竹内まりやが29日、最高音質で提供する動画配信サービスMUSIC/SLASHで『LIVE Turntable Plus』を配信した。この配信ライブは2019年発売のアルバム『Turntable』とシングル「旅のつづき」のW購入特典で当選した約2000人が視聴した、竹内まりや初の配信ライブ『Live Turntable』(2021年2月6日)に未公開のライブ映像6曲をプラスしたもの。アルバム『Turntable』に収録された楽曲を中心に届けられた配信ライブの模様を以下にレポートする。(※ネタバレあり)【取材=村上順一】

夫婦放談Plus

 竹内まりやと山下達郎の2人による『山下達郎のサンデー・ソングブック「夫婦放談Plus」』と題し、ライブ配信の前に音声のみの放談を約20分間届けた。2人で無観客ライブをやってみての感想、配信ライブのメリット、観客がいることによる演奏への集中力についてなど語った。

 その中で竹内は自分の音楽を聴いてくれている人の顔がみたい、会いたい。それが自身がツアーを行うモチベーション、だと明かした。そして、山下がバンマスを務めていることに安心感があると竹内。ちょっと調子が奮わない時でも、メンバーにサポートされていると実感すると語り、今のバンドメンバーに信頼寄せていることが伝わってきた。

 なぜ生で配信しないのかということについて、まだ音響の技術として生でネット配信するのは、クオリティとして難しいと話す山下。この会話から並々ならぬ音楽を届けることへのこだわりが垣間見れ、様々な配信プラットフォームがある中で、このMUSIC/SLASHで配信する意味も、音へのこだわりからだという。

きっといずれ出口は見える

竹内まりや

 そんな貴重な放談で配信開始までの時間楽しませ、いよいよライブ配信がスタート。バンドメンバーはメインステージ、赤い衣装を身に纏った竹内は客席に設置されたセンターステージで歌唱。そのセンターステージはレコードのターンテーブル型というアルバムのタイトル『Turntable』を体現したステージだ。哀愁を感じさせるメロディが印象的なクリスタル・ゲイルのカバー「Don't It Make My Brown Eyes Blue 〜瞳のささやき」でライブの幕は開けた。

 竹内はメインステージに移動し「テレビの音楽ショーを観る感じで気楽に見ていただけたら」と語りかけ、山下達郎によるクールなギタープレイからスタートしたロックンロールナンバー「アンフィシアターの夜」は、心地よい8ビートの上で凛とした歌声を響かせた。そして、テレキャスターを抱えた竹内が映し出され始まったのは「マージービートで唄わせて」。60'sを感じさせるサウンドスケープの中、その時代へとタイムスリップさせてくれるようなパフォーマンスを見せた。そして、竹内は椅子に座り、落ち着いた雰囲気のなか歌唱した「待っているわ」へと紡がれ、緩急のある流れで魅了した。

 メンバー紹介から「きっといずれ出口は見えるだろうという希望だけは捨てないでみんなで協力しながら進んでいきましょう」と投げかけ、コロナ禍で疲弊した今にピッタリな1曲「元気を出して」を披露。包容力のある歌声で情感を込め歌い上げると、最後にマイクを両手で包み込み、祈るようにお辞儀をする竹内の姿も印象的だった。続いて、軽快なリズムが身体を揺らさずにはいられない「September」。トワイライトを感じさせる照明の中、ステージ上をゆっくりと歩きながら歌う竹内と、山下のグルーヴィなギターカッティングにも惹きつけられる。

 衣装をチェンジした竹内はセンターステージに移動し、山下達郎、佐橋佳幸(Gt)、宮里陽太(Sax)のアコースティック編成で「五線紙」を届けた。山下はミニシンバルでリズムを刻み、佐橋はガットギターで温もりのあるバッキングを奏でる。そこに乗る宮里のソプラノサックスも絶品だった。続いて山下、佐橋、三谷泰弘(Cho)の面子で、ピーター・ポール&マリーのカバー「悲惨な戦争」を歌唱。山下と三谷のコーラスが美しく響くなか、その上を泳ぐように竹内の歌声が彩る。そして、一転して軽快なビートにクラップが映える「天使のハンマー」と、幅広いジャンルの音楽で楽しませた。

 銀色の衣装にチェンジし、再びメインステージに移動し届けたのは、中森明菜に竹内が提供した「Oh No, Oh Yes」、「Natalie」と深みのある歌声を聴かせてくれた。続いて、様々な人々の人生に向けた“竹内まりや流応援歌”「静かな伝説(レジェンド)」では、間奏とアウトロで竹内がハーモニカソロを披露。そして、力強い歌声、エンディングのシンガロングと聴く人の背中を押してくれるようだった。おしゃれでソウルフルなナンバー「幸せのものさし」への流れも秀逸だった。

 ライブも佳境に入り「Sweetest Music」へ。スピード感のあるバンドサウンドに乗った竹内のダイナミックな歌声も魅力的で、よりライブ感を感じさせるパフォーマンスだった。続いて、アルバムには収録されていないエヴァリー・ブラザーズのカバーで「All I Have to do is Dream」を山下とデュエットで披露した。ゆったりとしたリズムと2人の豊かなハーモニーでレイドバックした空間を演出。ラストはセンターステージで竹内がキーボードによる弾き語りで「すてきなヒットソング」を歌唱。しっとりと、このライブの余韻に浸らせてくれるかのような歌声で締めくくった。

未公開映像

竹内まりや

 ここからは過去のライブから未公開映像を6曲を届けた。「山中湖 "Sweet Love Shower2012"」から「家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)」を開放感あふれる野外ステージでのパフォーマンスは美しい景色と竹内の歌声のマリアージュを堪能できた。続いては2010年の日本武道館公園より青を基調とした幻想的なステージで純白の衣装で歌唱する姿が印象的な「みんなひとり」。そして、2014年の日本武道館公演での「駅」は、目を閉じれば歌詞の情景が見えてくるような、歌の表現力の高さを感じた。続いて、同公演から「プラスティック・ラブ」を披露。サビでは山下が歌唱し、画面からも会場が大きな盛り上がりを見せていたのが伝わってきた。

 2010年大阪城ホールより「人生の扉」。人生を歌った壮大なナンバーから、最後は2014年大阪城ホール公演より竹内のピアノ弾き語りによる「いのちの歌」を届けた。人と人との出会い、共に生きていくことの尊さを歌うこの曲は、このコロナ禍でより強く心に響いてくるものがあった。全演目が終了し、1本の映画を見終わったかのような充足感に包まれる中、「またきっとお会いしましょう!」と最後にメッセージが映し出された。

 百戦錬磨のミュージシャンたちによる完成度の高い心地よい演奏に、竹内の表現力の高い歌唱力であっという間に100分間が過ぎ去ってしまった。見逃し配信(アーカイブ)は残念ながら用意されていないとのことだが、急遽この『LIVE Turntable Plus』アンコール配信が決定した。アンコール配信では6月11日、12日、13日の3日間の中から、それぞれが都合の良い日にちを選んで視聴することが可能となっている。

セットリスト

01.Don't It Make My Brown Eyes Blue 〜瞳のささやき
02.アンフィシアターの夜
03.マージービートで唄わせて
04.待っているわ
05.元気を出して
06.September
07.五線紙
08.悲惨な戦争
09.天使のハンマー
10.OH NO, OH YES!
11.Natalie
12.静かな伝説(レジェンド)/幸せのものさし
13.Sweetest Music
14.All I Have to do is Dream
15.すてきなヒットソング

■プラス未公開ライブ映像

01.家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム) 2012年(9月2日 山中湖 "Sweet Love Shower2012")
02.みんなひとり 2010年(12月4日 武道館)
03.駅 2014年(12月20日 武道館)
04.プラスティック・ラブ 2014年(12月20日武道館)
05.人生の扉 2010年(12月21日 大阪城ホール)
06.いのちの歌 2014年(12月13日 大阪城ホール)

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