2.5次元メタル集団のZAMBが6月10日、シングル「Love Satisfaction」をリリース。ZAMBは図画泉美(Vo)とGAK(Gt)を中心に、平成史を彩ったアニメソングをメタルアレンジして発表する異色のバンド。令和の時代に「アニソンメタル」を普及する為に活動を本格化する。本作はTVアニメ『邪神ちゃんドロップキック’』のエンディングテーマとなっている。ZAMBはYouTube にアニソンの数々の名曲たちをGAKがメタルアレンジをして図画が歌う動画を公開中など、精力的な活動の幅を見せている。ZAMBの活動内容や音楽的バックボーン、そして本作について話を聞いた。【取材=平吉賢治】
ZAMBの由来とバックボーン
――ZAMB結成のいきさつからお伺いします。
GAK 以前僕が活動していたヴィジュアル系バンドの解散後、「次はこんなサウンドをやっていきたい」と企画書やデモ音源を作っていました。“女性ボーカルで、こんなサウンドで、全体のルックスイメージはこんな感じで…” と細かくイメージしていました。ある日、プロデューサーである長戸大幸さんからご連絡を頂き、「”図画アニソンメタルバンド”というバンドがライブをする」ということを知りました。
後日スタジオリハーサルと本番を見学させて頂き、僕は「このボーカリストの横でギターを弾きたい」と強く確信しました。僕の思い描いていたイメージとすごく合致していました。その後プロデューサーを通じて、図画泉美と対面し、そのまま”ZAMB”という名前で活動していこうという流れになりました。ZAMBの由来は、Z (図画) A (アニソン) M(メタル) B (バンド)の頭文字からきています。
図画泉美 元々ソロで活動していましたが友達のバンドマンを見ていて私もバンドでやりたいなと興味を持ちました。どうせならソロでは出来ないような激しいサウンドをやりたいなと思って社長の長戸大幸さんに相談したときに、GAKさんを紹介されました。アレンジや演奏を聴いてこの人と組もうと思いました。シンプルにルックスに華があったこと、バンドを一緒にやりたいと思った理由です。
――ZAMBは2.5次元メタル集団として活動されていますが、なぜこのようなコンセプトになったのでしょうか。
図画泉美 GAKさんの提案です。彼は起きた瞬間からアー写通りの見た目らしいので自分の代名詞的な意味で2.5次元ってつけたんじゃないですかね(笑)。私たちは日本だけでなく海外の人にウケるバンドになりたいと思っています。そういう意味でアニメソングはチャンスがあると思いました。あとは単純にメタルの激しさって非日常でアガるからいいなって。
GAK ZAMBを始動させるにあたり、「知ってもらうためには何かキャッチコピー的なわかりやすさが欲しいな」と思いました。僕としても”アニメ的なカッコよさ”という事に関してはずっと憧れがありました。ZAMBはそういった見た目・サウンドが合うと思い、2.5次元メタル集団というコンセプト名を掲げています。所謂”厨二”的な表現ってありますよね。言葉にしろ仕草にしろ。非日常的で思わずクスッと笑ってしまう要素もありますが、やっぱりカッコイイという事には変わりないと思います。
――音楽を始めたきっかけは何でしょうか。
図画泉美 理由はありません。小さい頃から子供は全員歌手になりたくて生きていると思っていました。そうじゃないと気づいたのは中学3年生の頃でしたが、特に変更することもなく今に至ります。
GAK 元々父が、80年代のジャパメタシーンでMAKE-UPというバンドでギターを弾いていてアニメソングも多く手掛けていました。その背景もあって、僕が子供の時から家ではHR/HM系のギターサウンドが常に流れていて、幼少期から耳馴染みがありました。月日が流れ14歳の時に、T.M.Revolutionの楽曲をたまたま聴いて、一瞬でアニメ的・ヒーローなカッコよさに衝撃を受け、それを転機にミュージシャンを志すようになりました。
――YouTubeでもカバー楽曲を公開されていますが、嬉しかった反応や悔しかったことなどありましたら教えてください。
図画泉美 嬉しかったのは、フルで見たいという要望を頂けたこと。いつか音源でフルも作りたいです。
GAK コメント自体が嬉しいです。たとえそれが厳しい内容だったとしても、ZAMBの成長に反映していこうという気持ちになります。むしろ僕たちの動画再生し、そこにコメントを残して頂けるという事が幸せです。皆様いつもありがとうございます。
――特に影響を受けたアーティストは?
図画泉美 たくさんいすぎて絞り切れない…小さい頃、昔の映像を振り返る番組で見て衝撃を受けたのは中森明菜さんやちあきなおみさんです。憑依している感じがかっこよくて鳥肌でした。松任谷由美さんや井上陽水さんは天性の声質が素晴らしい。よく車でかかっていたので自然に覚えました。
GAK 邦楽ではB’z ,T.M.Revolution , X JAPAN , globe , access , the GazettE, 高見沢俊彦さん。海外ではzilch , Linkin Park , Bonjovi , Metallica , Amaranthe , DAVE RODGERSから影響を受けています。
ZAMBサウンドを提示する「Love Satisfaction」
――本作のテーマ、サウンドカラーについてお伺いします。
図画泉美 「Love satisfaction=愛の満足」です。
GAK タイトル曲「Love Satisfaction」は王道メタル、カップリング曲「君に幸あれ」はGAKエッセンス満載のモダンメタルZAMBが織りなす2つの“激しさ”が楽しめる作品になっています。
――歌詞はどのような着想で書いたのでしょうか。
図画泉美 アニメのキャラクターの邪神ちゃん目線で書きました。あの人が憎い!けど愛してる!けど1番憎い! でも愛しちゃってる!みたいな感じ。
――アレンジはどのように進行した?
図画泉美 基本はGAKさんに丸投げです。私は「花火の爆発音とかあります!? あと獣の声! なんか違いますよね!? もっと激しい鳴き声!! クレイジーなやつ!! これこれ!」とかってスタッフさんに言ってたくらいです。
GAK 「Love Satisfaction」は作曲者である木田竜也(from GARL)のマルチトラックデータに対して僕がシンセ・バッキングギター、ギターソロを重ね整合性を図りました。
映画音楽のようなスリリングさと開放感を意識しました。
「君に幸あれ」はメロディーとコードワークを鍵盤で考え、そこが完全に決定してからアレンジ作業に取り掛かりました。制作当初は今よりちょっとマニアックな始まり方でしたが、「1stだしもっと分かりやすくインパクトが欲しいなあ」と感じ、サビのキメ部分を頭に持ってきたらガッチリハマりました。僕なりの「戦闘系アニメ感」を表現しました。
ZAMBサウンドであると同時にクリエイターとしてGAKエッセンスを詰め込めたかなと思います。
――制作やレコーディングはスムーズにいきましたか。または難航した部分も?
図画泉美 どうでしょう? スムーズにいった気がしています。忘れてるだけかも??
プロデューサーの長戸さんと話し合いをしながら歌詞を書きましたが、イメージを擬音で伝えられたときは読み解くのに多少苦労したかもしれません。スタッフのみなさんもアーティストに負けず劣らずの熱で制作を支えてくださるので、助けられながら必死にやるうちに出来上がっていました。
GAK 一時はシンセも含めとにかく音数が多く、データ量に一瞬頭がパンクしそうでした(笑)。夜中にアレンジ作業をして翌日聴き直す…そういったことを繰り返し微調整をたくさん重ねて本作が完成しました。結果として音数が洗練され無駄の無いソリッドな本作に仕上がったと思います。
世界で愛されるZAMBサウンドメタルを作りたい
――YouTube動画ではWANDSやSIAM SHADE、ZARDやJUDY AND MARYなど、主に90年代に大活躍したアーティストの楽曲のカバーが観られますが、なぜこのアーティスト達の楽曲をカバーしようと思われたのでしょうか。
図画泉美 まずは王道をやりたいなと思ったので意見を出し合いながら"みんなが知ってる"を基準に選曲してきました。今後はさらにコアなアニソンもやっていきたいですね。
GAK 名曲と言われている楽曲は、メロディー・歌詞・アレンジどこを取っても緻密で素晴らしい。90年代は特にそれらが量産された時代だったと思います。カラオケでも絶えず老若男女に愛され歌い継がれています。僕たちも大好きな楽曲です。名曲を後世に伝えたいという想いとZAMBのサウンドを一人でも多く広めたいという想いが合わさった結果が、現在のラインナップになっています。そして、ZAMBも名曲を世に残したいという強い目標と使命感があります。
――「平成史を彩ったアニメソングをメタルアレンジ」という部分がありますが、その他のジャンルもメタルアレンジするようなアプローチも視野にあるのでしょうか。
図画泉美 個人的には振り幅の大きい、対極にあるジャンルもやってみたいですね。民族音楽とかスローなクラシックとか演歌とか。歌謡曲なんかはアニソンと曲調似ていたりしますし、格好よくなるんじゃないかな。あくまで個人的にはです(笑)。
GAK どんどん積極的にトライしていきたいです。特撮系の楽曲なんかも気になりますし、童謡の極悪メタルアレンジなんかも面白そうです。
――これまで観てきたアニメで最も印象深かった作品を教えてください。
図画泉美 この“最も”って質問難しいです!! 初めてのエンディング担当ということで『邪神ちゃんドロップキック’』そりゃあ思い入れが違います。キャラクターは可愛いし、神保町を歩きたくてたまらないですもん。
GAK 『ギルティクラウン』です。ずっと澤野弘之さんの音楽が大好きで、劇伴を聴いてそこからアニメを見始めたという流れです。
――音楽やアニメ以外でインスピレーションを受けるカルチャーなどはありますか。
図画泉美 映画が好きなので、仕事が何もない日に5本くらい見たりもします。でも、最近気づいたんですけど、私タイトルが覚えられないんです。ほんとに。覚えられない。
あと、海外旅行も好きです。現地の食べ物や住宅地が見たいです。気候によって理にかなった味付けがあったり、家の形が違ったりして面白いです。年代が違う人と話すのも面白いです。全部すぐ忘れちゃうので、インスピレーションを受けたらスマホにメモるようにしています(笑)。
GAK 映画は5歳の時『ロボコップ』と『ターミネーター2』を見て以来、映画も大好きです。アニメとはまた違った視点で楽しめます。
車は特にスポコン系やアメ車が大好きです。個人的にスポーツカーとヘヴィロック/メタルはすごく相性がいいと思います。僕自身ドライヴも好きなので運転で気分転換し、その過程でアイデアが思いつくこともよくあります。
――ZAMBが音楽活動をするにあたり最も大切にしている信念は何でしょうか。
図画泉美 進化する姿を見せ続けることです。
GAK 作編曲家として、メロディー・アレンジに対しての音像のこだわりは勿論あります。しかし何よりヴォーカリスト図画泉美の声があってこそのZAMBだと思っていますので、まずそこが活きる楽曲・ステージである事を常に考えています。
――最後に、これからの展望をお伺いします。
図画泉美 日本のファンを増やして一緒に海外にライブに行くことです。
GAK アニメソングを担当させて頂くという事、これは僕自身の音楽人生において目標の一つでもあったので感慨深いところもありますが、浮かれることなく音楽制作を突き詰めて、ZAMBをとにかく磨いていきたいというのが、今の心境です。やがて大きなステージでZAMBを届け、世界で愛されるZAMBサウンドメタルを作りたいです。ZAMBは始まったばかりですが、今後とも応援の程よろしくお願い致します!!
(おわり)