浜端ヨウヘイが1月27日、メジャーデビュー2周年記念配信ライブ「Extra Large 2021 ONLINE -RHYTHM & MELODY-」を行った。「Extra Large」は浜端がライフワークにしている弾き語りワンマンツアーの名称。今回はデビュー2周年ということでゲストを迎えた特別版となる。【清水浩司】

 時間になるとライブハウスのステージに浜端があらわれた。会場は昨年の「Extra Large 2020 ONLINE」と同じ渋谷La.mama。アコースティックギターを軽くチューニングし、ゆっくりカッティングをはじめる。1曲目は2014年にファーストシングルとして発表された「結 -yui-」。雄大なメロディと伸びのある歌声が魅力の、これぞ浜端という楽曲である。続く「1号線」も不器用で泥臭く、“胸アツ”という言葉が似合うブルースフィーリング。持ってるギターが小さく見える、大きな男(公称192センチ、調子がいいときは193センチ)の大きな歌。まず最初の2曲で自己紹介を済ませると、「改めまして、浜端ヨウヘイでございます」と頭を下げた。

 ここで今日のライブの趣旨が説明される。昨年9月、浜端は京都で「Extra Large」2days公演を行ったが、それぞれ“RHYTHM”“MELODY”と副題を付けて異なるゲストを招待した。この日はそのゲスト両方が出演するので“RHYTHM & MELODY”なのだという。さっそく呼び込まれた1人目のプレーヤーはパーカッションのKAZU。ここからカホンやジャンベのアタックが加わり、楽曲がグルーヴを刻みはじめる。「むかしのはなし」では躍動するKAZUのプレイとバチバチのセッションを繰り広げ、あまりの楽しさにクーッ!と高笑いする場面も。いまだキープディスタンスが続く世の中だからこそ、猛暑の中のビールのように生身のセッションがたまらなく身体に沁みるのだろう。

 そこから一転、グランドピアノの前に座り、静寂の中、語るように歌いはじめたのは「証言台」。「証言台」というタイトル通り、後悔の念を吐露する熱いロッカバラードとして聴かせながら、歌は進むにつれ意外な展開を見せていく。そして最後に再び静かなピアノで改めて誓いの言葉――サウンド的にもストーリー的にも起承転結がはっきりしたこの曲は、さだまさし氏の楽曲を彷彿とさせる一風変わったラブソングとして響き渡った。

浜端ヨウヘイ

 さらにここで3人目の男が登場する。入ってきたのはNABOWAというインストバンドで活動するバイオリン・山本 啓(ひらく)。浜端が暮らす川崎市溝の口で3人で打ち合わせをした話から「溝の口セレナーデ」に雪崩れ込む。これまでの歌とリズムにバイオリンが加わり、曲の情感を増幅させる。次の「グビッ!~はたらき蜂讃歌~」は祭りばやし風の導入から労働者応援歌を歌い上げ、「グビッグビッ~!」「グビッグビッ~!」というノド越しコール&レスポンスを見せつけた。

 ここで3人は演奏をひと休みし、揃ってステージを降りてライブハウスの客席に出現したこの日限りの店舗である「MUSIC BAR はたらき蜂」に入店。さっき歌ったばかりの曲さながらに、グビッ!とお待ちかねのビールタイムを満喫する。こうして無人のフロアまで使ってしまうのは、まさに配信ならではの演出である。

 3人はアマチュア時代からの付き合いだけあって、リラックスした歓談からは仲のよさと相性のよさが伝わってくる。しばらく視聴者からのコメントに触れたりした後、浜端は小さなトラベルギター、KAZUはコンガ、山本はミニ鉄琴というかわいらしい組み合わせで、かつてABCラジオで浜端が出演していたレギュラー番組『Cheers!』(2019年終了)で毎週歌っていた「おめでとうありがとう」を演奏。この曲はその週に誕生日を迎えたリスナーを祝うという内容で、音源化されていないこともあり、久々に聴けたファンには嬉しいプレゼントになったことだろう。さらにこの日は実は浜端37歳の誕生日。歌の後にはサプライズでケーキが届けられるという微笑ましいシーンが待っていた。

 再びステージに戻り、後半は浜端と山本の2人でスタート。大陸的なメロディが胸を打つ「夜曲」は、浜端がプロデューサーである寺岡呼人の存在を知るきっかけになった矢野真紀のカバー曲。ロマンチックなプロポーズを歌った「月の瀬橋」と共にバイオリンの音色が繊細かつ大胆に舞い踊り、浜端の歌心を引き立てる。

 そこからKAZUが合流し、ラストまで3人で疾走した。今の時期のもどかしさを真正面から歌った「オンライン」はステイホーム中に浜端が自宅ですべて作り上げてYouTubeに公開したセルフプロデュース曲。この曲は曲調通り真正面からのアップの映像で、鋭くこちらをにらみつける浜端の視線にドキッとさせられた。「Peace」「停戦合意」とアップテンポで盛り上がった後に演奏したのは、大自然の息吹を感じさせる「Circle」。浜端の音楽を語ろうとすると“大”陸的とか“大”自然とか、どうしてもそのスケール感に行き着いてしまうのが面白いところだ。

浜端ヨウヘイ

 その浜端らしい“大きな歌”の代表が「MUSIC!!」である。「早くまたみんなで歌いたいね」とつぶやいた浜端は、全身で体当たりするように音楽にぶつかった。ミュージシャンとして器用ではないしスマートでもない。しかしだからこそ浜端は聴き手の心のドアを叩き、叩き、叩きに叩いて結果、涙腺を崩壊させる一本気な力強さを備えている。浜端の想いに応えるようにアウトロではチャット欄に♪ラーラーラーとコメントが並び、離れた場所でもファンとの一体感を創り出していた。

 本編ラストは昨年8月に発売された最新シングル「世界にひとつの僕のカレー」。今やカレーは浜端の代名詞だが、カレーを作るという行為と絡めた<何もないところからでも/幸せは作れるんだよ”“生きていればなんとかなる/失敗してもなんとかなる>という言葉は彼が伝えたい普遍的なメッセージである気がした。

 アンコールで出てきた浜端はピアノの前に座り、たった1人で歌いはじめた。「無責任」。無責任とは知りつつも、無骨に、愚直に、ガムシャラに、ひたむきに、何度も大丈夫と唱え続ける浜端の姿は一本の大木のような迫力がある。そしてステージにはKAZUと山本を今一度呼び込む。「かけら」は一番を浜端が弾き語りで歌い、2番に入るタイミングで2人が加わり、楽曲にダイナミックな陰影を植え付けていた。

 ラストに歌われたのは、2年前に発売された記念すべきメジャーデビュー曲「カーテンコール」。コンサートのラストに「カーテンコール」とはこれ以上ない選曲だが、幕が下りる場面を歌いながら、その先に拡がる未来が見えるところがこの曲の最大の特徴だろう。今回、浜端はまさにそうした部分を強調するように、バイオリン、パーカッションと絡みながらラストに向けて高揚していき、最後は渾身の想いを込めて<そして次の時代が始まる>というフレーズを叩きつけた。これまでにないトリオ編成という豊潤なアンサンブル。終幕だけどこれがはじまり、ここからがまた新たなはじまり――それは今の浜端の気持ちをもっとも端的に表しているようだった。

 浜端自身、MCで「今日は全部で19曲やったんですけど、1曲も減らせなかったし1曲も増やせなかった」と語ったように、この日のライブはボリュームたっぷりで、メジャーデビュー以降のほぼすべての曲を網羅していた。それはプロデューサーの寺岡呼人と二人三脚で歩んできたこの2年間の総決算であり、今後に向けての並々ならぬ決意の表明でもあった。

「3年目の浜端ヨウヘイも何卒よろしくお願いします!」

 新しい浜端の一端は、ワンマンライブとしては過去最多のメンバーで臨んだ今回の編成で垣間見えた。やはりこの人の大きな個性は大きな舞台でこそ映える。彼のサイズに見合った大成功と大活躍に大きな希望を抱いた夜だった。

 このライブの模様は2月2日23:59までアーカイブ配信される。

セットリスト

01.結 -yui-
02.1号線
03.ルノアール
04.むかしのはなし
05.証言台
06.溝の口セレナーデ
07.グビッ!〜はたらき蜂賛歌〜Ex.おめでとう ありがとう
08.夜曲
09.月の瀬橋
10.オンライン
11.Peace
12.停戦合意
13.Circle
14.MUSIC!!
15.世界にひとつの僕のカレー
En1.無責任
En2.かけら
En3.カーテンコール

Vocal ,Acoustic Guitar & Piano:浜端ヨウヘイ
Percussion:KAZU  Violin:山本啓[from NABOWA]

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