3人で「ダイナミック琉球」を歌ってみたい
――発声も素晴らしいなと思ったのですが、習ったりされていたのですか。
独学です。一時期ボイストレーニングに行った方が良いのかなと思い、泉に相談したこともありました。でも、泉は「まだ通わない方がいいよ。まだ自分の歌が確立出来てないから、まずはライブで磨いた方が良い」とアドバイスをくれたので、ライブで鍛えていきました。
――歌って不思議だなと思うんです。習わなくても上手い人が沢山いて、偏見かもしれないのですが、そのなかでも沖縄の方は歌が上手い人が多いイメージもあります。
確かに沖縄の人って他と違うよねということはよく言われます。もしかしたら遺伝子で何かあるのかも知れません。沖縄は音楽がすごく身近にあるんです。何かあればすぐに歌って踊ります。それを小さい時から耳で聴いて体感しているのが大きいのかなと思います。
――米軍基地があって、本場の音楽が身近にあったのも大きそうですね。
本当に環境は大きいと思います。
――音楽のスキルを身につけるには、沖縄に行くのも良いかも知れませんね。さて、2月6日に「ダイナミック琉球」がリリースされました。今回はおじさんではなく…。
曲の雰囲気と作曲者の方への敬意を評して、おじさんではなく平川美香として歌わせていただきました。でも、MVでは最後におじさんも登場するんですけど(笑)。
――ちゃんとおじさんも忘れてないぞと(笑)。
観てくれた方からは「美香ってこんな表情もするの!?」と驚かれたりしました。でも、最後におじさんが出てきて、ホッとしたという声もありました。改めておじさんは癒しだったんだなと思いました。
――確かに癒されますよね。「ダイナミック琉球」は甲子園の応援歌として日本全国に広がりを見せていますね。
今となっては応援歌、琉球魂を継承するというイメージですが、私はこの曲が出た当時からすごく好きで、ライブでも歌っていました。甲子園などでこの曲が流れて盛り上がっているとは知らなかったので、驚きはあります。その中で皆さんに観て欲しいのが、肝高の阿麻和利(※沖縄県うるま市の中高校生が、勝連城10代目城主である「阿麻和利」の半生を演じる現代版組踊)です。そこで「ダイナミック琉球」が使われているんですけど、涙が止まらなくなるくらいの演技力なんです。それもあって肝高の阿麻和利の方たちと一緒にやってみたいです。
――共演しているところを観てみたいですね! さて、MVはドローンを使用し沖縄の風を感じられる作品に仕上がりましたね。
天気が危うかったんですけど、一瞬晴れたんですよ。そのワンカットだけしか晴れなかったので、ミスが許されない状況で(笑)。
――それにしても、中々怖いところで歌ってますよね。
崖っぷちですね。風も強かったんですよ。
――怖いですよね。さて、歌として聴いてもらいたいポイントはありますか。ラップのようなパートもあり、聴きどころが多い曲だなと感じました。
ラップっぽいのは「くどぅち」と呼ばれる沖縄民謡で使う手法です。その後に優しく語りかけるところがあるんですけど、力強さだけではなく、しなやかさと風を感じられるような歌にしたいと思いながら歌っています。柔と剛が合わさった歌になったと思います。
――アレンジは壮大でまさにダイナミックな感じになっていますが、サウンドやアレンジに歌が引っ張られる部分もありますか。
もちろんあります。今回、中島みゆきさんとツアーを回られているピアニストの方にアレンジして頂いたのですが、最初に歌った時に、アレンジを変えないとダメだとなりました。もっと力強い音にしないと歌に負けてしまうと言ってくれて、それはすごく嬉しかったです。
――そうだったんですね。かなり前から「ダイナミック琉球」を歌っていたと話しておられましたが、リリースするタイミングも考えていたんですか。
考えていなかったです。ただ、ずっとこの歌を出せたら良いなとは思っていました。でも、自分としてはすごく尊敬している歌なので、カバーすることがおこがましいなと思っていたんですけど、マネージャーさんに話してみたら「いいじゃない、やってみたら」と、すごく背中を押してもらえたんです。
――過去に成底ゆう子さんがカバーされていますけど、それも羨ましいと思う部分もありましたか。
ゆう子さんの歌がすごく素敵でしたし、「いいなあ」というのはありました! でも、自分だったらこういうふうに歌いたいというのがありました。
――表現方法が異なる「ダイナミック琉球」を、成底さんと一緒に歌っているところも観てみたくなりました。
歌ってみたいですね。それこそ、作曲者であるイクマ(あきら)さんと3人で歌うというのは夢のひとつです。