結成15周年を迎えたTHE PINBALLSが11月24日、Zepp DiverCityで『THE PINBALLS 15th Anniversary Oneman “Go Back to Zero”』を開催した。2021年をもって、バンド活動を休止する事を7月に発表したTHE PINBALLSの活休前ラストライブは有観客と配信で行われた。15年の集大成を見せたライブはダブルアンコール含め全33曲を熱演し、THE PINBALLSの魅力を堪能出来た記憶に残る一夜となった。余すことなくロックンロールバンドのアティテュードを感じさせたライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

最高の今を生きようぜ!

THE PINBALLS(撮影=白石達也)

 15年間ロックし続けたバンドの活休前最後のライブ。静かに開演を待つオーディエンスたち。ライブへの期待感とこれが最後だという複雑な気持ちが入り乱れた時間だったと思う。

 開演時刻を少々過ぎたところでステージを覆う紗幕にこの15年間の活動の記録ともいえる、ライブのヒストリーが投影。そして、その紗幕にメンバーのシルエットが映しだされ、ギターのサウンドが鳴り響くと「片目のウィリー」でライブの幕は開けた。座っていたオーディエンスも立ち上がり、手を掲げバンドの放つサウンドに精一杯応える。序盤からアクセル全開のパフォーマンスで、この15年の想いを叩きつけていく。ロックンロールバンドとして最後まで全開で走り抜けよう、そんな気概を感じさせてくれた。「最高の今を生きようぜ!」と森下拓貴(Ba.)が投げかけた言葉。それを体現するようなナンバーの数々で、オーディエンスを盛り上げていく。

 この日初めてのMCで古川貴之(Vo.Gt)は、「今日で最後です。でも、これが最後じゃないと思ってステージに上がったことはないです。俺たちは何も変わりません」と、このライブに臨む姿勢はいつもと同じだと伝えた。

 轟音がけたたましく鳴り響いた「CRACK」は、一段ギアを上げたような演奏に圧倒される。彼らのリミットを感じさせないパフォーマンスにオーディエンスの振り上げる拳も力が入っていくのがわかる。古川は「人がいる感じがすごく温かいです。歌うことが心の底から気持ちいい。少しでもみんなに気持ちいい感じを味わって欲しい」と、想いを話し届けた「DUSK」。フロアも体を揺らしながらも楽曲をしっかり心に刻むかのように聴きいっている。

 ライブも中盤戦へ。古川が「踊ろうぜ、みんな!」と投げかけ「ダンスパーティーの夜 」へ。ミラーボールが光を反射し、ライブハウスがクラブへと変貌した瞬間。石原天のドラムと森下のベースのコンビネーションも最高にグルーヴィーで、そのビートに乗る中屋智裕のワイルドなギターと古川の歌も気持ちよさそうに弾けていく。

新たに進んでいくために出した答え

THE PINBALLS(撮影=白石達也)

 <疲れてしまったらここで眠ったっていい>という歌詞が活休のことと重なり、エモーショナルな一曲だった「way of 春風」を終え、古川は活動休止について言及。「(活休は)未来へ進むための決断で、諦めたから(活動を)やめるわけではないです。新たに進んでいくために出した答えなので」と、希望を感じさせた言葉から「朝まで歌い続けたいという歌を――」と伝え「蜂の巣のバラード」。この後に歌唱した「樫の木島の夜の唄」のようなミディアムナンバーもグッと胸に響く音を奏でてくれる4人。彼らの真骨頂とも言える激しいナンバーとの対比にハマる人も多いのではないか。そして、場所とシチュエーションが変われば、曲のスケール感も変わる、そんなことを痛感させた瞬間でもあった。

 キャッチーなサビと疾走感が最高な「20世紀のメロディ」は、オーディエンスの心の歌声が聞こえてきそうで、クライマックスのような雰囲気もあった。そして、ビートに乗って体を弾ませるオーディエンスの振動が2階席まで伝わってきた「重さのない虹」とアップチューンで畳みかける。ギターのフィードバック音が鳴り響くなか森下が「最高のゼロに向かって突き進むぞ」と叫び、「蝙蝠と聖レオンハルト」を投下。前のめりなアグレシッブなサウンドで、会場を席巻。

 止まることを知らない4人は「七転八倒のブルース」、ステージから放たれる光の演出も圧巻だった「ブロードウェイ」と、次々と楽曲を投下。「THE PINBALLSの中に制限はない」、と伝えたその言葉を体現するようなステージを展開し、ライブのボルテージは最高潮まで高まるなか「ひとりぼっちのジョージ 」、「ミリオンダラーベイビー 」、本編ラストは古川が「こいつらロックンロールだったなと思えるような曲を」と話し、「ニューイングランドの王たち」を全霊のパフォーマンスで届け、4人はステージを後にした。

 青に染まる無人のステージを眺めながら、アンコールを求める手拍子を響かせるオーディエンス。再びステージに戻ってきた4人。古川は「落ち込む時があったっていい。明日またやろうぜというのを歌いたかった」と届けたのは「ワンダーソング」、「思いっきりぶっ飛ばしていきましょう!」と「アンテナ」、「十匹の熊」を演奏し、ステージを去った。再び手拍子が巻き起こり、ダブルアンコールも行われた。古川は「拍手がいいね」とぽつり。そして、メンバー、スタッフ、ファンに向けて感謝を改めて伝える。「良い気持ちで帰れるよう」にと願いを込め「あなたが眠る惑星」を歌唱し、オーディエンスを扇情させた。ラストは「悔い残すなよ!」と古川が叫び、盛り上がり必至のナンバー「真夏のシューメイカー 」を全身全霊でパフォーマンス。圧巻の演奏にオーディエンスも最後の力を振り絞るかのように腕を振り上げ、ライブの幕は閉じた。

 現在、世界的に見たらロックバンドは流行りではないのかもしれない。でも、こんなにも素晴らしいロックンロールを奏でるバンドが日本にもいるんだ、ということを改めて証明してくれたかのようなライブだった。そして、真摯に音楽と向き合ってきた彼らが出した答えを、オーディエンスもしっかりと受け止めていたことを感じさせた。いつになるかはわからないが、戻ってくる日をいつまでも待ちたい。

 このライブの模様は12月1日の23時59分までアーカイブ配信されている。

セットリスト

【セットリスト】
「THE PINBALLS 15th Anniversary Oneman“Go Back to Zero”」
2021.11.24@Zepp DiverCity

01.片目のウィリー
02.ママに捧ぐ
03.ヤードセールの元老
04.アダムの肋骨
05.ICE AGE
06.ニードルノット
07.CRACK
08.マーダーピールズ
09.SLOW TRAIN
10.DUSK
11.sugar sweet
12.沈んだ塔
13.ダンスパーティーの夜
14.まぬけなドンキー
15.way of 春風
16.蜂の巣のバラード
17.樫の木島の夜の唄
18.20世紀のメロディ
19.重さのない虹
20.蝙蝠と聖レオンハルト
21.七転八倒のブルース
22.ブロードウェイ
23.毒蛇のロックンロール
24.carnival come
25.劇場支配人のテーマ
26.ひとりぼっちのジョージ
27.ミリオンダラーベイビー
28.ニューイングランドの王たち

セットリストをまとめたプレイリスト公開中
https://lnk.to/pins_gbtz

[ENCORE 1]

01.ワンダーソング
02.アンテナ
03.十匹の熊

[ENCORE 2]

01.あなたが眠る惑星
02.真夏のシューメイカー

ライブ配信

チケットは購入URL:https://w.pia.jp/t/thepinballs-pls/
チケット料金:アーカイブ2,500円
※12月1日(水)23:59までアーカイブ有り

この記事の写真

記事タグ

コメントを書く(ユーザー登録不要)