ONE OK ROCK(ワンオク)が16日、新曲「Renegades」を全世界でリリース。本作は23日に全国ロードショーとなる佐藤健主演映画『るろうに剣心 最終章 The Final』のために書き下ろされた楽曲。「Renegades」は、世界的ミュージシャンのエド・シーランと彼のホームスタジオがあるイギリスの郊外にバンドが訪ねた時に共作したもの。映画『るろうに剣心』シリーズ主題歌のワンオクの各楽曲を振り返りつつ、最新曲「Renegades」に迫る。

洗練された最新のワンオク

 ONE OK ROCKはこれまでの映画『るろうに剣心』シリーズの主題歌を担当してきた。1作目の主題歌「The Beginning」は、文字通り全ての始まりを力強く歌い上げ、疾走感のあるパワフルなサウンドで映画とバンドの世界観を表現した。

 「Mighty Long Fall」(京都大火編)では、失意、希望、再起と全ての要素をひとつの曲に、浮遊感と情熱、爆発力を併せ持つアプローチでその世界観を示した。さらに、「Heartache」(伝説の最期編)では志々雄真実との闘いに勝利して身も心も満身創痍な剣心を、アコースティックサウンドと美麗なコーラスが印象的な壮大なバラードで優しく包みこんだ。

 そして本作「Renegades」は『るろうに剣心』の最終章の主題歌。16日リリースの音源、公開されたMVからは、ワンオクの存在感、叫び、メッセージ、情念あふれるサウンドが生々しく滲み出ている。楽曲では、明治期が舞台の『るろうに剣心』の世界観に溶け込む和のテイストとも言えようイントロの旋律から始まる。そして静けさと気迫を醸し出すビートとアコースティックギターが絡み合い、弾けるような転換で重厚なギターアンサンブルと猛るボーカルにアンセム的なコーラスが広がる。各バースの緩急と歯切れ良い展開、物語性のある流れを見せる。そこから感じられるのは、洗練されたワンオクの最新の音楽性と言えるのではないだろうか。

研ぎ澄まされたロックミュージック

 良い意味で不思議だと感じたのは、最初に聴いた時点で、楽曲の各パートやアプローチがどのようなものだったかという印象がそれぞれ濃く残ったという点だ。一度聴いただけで「力強くも切なさを含むボーカル」「和楽器を思わせるパート」「大地を揺らすようなビート」「シンプルかつヘヴィで端的なギターアンサンブル」「ダイナミックで生命力みなぎるコーラスワーク」「エレクトロなテイストが施されたエディット」など、くっきりと記憶に残る。

 リスナーによっては、「Renegades Japanese Version」で唯一日本語で歌われている<すり込まれ 塗り重ねられた 嘘は僕らを飲み込んだ>という部分かもしれない。また、MVの描写に込められたメッセージや壮大なサウンド、コーラスのメロディなど、強く惹かれると感じる部分は人それぞれと思われる。本作で聴ける一つ一つの音と言葉は、ある種無意識の部分にダイレクトに届くような感覚があり、ONE OK ROCKというバンド、そしてロックのポテンシャルの深さと高さを再認識させてくれる。その点からも、「Renegades」は“研ぎ澄まされたロックミュージック”と表現したいところだ。

 また、Takaは英詞での歌唱だが、静かなセクション、サビやコーラスにあたる盛り上がる部分と、日本人の持つ“わびさび“とも言える抑揚は特筆すべき点だろう。

世界中に波及

 4分少々という長さの「Renegades」を聴くと、その楽曲の世界観に没入したからだろうか、体感的に短く感じられた。そこには、ある種の“無駄な音の情報”ともいえよう部分が一切なかったからではないかと思われる。

 エド・シーランとの共作ということもあり、ONE OK ROCKが元々持っていたワールドワイドなロックサウンドがますます洗練された、とも考えられる。場合によっては、アレンジをする際に曲間にギターソロを加えたり、最初の歌のセクションにはアコースティックギター以外のギターパートを目立つようにオーバーダビングするという発想も出るかもしれない。そして、ラストセクションのコーラスが壮大に広がる部分では、最もアンサンブルを厚くして締めくくるアプローチとしてギターをさらに大きく鳴らすというアイディアもあるかもしれない。はたまた、各所でカウンターメロディーの役割を担うオブリガードのギターを入れる余地もあると考えるかもしれない。

 しかし、本曲でそれらは全て見られなかった。「Renegades」では、全てのセクションで、出るべきと思われるパートが明瞭に浮き彫りになり、“行間”とも表現できよう静けさもあり、そして来るときは一気に襲いかかるように耳と体を覆う音の迫力が共に表れている。

 それこそ、『るろうに剣心 最終章 The Final』のために書き下ろした楽曲ということで、作品中の各キャラクターの切れ味光る様々な技、刀を使った俊敏な所作、居合抜きのような鋭いインパクトとリンクしているようにも感じられる。

 ONE OK ROCKという日本のみならず世界で活躍の場を広げているロック・バンド、世界的ミュージシャンであるエド・シーランとの共作、『るろうに剣心』という日本の幕末を舞台とした作品、そしてワンオクの最新楽曲。様々な要素が交差した本作は、『るろうに剣心』の最終章という作品の主題歌にふさわしいという点はもちろんだが、日本から発信される洗練された最新のロックミュージックがどのように波及するのか――「ワンオクは既にワールドワイドな存在」という認識のリスナーも多くいると思われるが、16日のリリース、MV公開直後からすでに国外の言語のコメントが数多く寄せられていることが物語っているように、「Renegades」で聴ける厚く壮大なコーラスのような熱い情念が世界中に広がっているようだ。【平吉賢治】

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