３人の印象的な楽曲を語る
Ryuichi
――アルバムの収録曲のなかで皆さんが各々印象に残っている曲はどれでしょうか。
Ryuki 僕は「HIGH TIMES」と「STAY ALIVE」です。ベースのスラップから始まる曲って最近聴かないじゃないですか？ 特に「STAY ALIVE」はレッチリ（レッド・ホット・チリ・ペッパーズ）みたいな感じで。最近ムーディーなシンセベースで始まる曲とかはありますけど、スラップは珍しいかなというのもあり印象的だなと。
――ベースが印象的な曲ですよね。タイトルとサウンドもすごくマッチしてます。これはLeoさんとRyuichiさんが初めて共同制作された曲みたいですね。
Leo そうなんです。Ryuichiの家に行って初めてPro Toolsを見せてもらったのもその時で。「バンドやろうぜ！」となって初めて作った曲です。
Ryuki 最初はギター、ベース、ドラムという、レッチリみたいなシンプルな編成だったんですけど、アルバムに収録しようとなった時に各々のイメージがあったので、それを取り入れて今回の形になりました。
――そのアレンジ面では松岡モトキさんや宮田“レフティ”リョウさんの力も借りて。
Ryuichi 本当にお２人の存在はこのアルバムを語るには欠かせないものとなっています。
Ryuki 今回６曲に携わって頂いて、他の曲はセルフプロデュースさせてもらっています。宮田さんはベーシストでもあるので僕との話が早かったですね。
Ryuichi 宮田さんは音の振り幅が本当にすごいんです。色々と早いんですけど、逆にこだわりたいところは時間を掛けてしっかりやっていただいて。音楽の塊みたいな人です。
Leo アイデアの引き出しも多いしびっくりしました。
――ストリングスもフィーチャーされている曲も多いですね。
Ryuichi 入れる楽器の音のチョイスやフレーズは宮田さんにアイデアもらいました。
――松岡さんにはどのようなプロデュースを？
Ryuichi モトキさんはリーダーで、僕らがどういったものにしたいかというのジャッジして纏めて頂いて、それを宮田さんに形にしてもらうといった感じです。音の視点を合わせてくれたのがモトキさんですね。それもあって前作とは視点がガラッと違う作品になりました。さっきLeoがゼロ枚目と表現したのもそのひとつで、音の始まりから終わりまでぜんぜん違う方法論で作ったので、本当に自己紹介に相応しいアルバムになりました。
――変わっていないのは３人が演奏しているということで。では、Leoさんの印象的な曲は？
Leo 沢山あるんですけど「LITTLE WORLD」です。理由はすごく制作がスムーズだったということなんですけど。個人的に作りきったという意味では「LOVERS ROCK」です。
――「LITTLE WORLD」は今作のリード曲ですね。
Leo 何故かリード曲になりましたね。僕ら的にはどの曲がリードになっても大丈夫ですけど。
Ryuichi 客観的に聴いてもらってこの曲がリードっぽいよねとなりました。この曲の原型は全然今とは違っていてピアノアレンジの曲でした。それを聴いてもらって、アイデアを出していくなかでテンポを上げた現在の形になりました。
Leo 原型はほぼRyuichiが作ってきて、歌詞の最後のブロックの＜世界の中で僕に出会って＞からが俺が書きました。Ryuichiが作ったものに俺が返事をしていくというのも色んな曲で出来ました。
Ryuichi 「SEASON」も１番を僕が書いて、２番をLeo、大サビを僕が書いていたりします。同じ音楽でも見る視野がバラバラだったりするので。
Leo ジョン・レノンとポール・マッカートニー、ミック・ジャガーとキース・リチャーズみたいなね。それと似たようなことがこのバンドでは出来て、このバンドでしか出来ないことでもあります。
Ryuichi 時間はもちろん掛かるんですけど、それが面白いんです。出来上がった時の喜びも２倍３倍だし、それを引き出してもらった曲のひとつですね。
――「SEASON」はRyuichiさんは今作には入れたくないと最初言っていたみたいで。
Ryuichi はい。僕は当初は入れたくなかったですね。
Ryuki それを僕とLeoが説得してね（笑）。
Leo 歌詞とか含めて思い入れが強すぎて、入れたくなかったみたいで。
――ということはRyuichiさんの印象的な楽曲は「SEASON」ですか。
Ryuichi はは（笑）。もちろん思い入れはありますけど、「LOST AND LONELY」が気に入ってます。この曲はポケモンに例えると４進化ぐらいしているんです。元々はカントリー調でそれはそれでエモいんですけど、そこから進化して、ようやくアルバムに入れられた１曲です。アレンジを宮田くんと一緒にやれたのも嬉しかったし、Leoのイントロの歌詞ですでにこれはヤバいなと感じて、今好きな曲です。
Leo 自分たちが想像していたけど、辿り着けなかったところに辿り着けた曲です。自分たちだけではこの形に持っていくことは出来なかったんです。
Ryuichi そうだね。登山に例えると「一人でエベレストには登るな」という感じで。チームがいて初めて高い山に挑めるわけです。見えていた頂上ではあるんですけど、松岡さんと宮田くんというチームに出会えたことでその頂上をたどり着いたような曲なんです。
――かなり変化された曲なんですね。元のカントリーバージョンも聴いてみたくなりました。
Ryuichi 僕はカントリーも気に入っているんですけど、Leoが「こんな“イナタイ”の誰が聴くんだ」と言って（笑）。
Leo あのままでは世の中に届かないと思ったんです。届かないならもう一回届くように挑戦してみたいなと。ボブ・マーリーはメジャーデビューする前に出していた曲があるんですけど、その時は売れなかったみたいなんです。それをデビューしてからもう一回出して爆発的にヒットさせました。それもあって僕らが出したものが例え周りにダメだと言われようがもう一回挑戦します。
Ryuichi 僕が作った人様に聴かせられないような曲でも、信じて導いてくれるメンバーに出会えたことが良かったです。
――さて「SEASON」の話に戻るのですが、思い入れが強すぎてというのは具体的には？
Ryuki 傷口をえぐるようなことです（笑）。
Ryuichi 詳しくは言えないんですけど、キツかったですね。言ってしまえばレコーディングした時よりも今のほうがキツイかもしれない（笑）。曲を作ったのはもう３年ぐらい前なんですけど。歳なんですかね、言葉とか人の気持ちとか自分の魂が震えてしまう感覚があって。
――けっこう演奏するのも辛い曲だったりも？
Ryuichi いやいや、演奏は全然大丈夫ですよ（笑）。でも、w-inds.もそうですけど最近ツアーを周っていると一回はどこかで感極まって泣きます。
――それは30歳を超えてからでしょうか。
Ryuichi そうですね。w-inds.だとアルバム『Blue Blood』の頃ぐらいからです。
Leo 最近もありましたね。「SEASON」を１年半ぶりにやったときなんですけど、泣きそうになりながら歌ったのを今思い出しました。
Ryuki 3月29日の『RISING ROCK FES』の時だね。
――サウンドも相まって心にグッときますよね。
Ryuichi 今回サウンド面でも岩丸正さんという憧れのドラマーさんに全曲で参加していただきました。「SEASON」でもカッコいいドラムを叩いて頂きました。10月から始まるツアーにも一緒に周ってもらいます。僕らと松岡さん、宮田くん、岩丸さんの６人がひとつとなって“PARTYAGE”となってやれたなと思います。
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