ポルノグラフィティが約2年ぶりとなるニューシングル「テーマソング」を9月22日にリリースし、新しく本格始動した。全国20箇所、28公演となる『17thライヴサーキット“続・ポルノグラフィティ”』の開催も決定。先月、YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』のパフォーマンスでも大きな話題を呼んだ彼らの新作は、さらなる高みへ向かうストーリーを大いに感じられる力作だ。その魅力に迫る。

新始動のファンファーレ

 ポルノグラフィティは9月3日、代表曲のひとつ「サウダージ」を『THE FIRST TAKE』でパフォーマンスし、大きな反響を呼んだ。この曲は、正に「サウダージ(郷愁、思慕、切なさ、などの意味)」が表現されているとも言えよう2001年リリースの名曲。

 改めて原曲の音源から聴くと、この楽曲のクオリティの高さを再認識させてくれた。歌や歌詞の素晴らしさはもちろんだが、サウンド、演奏面としては、メロディに対するベースラインやギターのフレーズ、ストリングスの旋律などが絶妙に絡むカウンターメロディ(メロディを際立たせる複数の別のメロディ。対旋律)が非常に華やかに楽曲を彩る。

 そして、『THE FIRST TAKE』のバージョンを聴くと、ポルノグラフィティの音楽家としてのポテンシャルの高さを大いに感じられ、楽曲の深みが一発テイクの生々しさと共にグッと胸に染み入る。

 このテイクの反響は、公開からわずか3日ほどで300万回再生超え、週が明けるまでYouTube音楽ジャンルの急上昇ランキング1位獲得、現在の視聴回数(10月4日時点)860万回再生という数字からも、彼らのパフォーマンスと楽曲の魅力を如実に物語っている。

 そんなポルノグラフィティの新曲が届いた。2019年のメジャーデビュー20周年の節目に開催した東京ドーム2daysライヴ以降、ポルノグラフィティの次なる新展開に向けて、岡野昭仁(Vo)、新藤晴一(Gt)、それぞれソロのクリエイティブに打ち込むこととなってから2年が経ち、新作リリースに全国ツアー開催決定と、新始動のファンファーレが鳴り響いたのだ。

楽曲から感じられる新しいストーリー

「テーマソング」通常盤ジャケ写

 最新曲「テーマソング」を聴くと、希望あふれる感情と、あらゆるリスナーの人生を肯定する感覚をおぼえ、奮い立つ。

 新藤による歌詞からは、不安や焦りを感じるなかでも、立ち上がって進む人の背中を押し、自分を信じて高く飛翔することを促し、新たな未来を描く意欲が湧き上がる数々の言葉が聴く者を鼓舞する。岡野が作曲した曲のメロディ、各フレーズは、蒼天を見上げるような光景が浮かび上がり、煌めきと清涼感にあふれるサウンドが胸を震わせてくれる。

 曲を再生させると、“始動”を感じさせるスネアやハンドクラップの拍が瞬時に楽曲の世界観に誘う。ボーカルと共に空高く昇るようなベースラインはリスナー各々の、そしてポルノグラフィティのこれからの道標を示しているよう。目の前の道を走り出すようにキックの4つ打ちが軽快に刻まれ、煌々としたギターアンサンブルに包まれる。そして、助走をつけるかのような、一旦ビートが抜かれたバースを経て、サビの最初の<壮大なテーマソング>という力強い、意思表明とも感じられるフレーズに達する。

 ここまでの流れでも雄大な物語性を感じられる。そして、注目したいのはここからの楽曲構成だ。1番が終わったらブリッジ(間奏部分)を挟み2番、再びサビ、という流れがポピュラーミュージックでは多くみられる展開なのだが、「テーマソング」では、次のサビに進むまでに、新しいストーリーを感じられえるのだ。

 それは、最初のサビの後に、2番へ進み、ブレイク部を挟み、<I can do it 言い切ってしまおう>という強烈なメッセージを際立たせる。そして、その直後に、4小節の端的かつ力強い、新藤のギターソロが轟く。

 続いてボーカルが入り、再びビートが少しの間止まり、クラップが際立ち、<その胸は 震えてるか?>というフレーズが心に浸透するように響き、これ以上ないのではないかというほどのダイナミズムで2度目のサビへ入る。ラストは、自然な流れで楽曲の導入と同様のセクションで歌われるが、最初と最後のセクションでは印象がまるで異なり、それぞれ別種の輝きを感じることができる。そして、リスナーへの問いかけのフレーズで締めくくられる。

 「さらなる高みの未来へ向かうビジョンを浮かばせる歌詞」、「清涼感と壮大さで包み込むサウンド感、楽曲」、「世界観を明瞭に受け取れる楽曲展開のストーリー性」。これらからは、約2年の時を経て始動したポルノグラフィティの新たな意思表明を感じることができるのではないだろうか。新曲「テーマソング」が放つエネルギーはあまりにも、パワフルだ。

 15日に公開された『THE FIRST TAKE』の「テーマソング」の披露では、岡野はパフォーマンスを前にこう話した。

 「――この2年間で世の中の色合いがちょっと変わっちゃって、こんな時だからこそ我々ミュージシャンができることは、みなさんにエールを届けることじゃないかと改めて感じたわけで、まあ、微力かもしれませんが、今日この曲でみなさんにエールが届けられたらと思います」。

 年月と作品を重ねるにつれ熟練され、勢い、表現力ともに増した岡野のボーカルは、ポルノグラフィティとリスナーの生命力を、より鮮明に輝かせる。

 「テーマソング」の『THE FIRST TAKE』での披露からも、音源からも、様々な言葉で、歌で、音で、曲の展開のアプローチで、想いで、ポルノグラフィティからエールが送られる。

 これからの新たなストーリーがキラキラと見えてくる最新曲。今という時代に心強く鳴り響く音楽を届けるポルノグラフィティの“新始動”に心躍り、美しく頼もしいエールを受け、胸は高まるばかりだ。【平吉賢治】

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