三浦春馬さん、学生に見せた優しい眼差し
仕事のやりがいは「その人にきっかけに」
俳優の三浦春馬さんが18日に亡くなった。30歳だった。97年にNHK連続テレビ小説『あぐり』で俳優デビュー。これまでに数々の名作に出演。最近は音楽活動も精力的に行うなど活躍の場を広げていた。
14年放送の主演ドラマ『僕のいた時間』(フジテレビ系)では筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う青年という難役を演じ切り、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』では井伊直親として堂々たる姿を見せた。
印象に残っているのは、昨年公開の映画『アイネクライネナハトムジーク』の舞台挨拶。共演の多部未華子、矢本悠馬と共に登壇し、学生の悩みに答えた。
仕事をやってきた良かったと感じることは、と聞かれ「ふとした瞬間の嬉しさもあります」と語り始めた。
「業界の上下関係が良い意味でなかったり、昔出た作品で『心を動かされてこの業界に入りました』とか、『あの作品で頑張れています』、『ミュージカルを見るようになりました』と言われることが嬉しい。言ってしまえば他人ですが、その人の行動や頑張れるきっかけになった、という話を聞いた時に、あの時は大変だったけど良かったと思えます」
そのうえで「そうした仕事自体が血の通った職種なんだと強く感じられる瞬間に良いと思えます」。
その三浦さんは、仕事をする上で大切にしていることを、本作の撮影で今泉監督にかけられた言葉であると明かした。
「自分の気持ちだけにフォーカスを当ててしまって相手の表情や息遣いに気がまわっていなくて。(相手との普段の会話でも)どう思っているのかなという思考は(頭の)この辺りにある。そういうやりとりにリアリティがある、と監督に気づかされて。それからの仕事は、今泉さんの言葉を忘れないように大切にしています。初心に戻った言葉です」
参加した専門学生の多くは20歳。三浦さんとは10歳年下で、これから羽ばたこうとする学生に送る眼差しは優しく、そして真剣。イベントが終わり、学生と交じって臨んだ集合写真での撮影では屈託のない笑みをこぼしていた。30分程度のイベントのなかに人思いで、真剣で、温かい人柄をみた気がした。

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