[Alexandros]が7月31日、Zepp Osaka Baysideで全国ツアー「ALEATORIC TOMATO Tour 2021」の大阪公演を行った。6月からはじまった「ALEATORIC TOMATO Tour 2021」。彼らにとって全国ツアーは約1年半ぶり、そしてリアド偉武(Dr)が正式に加入してからは初めてのツアーとなった。多くの注目を集める中で行われたツアーの節目ということで、7月31日のZepp Osaka Bayside公演は、配信でも観ることができた。

 開演時間を過ぎて間もなく、映像、照明、SEに合わせて、登場したメンバーが音を重ねていく。それは、現代美術のインスタレーションのようで、すべてのアートが時間や感情で蠢いていく様子を体感するという、このライブの入り口にふさわしいものだった。

(撮影=河本悠貴)

 今回のツアータイトルにある“ALEATORIC”が掲げられた“ALEATORIC MUSIC”には、“偶然性の音楽”という意味がある。いわゆる前衛芸術に捉えられることが多い言葉だが、[Alexandros]のロックも“ALEATORIC MUSIC”である――そう、ライブが進むごとに実感していくこととなる。なお、インスタレーションは“体験”を重視するアートで、まさにライブとも通じるのだが、それでいて彼らは、その感覚を、配信でも味わえるように表現に落とし込んでいた。

(撮影=河本悠貴)

 1曲目の楽曲(タイトル未定)から、ハンドクラップに包まれて“For Freedom”へ。まず飛び込んできたのは、音のカッコよさ。磯部寛之(B・Cho)が支えるボトムが際立つと、白井眞輝(G)のカッティングの精度が高まるという相乗効果。ユニゾンのフレーズが多いところも関わっていると思うけれど、そこに対するリアドのかみ合い方も絶妙で、息をのんだ。続いて“Boo!”と、これまたグルーヴありきな楽曲。ドラマー冥利に尽きるだろうけれど、いくら元々の技術がある彼でも、かなり鍛えたのだと思う。だからこそ、それによって生まれた気持ちよさは格別なんだろう。もちろん、リアドのみならず、他の3人も。このツアーを実現できたこと、信念を貫けていることで、自信も高まっているのか、貫禄も出てきたと思う。「とべますか大阪!?」という川上洋平(Vo・G)のひと言からはじまったのは、「Girl A」。サビで清涼感のある歌声を響かせ、エンディングではサングラスを外し、堂々と手をあげた。

(撮影=河本悠貴)

 エンディング……と書いたが、リアドはドラムを叩き続け、川上はメッセージを発し続ける。ノンストップの英語で不意を突かれたが、はっきりと「ロックンロール」だけは聞き取れた。そう、「ALEATORIC TOMATO Tour 2021」は、いわゆる曲間もMCもほとんどなく、このライブならではの“繋ぎ”が聴きどころだった。世界観に引き込むアレンジ力が発揮されていたが、休みなく演奏を続けるスタミナも圧巻。息がピタリと合ったアンサンブルと、サビのハイトーンに聴き惚れた「Dear Enemies」。

(撮影=河本悠貴)

 「声出せないこと言い訳にするんじゃねえぞ!」「配信で観てる奴らも家ん中で叫べよ!」という川上の煽りに、会場では手があがり、チャットでは「イエーイ!」が連発した「Waitress, Waitress!」。「Don’t Fuck With Yoohei Kawakami」では、味と技術と音色(と表情)、すべてが堪能できるギターを白井が弾きまくる。

 そこからの延長線上ながら、再び映像、照明、音像が一体となって、空気感を作ってから「Thunder(Bedroom Joule Ver.)」へ。ここからは、バンド感と“今”の融合、ライブ感とアートの融合を発揮する、至上のフェーズに突入。サポートキーボードのROSE(Eはアキュート・アクセントをつき)の活躍が光る、繊細なアンサンブルの「vague」。「カップルで観ている人、来てる人、失礼な歌うたいます」と川上が茶目っ気を見せた「Leaving Grapefruits(Aco.ver)」。ライブならではの“偶然性“のあるアレンジが、今まで以上に際立っていたと思う。

(撮影=河本悠貴)

 続いて、このライブで、ほぼ唯一のMCタイムに突入。このツアータイトルの由来である“偶然性”は、楽曲のアレンジや、インディーズ時代からオーディエンスと出会い続けてきた彼らの歩みにも繋がることを解き明かしていく。勇退した庄村聡泰を「今でも仲間」と紹介したり、そうして過去を大切にしながらも、「新人バンドだと思って」やっている心境も、臆さずに語ってくれた。特に、「朝起きて、今日もまた音楽できるんだなって思う」という言葉には、[Alexandros]のみずみずしさの源泉が見えた気がした。

(撮影=河本悠貴)

 みずみずしさ、といえば負けていなかったのが白井。「今日は白井くんが歌います」と川上が促すと、なんと白井が歌いはじめたのだ……あれ、BLANKY JET CITYの「SWEET DAYS」じゃないか!? 見るとギターはグレッチ! 往年のロックファンが沸き上がる中、「You‘re So Sweet & I Love You」へするりと繋げたところも、ルーツにリスペクトと、ロックは続いていくんだというメッセージが感じられて、単なるうれしいサプライズだけにはとどまっていなかったと思う。この楽曲も含めて、ここからは、より歌詞が染み渡ってきた。オーディエンスのハンドクラップも演奏のひとつとなっていた「This Is Teenage」。溜まっている感情を解き放ってくれる演奏で、《生き抜いていけ》と歌った「Starrrrrrr」。「いつか一緒に歌おうな!」という川上の呼びかけに笑顔で応えるオーディエンスが映し出された「風になって」。「声が出せないぶん、うちらが音出すから、全部投げつけてくれ!」という言葉に説得力を感じた「Philosophy」。《君は君でしかない》そう歌いながら、川上はカメラを指した。

 一体感が作り上げられた後、なんだか不穏な、だけど高揚するような、映像と音像が流れ出す。川上が「我々は本来、もっともっと暴れるバンドです!」と宣言し「Beast」がスタート。ぶっといサウンドに、これだ、これがライブだ、そんな衝動が蘇る。そして、5月にリリースされた最新曲「閃光」へ。シンガロングを筆頭に、決して屈しない彼らの魂が見える楽曲。ステージから大阪のオーディエンスへ、そして配信で世界へ――その想いはしっかりと広がっていった。続く「アルペジオ」でも、メンバーの全力のコーラスが響き、「Mosquito Bite」では磯部がカメラに向かって頭を振る。この時点で19曲目、タフすぎる! ラストは「PARTY IS OVER」。余韻をたっぷりと残しながら、5人はステージを降りた。

 熱い拍手に迎えられ、アンコールへ。メンバー紹介の後、はじまったのは「ワタリドリ」。すべての《傷ついた あなた》に、川上がマイクを向ける。誰もが心で応える。続く「Kick&Spin」では、カメラにマイクを向け、「生きていけ!」と絶叫する。《stay alright,stay alive》、今、これほど深く響く言葉があるだろうか。最後は、「LAST MINUTE」。すべて出し尽くすように寝転がり歌う川上。名残惜しくなる長いアウトロを奏でて、エンディングを迎えた。

 そして、スクリーンに映し出されたのは、10月の横浜アリーナ2Days、日本武道館2Daysの予定と、「ALEATORIC ARENA 4 DAYS」という、本邦初公開のタイトル!

(撮影=河本悠貴)

 そう、このツアーは、まだまだ終わらないのだ。ライブ後、ファンクラブ会員限定で公開された打ち上げ「あとがきのparty」では、このツアータイトルを改めて発表し、「これが本当のファイナル」と川上は言っていた。ツアーだけではなく、7月28日には庄村聡泰が勇退した3月の幕張メッセでのライブの模様を収めた映像作品『“Where's My Yoyogi?" at Makuhari & Documentary』もリリースしたばかり。彼らは、これからも止まらない。

 なお、この「あとがきのparty」では、この日に至るまでにセットリストが変遷していったという、ツアーの“偶然性”をより感じるエピソードも公開。最後の最後まで、彼らの人間味とスタミナ、そしてバンドを楽しむ気持ちが、キラキラと輝いていたことも付け加えておこう。ライブの配信は8月9日23:59まで、アーカイブで観ることができる。

 どんな時も走り続ける姿勢を、表現そのもので伝えてくれたステージを、ぜひ目撃してほしい。【文:高橋美穂】

セットリスト

[Alexandros]「ALEATORIC TOMATO Tour 2021」
2021年7月31日 Zepp Osaka Bayside公演
01.タイトル未定
02. For Freedom
03. Boo!
04. Girl A
05. Dear Enemies
06. Waitress, Waitress!
07. Don't Fuck With Yoohei Kawakami
08. Thunder(Bedroom Joule ver.)
09. vague
10. Leaving Grapefruits(Aco ver.)
11. You're So Sweet & I Love You
12. This Is Teenage
13. Starrrrrrr
14. 風になって
15. Philosophy
16. Beast
17. 閃光
18. アルペジオ
19. Mosquito Bite
20. PARTY IS OVER
アンコール
21. ワタリドリ
22. Kick&Spin
23. LAST MINUTE

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