グローバルボーイズグループ・JO1の2ndシングル「STARGAZER」の魅力に迫りたい。デビューシングル「PROTOSTAR」の「無限大」を聴いて感じたのは「世界標準の音楽」というものだった。期待が高まる本作はどうなのか。収録曲のうち「OH-EH-OH」と「So What」をサウンド面から2回に分けて考察したい。まずは「OH-EH-OH」。【平吉賢治】

シンプルでありつつ、力強い「OH-EH-OH」

 1曲目を飾る「OH-EH-OH」は、<Oh-Eh-Oh>というコーラスのバースから始まり、序盤から攻めのビートで展開されている。1stシングルの楽曲「無限大」でも感じたことだが、JO1の楽曲は特に、一貫してビート面に力が入っており、広くリスナーに受け入れられるグローバルなサウンドとして出力されている。

 具体的には、「OH-EH-OH」はシンセベースとキックの音が胸を打つように響く、基本的に4つ打ちビートで文句なしの立体感の音が迫ってくる。そして、複雑に刻まれた「キック以外の拍とシンセサイザー」が絶妙に、フレキシブルに絡むことで、スリリングに楽曲の迫力をブーストさせている。

 楽曲中盤のラップのバースではビートパターンがダークな雰囲気に変化する。これは「無限大」でもみられた大胆なセクション変化のアプローチでもあり、彼らの楽曲の特徴と言ってもいいのではないだろうか。音数的には少なくなっているが、シリアス感が緩和されたわけではなく、このセクションが前後の4つ打ちに挟まれることによって、楽曲全体にダイナミックな緩急をつけている。

 静と動のセクションを同じパターンでもう1まわし、というように展開するのがある種の“パターン”でもあると思われるが、JO1の場合は違う。ダークなビートのバースは1回のみ、その後は一旦、別種の静かなセクションを少し挟むだけで、あとは怒涛の展開と力強いビートで楽曲終了まで駆け抜ける。そして、エレクトロダンスミュージックでありながら、ラストの怒涛のビートの連続打拍はどこか骨太なロックのテイストも感じられる。

 また、特にどこかにフォーカスせずに聴くと全体的にゴージャスな印象があるが、パート自体はあらゆる楽器のパートが敷き詰められているというより、あくまでシンプル。ビートとベースの存在感が極めて強く、勢いよく、シンセサイザーなどの“上モノ”は最小限に、定型化されていない展開で斬新な起承転結を作り、JO1の各メンバーのボーカルを明瞭に浮き立たせている。

 「シンプルなサウンドでありつつ、力強く、ボーカルが際立つ」という部分は「OH-EH-OH」の最たる魅力と感じる。そしてそれは、“世界標準のサウンド”という部分にも繋がるのではないだろうか。現在、Spotifyなどのサブスクリプションのグローバルトップチャート上位を賑わすカーディ・Bやドレイクなどの楽曲からは、この点が強く表れている。「OH-EH-OH」は、歌詞の一節の<世界の果てまで Ah>という言葉がベストマッチするワールドワイドな感触の楽曲だ。

 次回は「So What」のサウンドについて考察したい。

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