YOASOBI× 木原瑠生×小野莉奈、映画「たぶん」で感じたこととは
INTERVIEW

YOASOBI× 木原瑠生×小野莉奈

映画「たぶん」で感じたこととは


記者:村上順一

撮影:

掲載:20年11月13日

読了時間:約6分

 小説を音楽・映像で具現化するユニットYOASOBIが7月に配信リリースした「たぶん」の原作小説をもとに映画化され、11月13日より全国の劇場で公開。YouTubeでMV再生数が2億回を突破した「夜に駆ける」など原作小説を音楽に落とし込んできたYOASOBI関連作品としても初となる映画化だ。原作では1組の別れたカップルの一コマを描いた作品だったが、映画化にあたり「ササノとカノン」、「川野と江口」、「クロとナリ」という3組の男女の姿を描いたオムニバス作品となった。

 インタビューでは、今作の主題歌を担当するYOASOBIのikuraとAyase、そして、原作で描かれた今作の軸となるストーリー「ササノとカノン」に出演するササノ役の木原瑠生とカノン役を演じる小野莉奈の4人に、「映画『たぶん』を観て感じてもらいたいことなど、話しを聞いた。【取材・撮影=村上順一】

余白があるからこそ色んなことを想像出来る

映画「たぶん」

――ikuraさんと小野さんは幼なじみなんですよね。

ikura はい。中学生の頃から「いつか一緒にお仕事、共演が出来たらいいね」とずっと夢を語り合っていたんです。

小野莉奈 私は「女優になりたい」とikuraちゃんに伝えてから2人で夢を語ることが多くなっていきました。まさかこんなにも早く共演することが出来るとは思わなかったです。「夢は叶う」って昔の自分たちに教えてあげたいです。

――夢が叶うのはすごいですよね。Ayaseさんは、今回の原作小説がもとになった映画化というのは実は想定されていたり?

Ayase 想定外の出来事でした。今は映像も観させて頂いて、映画化されたことがすごく実感として湧いてきています。原作があり、僕らが作った曲があって、その先という取り組みの中で、感動を噛み締めているところなんです。こういうことが音楽で発信出来るというのは、すごく幸せなことだと感じています。

――映画化という一つの流れが出来たと感じているのですが、作品作りに影響を与える部分はありそうですか。

Ayase おそらく影響はないと思います。というのも、そこに向かって制作するというのではなく、常に全力で良い作品作りに向き合った結果として、今回のようなお話しに繋がったと思うので。また、こう言った形でメディアミックスに繋がったらいいなと思っているので、変わらずに良い曲を作って行きたいなと思っています。

――小説以外で映画などから曲を作ってみたいという思いはありますか。

Ayase いま行っているのは小説を原作として、それを音楽というカタチに作り変えているので、物語があって曲に落とし込むというところでは、映画などから作るというのも遠いことではないんじゃないかなと思っています。機会があればチャレンジしてみたいです。

――さて、木原さんは“たぶん”の逆の言葉とも言える「絶対」という言葉を使わないとお聞きしているのですが。

木原瑠生 僕の中で100%のものはないと思っていて、例えば「絶対無理だよ」とかそういった時に「絶対」という言葉は使いたくないなと思ってました。この映画の出演が決まる前から、“たぶん”という言葉は意識的に使っていたところもあって、自分は「優柔不断なのかな?」と考えることもあったんですけど、この“たぶん”という言葉自体に親近感があるんです。

――この映画を演じるのに適役でしたね。作品の中では別れたササノとカノンの距離感が絶妙だなと感じました。

木原瑠生 それはもしかしたら意識的にというわけではなく、ササノという役が、その距離感を作ってくれたのかも知れません。ちょうど僕はこの映画を撮る前に、「しっかり自分の思ったことを言おう」という気持ちが芽生えてきたタイミングだったので、その気持ちを持って演じさせていただいています。

――小野さんはカノンという女性をどう捉えていますか。

小野莉奈 カノンは自立したすごくしっかりとした女の子で、それもあってササノ君に将来ちゃんと考えているのか、など強く言ってしまうんです。でも、私自身はそういうタイプではなくて、どちらかというとササノ君タイプなんです。なので、演じていてすごく新鮮でした。

――撮影のエピソードはありますか。

 面白かったのが、最初の頃は木原くんと撮影が一緒になるシーンが少なくて、喋ることは少なかったんですけど、木原君が初めて聞いてくれた話題が、「合鍵って付き合ってからどのくらいで渡すと思う?」というもので、ビックリした記憶があります(笑)。

ikura Ayaseさんも「たぶん」を作っていた時に、似たようなこと話してました(笑)。

Ayase 確かにそんな話してました。ただ僕には合鍵を渡す、という経験はないんですけど。

――ちなみにその質問に小野さんはどのような回答を?

木原瑠生 小野さんは「結婚するまで渡さない」と話してくれて。

小野莉奈 そう答えた覚えがあります(笑)。

影から見守っていた

――ikuraさんは撮影も観に行かれたみたいですが、現場で見た小野さんはいかがでしたか。

ikura 何百回もお互いの夢の話をしていた莉奈ちゃんの、お仕事をしている現場を見たのはこれが初めてでした。その時に仕事をしている時の表情や姿勢がしっかりと見えたんです。撮影以外の時は和気あいあいと喋っているんですけど、本番に入るとキリッと表情が変わるんです。親友として見ていた表情とは違った莉奈ちゃんが見れてジーンときました。撮影が始まったら、集中力を妨げたくなかったので、彼女の視界には入らないように、影から見守っていました。

小野莉奈 なんだかikuraちゃんが私の親みたいだね(笑)。

――そんな小野さんの姿を見て、ご自身の意識にも変化が訪れたりしましたか。

ikura 私も常に「頑張らなければ!」と思っているんですけど、莉奈ちゃんの姿を見ていたら、よりそう思えるようになりました。

――最後に、映画「たぶん」でどんなことを皆さんに感じてもらえたら嬉しいですか。

小野莉奈 楽曲「たぶん」がなかったらこの映画はなかったかも知れないですし、こんなにも音楽と映画がリンクする作品もないんじゃないかと思っていて、私はそこに感動したので、観てくれる方々にはこの作品の物語もそうですけど、エンディングの楽曲まで楽しんで頂けたら嬉しいです。

木原瑠生 映画「たぶん」は小さなことが積もっていって、こういった結末を迎えてしまう、と(Yuki)Saito監督がお話してくれました。その中でひとつひとつの行動にちゃんと意味があるんだと思いながら演じました。観てくれる皆さんも登場人物誰かしらに共感できるものがあると思うのでこの作品から何かを感じてもらえたら嬉しいです。

Ayase 多くを語っていない、余白があるからこそ色んなことを想像出来る、どんな人でも実生活とリンクさせられる部分だったり、共感できるところがあると思います。映画『たぶん』は自分を投影させやすい、感情移入させやすい作品だと感じました。“たぶん”という言葉は曖昧であるからこそ、色んなことに通じる言葉だと思うので、エンディングで流れる曲も含めて余韻を楽しんでもらいたいです。

ikura 小説、楽曲、そして映画もタイトルが「たぶん」というのは珍しいことだと思います。そのくらいこの“たぶん”という言葉に色んな意味を持たせた作品になっていると思います。印象的なセリフがあって「たぶん私たちは何度やり直しても同じ結果になる。たぶん」という、自分から出た言葉に対しても“たぶん”という曖昧な言葉が使われていて、その意味を映画を観てくれた方たちが自由に捉えていただけたらと思います。自分たちの生活にも良い影響を与えてくれるような、映画と音楽になってくれたら嬉しいです。

(おわり)

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