあるというのは分かっていましたが、具体的には見えていなくて。それがはっきりと見えた気がしました」

 同世代との芝居は楽しさもあった一方、刺激にもなった。そして、気付きも与えた。視界が開けるように課題がはっきりとした。

 田牧「監督から、もう少しテンポを変えてみようと言われてハッとしました。皆とのお芝居で、私はまだリズミカルなお芝居が出来ていなかったかもしれないと気づいて。この作品で自分の力は出し切れたと思いますし、テンポのいいシーンなどがたくさんありますので、そこを見て欲しいと思います」

 一方、こころの親友・同級生・鳥居あすか役を演じるのは山崎天。昨年12月に発売した櫻坂46の1stシングルの収録曲「Buddies」で最年少センターを務めるなど、活躍が目覚ましい。そんな彼女が本作でドラマデビューを飾る。

 山崎「初めてのオーディションで合格するとは夢にも思っていませんでした。演技の経験もほとんどなくすごく不安でしたが、現場での日々を重ねて、皆の姿を間近に感じながらお芝居しているとすごく良い刺激になって。成長する機会になりました」

 当初は不安だったという芝居だが、そんなことを微塵も感じさせない。それを象徴するシーンがある。最終話となる第9話「青春玉」で見せる互いに涙を流すシーンだ。役を掴んだ瞬間とも言える重要な場面だが、実は最初の方に撮影したという。

 山崎「あのシーンは前半に撮ったんです。リハーサルでは難しくて、現場にもまだ慣れていない状態でしたし、泣く演技もまったくした事がなかったので、分からなくて困惑していました。実際どうだったかも覚えていなくて。でも海で一緒に走るシーンを先に撮っていたので自然と気持ちが溢れました」

 田牧「あすかが言ったことに対して反応するという感じでしたので、どうくるんだろうと思っていました。本番が始まると、天ちゃんがぐわーと泣いて、その姿を目の前で見ていたら私も自然と思いが湧いてボロボロと涙が出て来て。まだ撮影が始まってそんなに経っていなかったんですけど、天ちゃんの存在が大きくて、このシーンのおかげもあって短い時間で役としての親友関係が作られたと思います」

田牧そら

山崎天

お互いの存在が作り上げた、こころとあすか

 本作の見所の一つに、青春とファンタジー要素の掛け合わせがある。「袖サロン」や「なまリップ」「腹ベル部」など、タイトルだけでも興味がそそられる。例えば、袖サロンは、袖を髪と見立て、自然と伸びる袖をオシャレな“髪型”にする物語だ。自然と「フフフ」と微笑んでしまうが、それぞれで描かれるのは、青春特有の甘酸っぱさと温もり。そして、役者に求められるのは想像力。しかしそれをも超える内容だった。

 田牧「台本を読んでこんなにゲラゲラと声を出して笑ったのは初めてというくらい面白かったです。色んな作品を見てきましたが、新しくて、これを私が演じられるんだとすごく楽しみな気持ちでした」

 山崎「1回読んだだけでは理解できないところがたくさんあって、何度も読み返して想像しました。でもそれを超えることが現場でたくさん起きてすごく面白かったです。なかでも第64話の『紺ソの森』は全く理解できなくて、現場で初めて見たときに『こうなってるのか』と答え合わせするような感じで面白かったです」

 田牧が演じるこころは、のんびり屋の両親に育てられた高校1年生。高校に入学し、キラキラした未知の世界に触れることで成長し、同時に友情を育んでいくという役柄。ほんわかした性格は観るものを和ませる。

 田牧「こうしようと思って現場に行ったわけではなくて、現場であすかや皆に会って、衣装に着替えていくなかで、こういう感じかなと掴んでいきました。皆がいたから出来たこころだったと思います」

 一方、あすかは優しくこころを見守る、しっかりものの優等生だ。田牧があすかたちの存在がこころのキャラクターを生んだと語ったが、あすかもまた、こころたちの存在が作り上げた。

 山崎「台本を読んだときは『あすかはどんな子なんだろう』と考えても表現が出てこなくて悩みました。でも『そのままでいいよ』と言って下さったので、そのままの状態で現場に入って、こころや周りの子と喋っていくうちに、あすかってこういう所あるなとか、こころに心を許しているとかが見えてきて。こころに対して尊敬する部分があって、こころだから笑えるんだというのも自然と分かってきて。こころがいたからクラスに馴染めたのかなって思います」

田牧そら

山崎天

芝居に開眼

 田牧にとって初の高校生役。山崎にとって初のドラマ出演。同世代の仲間に刺激を受けた本作。この先の未来にどのような影響を与えそうか。

 田牧「天ちゃんからたくさん刺激を受けて私自身成長できましたし、天ちゃんとだったから素敵な作品になったと思います」

 山崎「私にとって大きな経験です。アイドルはどれだけ自分らしさを出せるかというのが鍵になってきますが、演技は全く違っていて。自分以外の人になれる難しさと面白さに魅了されてしまい、終わった後ももっとお芝居がしたいと思っていました。そらちゃんと続きやりたいねってずっと話していました」

 本作で魅せたのは、この年齢だからこそ生み出せるピュアさ。早くも期待するのは、本作とは全く異なる役柄だ。そう思わせるだけの芝居を本作で魅せている。

 山崎「色んな役をやってみたいです! そうした役に挑戦したくても、今まではどこから手を付けていいか分からない状態でしたので、これをきっかけにもっとやりたいです。これからもお芝居は続けていけたらと思いますし、もっと吸収していきたいです」

 そう目を輝かせる山崎。その姿を優しい眼差しで見つめる田牧。こころとあすかがそこにいるようだった。

田牧そら

山崎天

(おわり)

◎…田牧そら
ヘアメイク:石邑麻由
スタイリスト:野田さやか

ブーツ 20,000円(パラディ クルール)
(問い合わせ先)
ハーモニープロダクツ 03-3874-6320

◎…山崎天
スタイリスト:市野沢祐大(TEN10)
ヘヤメイク:田村なおこ

オールインワン 42,900円/KIIT(TEENY RANCH)
その他スタイリスト私物
(問い合わせ先)
TEENY RANCH 03-6812-9341

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木村武雄
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