INTERVIEW

磯佳奈江

真の卒業 開く本心 初写真集は分岐点 「変われた」


記者:木村武雄

写真:

掲載:20年09月08日

読了時間:約4分

 元NMB48磯佳奈江が、自身初の写真集『磯 佳奈江1st 写真集 いそちゃん』(KADOKAWA)を9月17日に発売する。「この写真集は今できる私の全てが詰まっています。大人になった磯佳奈江をいっぱい楽しんでほしいです」という本作は在籍時代から仲の良い市川美織、上西恵、川上礼奈、内木志が参加した。表現するのは、新たな「磯佳奈江」と「本心」だ。【取材=木村武雄】

 ※メイン写真/撮影=野木原晃一

磯佳奈江(撮影=野木原晃一)

笑顔と本音

 屈託のない笑顔を見せる。人懐っこい。同期にはかつて「童顔」と言われたこともあった。そんな彼女が初写真集で見せるのは大人の表情。そして、弱さ。「優しいと言われがちだけど、人の目を気にしているだけで、本当は頑固だし、誰かがそばにいてくれないと寂しい」

 そんな本心を表現した写真がある。「自分」という題を入れた笑顔の写真だ。

 人には表と裏がある。彼女の場合は「弱さ」が裏にあるのだろう。写真集で描かれるのはそうした飾らない人間っぽさ。弱さにもどこか温かみが感じられる、「ピュア」を伴った「弱さ」に惹き込まれる。

 磯が写真集の制作を通して気づいたことがある。「やっぱりサッカーが好き」、そして「NMB48の時は悔しかったんだな」

 2013年11月に『第1回AKB48グループ ドラフト会議』でNMB48に指名。翌年1月にNMB48のメンバーとして『AKB48 リクエストアワー セットリストベスト200 2014』でお披露目された。だが、2019年5月の卒業まで、シングルには選抜されることはなかった。

 「夢は必ずしも叶うものではないことを知りました」

 そんな彼女が「夢」の写真集を出す。「出したいと思っていましたが、私の様な立場が出せるとは思ってもいなかったので、夢過ぎて…。ほんと夢のようで今も信じられません」

磯佳奈江(撮影=野木原晃一)

磯佳奈江(撮影=野木原晃一)

奮い立たせたい

 大事にしている言葉がある。「夢に向けて本気か」

 「叶わない夢も正直ありました。でも言葉にしていたら、たとえ叶わなくても夢に近づけると思います。だから最初から『無理だ』と思うのはやめるようにしています。頑張っても無理なものはあるけど、やらなかったらその先もない。だから挑戦し続けたい」

 背中を押すのはそうした思い。そして、ファンの存在だ。

 「求めてくれる人がいる限りやりたいと思っています。卒業から1年が経ちますが、写真集が発売されることを喜んでくれるファンの方もたくさんいて。特設サイトで限定販売したものもありがたいことにすぐに完売。改めてファンの存在の大きさを実感しました。本当に感謝しています。大切に思いたいし、皆さんのために辛いことがあっても自分を奮い立たせたい。そして、想像を超えるような景色を見せていきたい」

 「想像を超える」その思いを今回の写真集に詰め込んだ。

 初挑戦の水着カットやランジェリーカットなど、ファンが驚くサプライズを仕掛けた。「サッカー女子で、ジャージでいることが多かった私からしたら驚きです。女の子が見ても可愛いと思えるものを作りたかった」

 読者を出迎えるのは、大人セクシーな磯佳奈江。ハートと唇の柄があしらった白のランジェリー。「可愛いものもやりたいと思いました。プリンを持ちたいとお願いしたら用意してくれたり、編集スタッフさんは私がやりたいものを叶えてくれました」。

 憧れは吉田朱里、模範にしたのは村瀬紗英。メイクも髪型にもこだわった。NMB48時代からのスタイリストにメイクアップしてもらった。「自分じゃないみたいな、新たな自分が見られると思います。きっと『これ誰?』みたいな」と笑む。

 全てに全力投球だ。NMB48も悔いはない。「全てやり切りました」。そして、本作も「やりたかったので嬉しい」。満足気な表情でこう語る。「タイトルだけを見たら『いつもの磯ちゃんかな?』ってなると思うけど、かなり攻めています。新たな私です」

(C)KADOKAWA PHOTO/MAKINO SHOTA

自信が出来た

 身体づくりのためNMB48加入前と同じ38キロまで絞った。「腹筋もお尻も頑張りました」。普段からジムでトレーニングを行っているが、こだわりたかったお尻、腹筋をメインにパーソナルトレーナーを付けて重点に鍛えた。その成果は際どいカットに表れている。お風呂でのカット、そしてNMB48をイメージしたヒョウ柄の水着。「読んで下さる方を驚かせたくて」とニヤリ。

 弱さも全てさらけ出した人は精神的にも強い、という話を聞いたことがある。エッセイにも包み隠さずしたためた彼女はきっと強くなれるだろう。「自信が生まれました」と言う言葉にも滲み出る。「字を書くことは苦手でしたが挑戦しました。出来上がりを見て、これまで自分自身を褒めたことはなかったけど、ほめてあげたい」

 表紙も自分で考えた。「お気に入りです!」。そして、共演した市川美織、上西恵、川上礼奈、内木志にも感謝している。

 殻を脱ぐ。グループ在籍時代は周囲に甘えている自分がいた。「昔の自分は責任を負いたくないと思って挑戦らしい挑戦もしていなかったかもしれません。でも今は挑戦出来ている自分がいます。誇らしく思います」

 今はしっかりと自分の足で立っている。これが真の卒業だ。「変われた瞬間だと思います。のちに振り返った時に分岐点だった言える作品になったと思います」。手応えは十分だ。

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磯佳奈江(撮影=野木原晃一)

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