MISIAが28日に、東京・Blue Note Tokyoでライブツアー「MISIA SUMMER SOUL JAZZ 2020」を開催した。本公演は7月20日にオープンしたBillboard Live Yokohamaのこけら落とし公演を皮切りに、Blue Note TokyoとBillboard Live Tokyoを舞台に、1日2部構成で計16公演が行われるスペシャルなもの。

MISIA

 MISIAは、本来であれば6月より全国ホールツアーの開催を予定していたものの、コロナウイルス拡大の影響によりツアーの開催を延期せざるを得ない状況となり、振替公演に関してもなかなか調整のめどが立たない中ではあるものの、一部ライブハウスが「ライブハウスから音楽の灯をともしたい」という想いで営業を再開したことで、MISIAが胸に抱いていた「今、届けられる音楽を皆さまに」という想い、そして音楽を紡ぐライブハウスという空間の存続の為に、微力ながら力になりたいという考えのもと今回のライヴ開催に至った。

 Blue Note、Billboard Liveは共にレストランスペースを兼ねた空間であり、通常のホールより安全なソーシャルディスタンスが確保できる。さらに客席を減らすことや、入場時の検温、手指消毒など考えうる限りの感染症対策を万全に行なったうえで安全に音楽を楽しめる環境を作り出した。そして、この2会場が音楽の根っこを支えるライヴハウスとしての側面も担っていることが大きい。またここから共に始めようというMISIAの想いがブレなく伝わるライヴとなっている。

 ライヴ本編は、音楽へのたくさんの想いと、かけがえのない日常への強い希望が込められたステージだった。

 先にステージインしたバンドのアンサンブルに迎えられMISIAが登場。オープニングナンバーは、今年1月&2月の大阪城ホールと横浜アリーナのライヴでもオープニングを飾った「CASSA LATTE」。会場からは声援の代わりにハンドクラップが咲き乱れる。

 なんとMISIAは、衣装に合わせたデザインのマスクを着用し、ただでさえ難易度の高い歌唱をパフォーマンス。

 息が乱れることなく幅広い音域を行き来するパフォーマンスは、コロナ禍の今だからこそ目撃できる貴重なパフォーマンスとなった。そのMISIAのボーカルを支えるのは、ジャズ・トランペッター黒田卓也を中心とした特別編成によるバンド。個々の凄まじい力量と遊び心を感じさせる演奏が初っ端から弾ける。

 3曲目では未発表の新曲を初披露。2曲ある候補から各曲の情報とイントロのみの演奏でオーディエンスが聴きたいと思った方に拍手を送り、拍手の多かった方を演奏するという趣向だ。結果、僅差で後に演奏した方の曲に決定。フルートの音色がカラフルな色を添えるフリーソウルのエッセンスを感じさせる曲だった。披露されなかったジャジーなイントロが特徴的なもうひとつの曲もかなり気になるところだ。

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 MCではアフリカのことを思い出すと語り、日本と違って安全な水や高度な医療に簡単にアクセスできない人が多いアフリカでは、一方で人と人との助け合いで命を守っている。SNSでの心ない言葉や嫌がらせなどが時に起こる先進国で人と人との助け合いができれば、今よりもっと感染症に立ち向かえるのではないか。アフリカ各地の難民支援活動を続けるMISIAらしい視線で語る内容に説得力が宿る。

 6曲目ではTBS「音楽の日」での放送で初披露され話題となった新曲「さよならも言わないままで」を披露。

 いまだ特効薬とワクチンがない中では、大切な人の死に際して、さよならもありがとうもできないこのウイルスをMISIAは「悲しいウイルス」と表現し歌い上げた。「この悲しみが早く止まるように、ひとりひとりが助け合って生きていけるように、そんな願いを込めて作りました」。コロナによって失ったものはたくさんある。けれどそれによって新しい音楽が生まれ、ライヴで聴ける今この瞬間を信じたい。会場にいる誰もがそう思ったに違いない。

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 本編ラストは「Everything」。そのメロディーと歌声は、きっと誰もの心にある美しい部分に水を撒くように染み込んでいき、時代を超越する名曲のたのもしさを実感した。

 なお、今回のプレミアムツアーには、うれしいお知らせが!8月23日20時からのBlue Note Tokyo公演を「LINE LIVE-VIEWING」でライヴ配信することが決定した。MISIAにとっては初の試みとなるライヴ配信。チケットは、8月3日より販売がスタートする。

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