斉藤壮馬が5月23日、東京ガーデンシアターで自身初となるライブツアー「斉藤壮馬 Live Tour 2021 "We are in bloom!"」のファイナル公演を開催した。本公演は2019年2月に舞浜アンフィシアターで開催したファーストライブ "quantum stranger(s)"より約2年ぶりのライブとなっており、オルタナやシューゲイザー、ギターロック、シティポップ等様々なジャンルを吸収し、自身の世界観として表現してきた斉藤壮馬ならではのステージとなった。

 開演時刻を迎えると、静謐な空間にSEの優しいピアノの音と共にステージ上に芽吹く草花の映像が流れ、サウンドが展開されるに合わせ成長してゆくと幻想的な森のように。その中に”S”のロゴがデザインされたキューブが出現するとその中に斉藤壮馬が登場。森の蔦が今回のタイトルWe are in bloom!の形に収束していくと、1曲目はデビュー曲でもあり、前回のライブのアンコール最後の曲でもあった「フィッシュストーリー」。旅をテーマにした前回からの旅の続きを彷彿とさせる始まりとなった。

斉藤壮馬(撮影=浜野カズシ)

 前半は声優として様々な役を演じてきたからこそ身についたとこれまでに本人も語っている声色や発声、感情ののせ方を、役ではなく自身を表現することに落とし込んだシンガーとしての楽曲が続く。「デート」や「夜明けはまだ」といった明るく楽しさを感じるシングル楽曲から、徐々に彼独自の世界観にどっぷりひきこまれる感覚と共に妖艶さをまとったダークな表現へと移っていく。

 MCでは、応援してくれる、支えてくれる方々がいるからこそ今がある、という感謝の念、ライブツアーの中で唯一中止となってしまった大阪公演、そこに参加される予定だった方への想いと、また必ず会いにいくという強い気持ちを口にした。その後ギターをかつぐと自身のイントロリフソロから「memento」へ。テレキャスターのシングルコイルが空間を切り裂くと、感情を爆発させるような表現が加わりバンドのボーカルとしての顔に変化。

斉藤壮馬(撮影=浜野カズシ)

 「エピローグ」、「パレット」と続き、最後はアルバムの中で8分を越える大作となった「いさな」。シューゲイザーらしい轟音と斉藤壮馬のあまく浮遊感のあるボーカルが会場全体を包み込み、物語はフィナーレへ。感情と呼応するようにアウトロは更にのばされ10分に迫る演奏となった。

 鳴り止まない手拍子の中登場すると、自身がガレージロックリバイバルを経験した世代だからこそ生まれた「Summerholic!」でアンコールへ繋がる。

 アルバム『in bloom』のリード曲「carpool」の後、最後のMCでは改めて感謝の気持ちと、ここで今日この日を終わりにするのではなく次に繋がる夜にしたい、と斉藤壮馬がこの日何度も口にした『次に』の言葉に、自分に出会ってくれた方々への前向きな想いが表れていた。アンコール最後では"さよならはまだ 次にとっておくよ"と歌われる『in bloom』のラストトラック「最後の花火」で、初めてのライブツアーが幕を閉じた。

斉藤壮馬(撮影=浜野カズシ)

 本公演の模様はライブ配信も行われているので<5月30日23:59までアーカイブ配信中>、これまでの楽曲にも様々なロックミュージシャンが参加しているが、その研ぎ澄まされたサウンドがライブでもより表現されている。声優という自身の核となる場所から、アーティスト、表現者としても広がり、進化を続ける斉藤壮馬からは今後も目が離せない。

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