水谷千重子が4日、東京・明治座で芸能生活50周年を記念した初座長公演『水谷千重子50周年記念公演』の千秋楽をおこなった。同公演は2月22日から3月4日まで、10日間16公演をおこない2万2000人の観客を動員。 バッファロー吾郎 Aや原田龍二など様々な演者を迎えた芝居ステージ「とんち尼将軍 一休ねえさん」と歌唱ステージ「千重子オンステージ 歌えばコブシの花が咲く」の2部構成で観客を魅了。水谷は「今日で終わりかと思うと心に穴があいてしまいそうです」と10日間に及ぶステージを振り返った。

一休ねえさん

公演のもよう

 実力はもとより、そのお茶目なキャラクターで幅広い人気と人脈を誇る水谷も、はや芸能生活50年。その節目として、数々の大御所たちがその舞台を踏んだ伝統の明治座で、水谷千重子が初座長を務めた。開演と同時に流れたのは、華麗なる50年を振り返るVTR。豪華スターたち共演したステージ映像はもとより、デビュー当時の秘蔵映像まで。まだ日本に伝わったばかりの“ハンバーガー”を珍しそうに食べる、若かりし頃の水谷を写したモノクロVTRに明治座中の観客が釘付け。

気分も盛り上がったところで、お芝居ステージのはじまり。演目は「とんち尼将軍 一休ねえさん」。水谷の師匠でもある演歌の名門・二葉菖仁が、水谷の明治座初座長を祝って原案を担当したオリジナルの芝居。時は江戸の中頃。オープニングでは、町人たちが賑やかに踊り歌い華やかな舞台を演出します。千重子演じる一休ねえさんは、文聞寺で永仙和尚(バッファロー吾郎 A)の教えの元、仲間の小坊主たち(※トリプルキャスト/ずん、ハリセンボン、シソンヌ)と毎日修行に励む身。とんちが得意で、町で起こる事件をたびたび解決しており、中でも、悪事をたくらむ越後前屋(田山涼成)、娘のとみ(高橋ひとみ)、大番頭(あご勇)は、そんな一休姉さんにいつも邪魔をされ、一休姉さんを苦々しく思っているよう。

 一休ねえさんと小坊主たちが寺へ帰る場面では、花道から3人が登場し観客たちは大喜び。花道に立ち止まってとんちを考え始め、町人に見立てた観客たちに話しかけると大きな歓声が上がっていた。そんなある日、文聞寺に女性薬師(YOU)が訪ねてきました。永仙和尚を何度も「ハゲ」と呼ぶこの薬師は、そのころ町で蔓延している謎の病を治す治療薬を作るため旅を続けているという。薬師は「ハゲ」に強引に許可を得て寺に泊まり込むことに。薬師と和尚の丁々発止のやりとりは笑いの連続。

 とんちが得意な一休ねえさんをひときわ頼りにしているのが将軍家の家来・韮川龍右衛門(原田龍二)。イケメンでクールな龍右衛門さんですが、なぜかすぐに着物を脱いで裸を見せたがる癖が…。そんな龍右衛門さんに赤面しながらも一休ねえさんは龍右衛門さんが気になって仕方がない様子。龍右衛門さんの頼まれごとを喜んで引き受ける乙女な姿に、千重子の演技が光った。

原田龍二・水谷千重子

 一休ねえさんがとんちを使って事件を解決する場面では、その斬新すぎる方法に観客もビックリ! たとえば、有名な「この橋わたるべからず」と立て看板のある橋を渡るため一休ねえさんが持ち出したのはなんと石臼。この解決方法が現在大ブームのあのスポーツの由来だったとは。

 一休ねえさんが事件を解決できる理由は、とんちのほかにもある秘密が。実は一休ねえさん、夜になると寺を抜け出し、一番人気の遊女(※ダブルキャスト/尼神インター・誠子、ゆりやんレトリィバァ)のいる遊郭で遊女・しえんとなって彼らの悪巧みや町の情報を仕入れている。あまこうの美しさはさておき、千重子の堂々たる遊女姿は圧巻。チャーミングな小坊主の演技と打って変わって妖艶な演技と見事な歌声で観客を魅了した。

 ところがその遊郭を越後前屋が悪代官と手を組み無理矢理買い取ることに。さらに越後前屋は町で流行っている病をも利用しようと計画。そのころ病の魔の手は広がり続け、ついには龍右衛門さんの体にも異変が…。徐々に明らかになっていく一休ねえさんの生い立ち。

芝居エンディング

 薬師と同じところにある首の痣。そして文聞寺からは火の手が! 笑い満載だった芝居はだんだんと真剣味を帯び、名役者たちの熱演や大立ち回りに会場中が息を飲む終盤。一休ねえさんの活躍で見事大団円を迎えると、最後は、パラパラダンスととんちポーズが組み合わさったなんとも斬新なダンスを80年代に流行ったディスコミュージックブンブンダラーに合わせて踊り狂うというエンターテーメントショー、お寺の文聞寺とブンブンダラーがまさにダジャレで仕上がっているところも粋で気持ちいい!

千重子オンステージ

歌謡ショー

 幕間の後は、「おまたせいたしました!」と、2時間超の舞台をこなしたとは思えないほど元気な水谷の挨拶で、歌のステージ「千重子オンステージ 歌えばコブシの花が咲く」がスタート。

 客席では一斉にペンライトが揺れ始めた。衣装は水色に鶴とラインストーンをあしらったきらびやかな着物。デビュー曲「万博ササニシキ」、大好きな五社英雄監督映画をイメージした自身のヒット曲「五月雨道中」を歌唱。「あっという間に50周年」と笑いながら、改めて観客に来場の御礼を述べた。

 自身の50年を笑いを交えて振り返る小粋なトークを展開しながら、「ここまで来られたのも私、水谷千重子の努力の賜物です」と自画自賛で観客を笑わせる水谷。カバー曲のテレサ・テンの「別れの予感」や高橋真梨子の「for you…」は絶品というしかない。

 日替わりで千重子ファミリーの春澪、八公太郎、六条たかや、倉たけしも楽しいトークで大いにオンステージを盛り上げた。楽日には「今日で終わりかと思うと心に穴があいてしまいそうです。16公演毎日たくさんのお客様に来ていただいて、うれしすぎて、来年も再来年もやりたいと思ってしまいます」というと大歓声が沸き起こった。

 カーテンコールでは出演者全員が登壇。大黒摩季の「ら・ら・ら」を全員で合唱して全10日間16公演の幕が閉じた。

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