4人組バンドのflumpoolが7月24日と25日、東京・J:COMホール八王子で自身10度目になる全国ツアー『flumpool 10th Tour「Real」』の東京公演を行った。このライブは2度の振替を経て遂に敢行された。ツアーは2020年5月にリリースされたアルバム『Real』を携え、同年10月2日の大宮ソニックシティ 大ホールを皮切りに全国31都市36公演で行うというものでそのツアーの最終公演ともなった。アルバム『Real』の収録曲を中心に2021年5月26日にリリースされた「ディスタンス」など披露した。アンコール含め全21曲を披露した24日のライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

色んな壁を乗り越えてほしい

flumpool (撮影=関口佳代)

 度重なる緊急事態宣言のなか、新型コロナウィルス感染対策を徹底し、収容人数を規制範囲内に抑えながら開催されたツアーもこの八王子2公演をもって幕を閉じる。昨年の10月から全国を回り、直接音楽を届けてきたflumpoolの旅が終わりを迎えようとしていた。開演前には阪井一生(Gt)による影ナレで、これから始まるライブへのテンションを高め、観客は声が出せないという状況の中、新しい試みも取り入れたステージに期待が高まる。

 「会いたかったぜ!八王子!!」の山村隆太(Vo)の力強い声に続いて、オープニングを飾ったのは「NEW DAY DREAMER」だ。バンドサウンドに加えオーディエンスの手拍子、メンバーのライブを心の底から楽しんでいることが伝わってくる笑顔オープニングからクライマックスのような盛り上がりを見せた。

山村隆太(撮影=関口佳代)

 そして、突き抜けるような開放感に満ちた「reboot 〜あきらめない詩〜」、まさに今この季節を感じさせる「夏Dive」と立て続けに演奏。山村は「心の声を聞かせてください」投げかけ届けられたのは「labo」。MCで山村が「ファイナルの気持ちでやります」と話していたように、そんな空気感を感じさせるパフォーマンスだ。オーディエンスも体を動かしてライブを楽しんでいる姿も印象的だった。

 山村は今日このライブに参加してくれた人たちに感謝を伝え、同じように来られなかった人にも、ライブに行かないという勇気を出してくれたことを讃える場面も。その想いを胸に全力でやっていく意気込みを伝え、flumpoolらしさが詰まったサビへの爆発力がたまらないナンバー「フリーズ」を届け、“らしさ”をブラッシュアップしたことを感じさせるエネルギッシュな演奏で魅了した。

阪井一生(撮影=関口佳代)

 そして、R&Bの要素を感じさせるクールなミディアムナンバー「ディスカス」。阪井のワウを使用したギターソロも印象的だった。続いてはストリングスのシーケンスが世界観を作り出していた「不透明人間」は、小倉誠司(Dr)と尼川元気(Ba)によるリズム隊の一体感が心地よく身体を揺さぶり掛ける。

 山村は「喜びであったり、悲しみをみんなで分かち合う空間が生まれているというのは嬉しいですし、すごく安心感があります」と、いうMCに続いて届けられたのは、いつか前向きになれる日を願って作られた「勲章」。山村はアコギを手に取り、トワイライトを感じさせる照明の中、丁寧に歌を紡いでいく。そして、今度は阪井がアコギを織り交ぜて楽曲にオーガニックな要素をプラスしていた「ほうれん草のソテー」は、今のflumpoolを存分に感じさせるパフォーマンスだった。

 ここでゆっくりと音楽に浸って欲しいということで、メンバーもオーディエンスも着席スタイルでのセクションへ。届けられたのは家族について歌ったという、「初めて愛をくれた人」。続いて山村がDJを務めるラジオ番組FM802「Radio Fields」のリスナーとともに作り上げた「大丈夫」と、この時代だからこそより響く楽曲を歌唱。

 そして、「僕も声を壊してから色んなことに気づいたんですけど、苦しい時は誰も構ってくれなくていい、一人になりたいという自分と、どうにか助けてくれという2人いる気がして...。あの時に誰かと繋がることができなかったら今日ここまで来れなかったと思います。一人になりたい自分もいるけど、最後の最後はあなたを想ってくれている誰かと一緒に過ごしてほしい、色んな壁を乗り越えてほしいと思います。そんな想いを込めて――」と「HELP」を届けた。その想いをしっかりと受け止めるオーディエンスの姿も印象的だった。

未来に変化を求めていくことを歌い続けたい

山村隆太(撮影=関口佳代)

 再びスタンディングでのステージに。ドラマ『知らなくていいコト』の主題歌でシリアスなナンバー「素晴らしき嘘」、さらに音源よりもバンドならではのロック感、疾走感を感じさせた「アップデイト」でflumpoolの深淵へと惹き込んでいく。オーディエンスも腕を掲げバンドの放つサウンドに応えていた。

尼川元気(撮影=関口佳代)

 ライブはラストスパートへ。ここで事前に知らされていたライブ応援アプリ「PEPEンライトReal」を使用してのナンバー「PEPEパラダイス」に突入。このアプリは振れば振るほど色が変わっていくという動きと連動したもので、ビートに合わせオーディエンスもステージに向けスマホを振り続け、華やかな空間を演出。ステージとフロアが一体となった瞬間でもあった。代表曲「星に願いを」から本編ラストは「Hydrangea」へ。山村、阪井、尼川の順にメインボーカルをチェンジし、ライブならではの演出で楽しませ、ステージを後にした。

小倉誠司(撮影=関口佳代)

 アンコールを求める手拍子がホールに響く。ツアーTシャツに衣装をチェンジしたメンバーが再びステージに登場。山村は「最高です。こういう幸せな時間があるんですよね...」と、ライブができる喜びを噛み締める。

 アンコール1曲目は人と人の繋がりを感じた1年、大切な人との繋がりを描いた新曲「ディスタンス」を届けた。音源はバンドサウンドから逸脱した打ち込みを主体にした作品だったが、ライブでは小倉がパッドを使ったシンセドラム、尼川は鍵盤でシンセベース、阪井はギターを生演奏と、音源とはまた違った印象、生のグルーヴを存分に感じさせたパフォーマンスで届けた。

flumpool (撮影=関口佳代)

 そして、山村は「未来に変化を求めていくことを歌い続けたい」と、デビュー曲「花になれ」を披露。歌詞にある<繰り返しの日々が嫌んなって いっそ可憐に輝いてみようか>という言葉のように、常に変化、進化を求める想いが響き渡り、ラストは「two of us」へ。フロアではビートに合わせ大きく左右に揺れるオーディエンスの腕、一体感のあるクラップと最高の空間を作り上げ、大団円を迎えた。

 このコロナ禍で多くのアーティストがツアー中止や延期を余儀なくされたが、flumpoolはライブを行う事、音楽を届けることを止めなかった。エンタメは不要不急ではない、表現者としての矜持が詰まったステージは未来への希望しか感じられなかった。この先どのような楽曲を届け、ライブを見せてくれるのか、flumpoolの今後の活動に期待が高まったステージだった。

セットリスト

flumpool 10th Tour「Real」
7月24日@東京・J:COMホール八王子

01.NEW DAY DREAMER
02.reboot 〜あきらめない詩〜
03.夏Dive
04.labo
05.フリーズ
06.ディスカス
07.不透明人間
08.勲章
09.ほうれん草のソテー
10.ちいさな日々
11.初めて愛をくれた人
12.大丈夫
13.HELP
14.素晴らしき嘘
15.アップデイト
16.PEPEパラダイス
17.星に願いを
18.Hydrangea

EN1.ディスタンス
EN2.花になれ
EN3.two of us

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