AKB48G“ミューズ”の軌跡:Nona Diamonds

山崎亜美瑠(NMB48)

「乗り越えるための挑戦」


記者:木村武雄

掲載:21年06月22日

読了時間:約9分

<AKB48G“ミューズ”の軌跡:Nona Diamonds(2)>

 AKB48国内6グループから最も魅力的な歌い手を決める『第3回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦』のファイナリスト、池田裕楽(STU48)、野島樺乃(SKE48)、岡田奈々(AKB48/STU48)、山内鈴蘭(SKE48)、矢野帆夏(STU48)、三村妃乃(NGT48)、秋吉優花(HKT48)、古畑奈和(SKE48)と、審査員特別賞の山崎亜美瑠(NMB48)によるユニット「Nona Diamonds」が「はじまりの唄」でデビューする。作詞・作曲は決勝大会の審査員を務めたゴスペラーズ・黒沢 薫。「9つのダイヤモンド」を意味する造語を冠したユニット名には「一人一人の歌声がまるでダイヤモンドのようで、これからも磨いていき、まわりの楽器と共にキラキラと輝いてほしい」との思いが込められている。今回、MusicVoiceでは9人のインタビューを連載。歌に見出された“ミューズ”はどのようにして輝き出したのか、その軌跡を辿りつつ「はじまりの唄」、そして歌への想いを聞く。【取材=木村武雄】

山崎亜美瑠、歌のはじまり

 審査員の高橋洋子は、ステージに立つ山崎に向かい、こう称えた。「真っすぐに思いを届けている姿に感動しました」

 第1回大会で4位、第2回大会で2位になった。満を持して臨んだ第3回大会はファイナリストに選ばれなかった。歌った感触から分かっていた。

 「順位を意識しすぎてちょっと力んでしまったことが反省点で、今回は無理かもって思いました。やっぱり悔しいです」

 そんな彼女に審査員特別賞が贈られた。

 「すごく驚きました。何でやろうって。でも嬉しくて。この賞をいただいて『次は順位に入りたい』と改めて強く思うことができましたし、次につなげるためにも改善点にちゃんと取り組んでパワーアップしたいと思いました」

 低音から這い上がる力強さと突き抜ける高音が特徴的だが、真っすぐな素直さも印象的だ。

 「私はハイトーンが得意な方だと思っていて、サビでグッと盛り上がる曲が歌いやすいですし、みんなに聴いてもらいやすいと思っています」

 決勝大会で選んだ曲は、映画『アラジン』の「スピーチレス~心の声」。音程の高低差が激しい上に、繊細さと力強さ、そして声量が求められる難曲だ。山崎の歌声には合っているが、挑戦だった。鍵を握るのは力まずに歌えるか。

 「力強い歌詞で、順調に順位を上げていたので、次は1位しかないよねという周りの期待もありました。そういうプレッシャーに打ち勝つためにもその思いをこの歌詞に載せて届けたかったんです。今まで歌ってきた曲とは歌い方も違い、今回はまだまだでした」

 口のなかで響かせる奥行きのある歌声。それを早くから課題にして練習を重ねてきた。

 「感情を出しつつも、ちゃんと太い声を出しながら歌うのがすごく難しくて。今後の課題だなと思いました」

 そんな彼女だが、大会に参加する前では歌が自分の武器になるとは思ってもいなかった。

 「友達から『歌が上手いね』って言われる程度でしたので、そう言われるなら特技の欄に書こうかなってぐらいの軽い気持ちでした。なので、自分がこうなるとは思ってもいませんでした」

 もともと音楽一家に育った。祖父がヴァイオリニスト、叔父と叔母はトランぺッター。両親も音楽に携わっていた。「そういう家でしたので小さい頃から音楽に触れる機会はありました」

 「歌いたい」と明確になったのは小学校4年の頃。

 「たまたま借りたDVDが『アリス・イン・ワンダーランド』でそのエンディングテーマがアヴリル・ラヴィーンの『アリス』でした。その曲を聴いてアヴリル・ラヴィーンにドはまりして。そこから私もギターを弾きたい、みんなの前で歌いと思うようになりました」

 小さい頃の体験は、その後の人生に大きく影響を与えることがある。

 「常に歌っている子でした。子供向けの音楽番組を見ながら歌っていましたし、なかでも印象に残っているのが、家の玄関での思い出です。網戸した状態で全開に開けるんですが強い風が入って来て。玄関にはカーテンがかかっていて、風が通るたびにフワッと膨らんで。その風を受けながら歌っていました。そういう遊びをよくやっていたので『歌いたい』と思うのは自然な流れだったかもしれないですね」

 鮮明にある当時の記憶。観察したものを記憶し、そして想像する、それは彼女のもう一つの武器になる。

 「過去の大会で私が歌っている時に審査員の方がヘッドホンを耳に当てながら聴いていてすごくうなずいてくれたんです。そうした反応はすごく嬉しいです」

 そしてこう続ける。

 「歩くときは結構音楽を聴くことが多いんですけど、頭のなかでストーリーを作りながら聴いているんです。想像力は結構豊かな方だと思っていて、歌う時もアニメの曲だったらアニメの主人公になり切って歌ったり、そういうのがもとから趣味というか、楽しいので自然とそうしています」

 歌っている時は想像したその世界にいる。

 「特に決勝大会では歌っている時のことは覚えていないんです。後で映像を見たら『え!これ私なの?』と驚くこともあります。普段、カメラマンさんは引きで撮って下さるんですけど、その時は顔の表情が良いからと寄ってくれたことがあって。後で知り嬉しかったです」

 幼少期に養った音楽はこの大会で輝き始めた。想像力と表現力で作り上げる彼女ならではの世界観で今後も魅了していく。『アラジン』の「スピーチレス~心の声」のように力強く。

「第3回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦 ファイナリストLIVE」より

ここからは一問一答。

理想の歌声、秋吉優花に憧れも

――理想とする歌い方はありますか。

 中低音域が消えずにはっきりと聴こえるように、歌詞もちゃんと届けられるようにしたいです。そのための息の使い方や発音、声量もちゃんとコントロールしながらサビにかけて盛り上がるような歌い方が今の一番の理想です。

――高音の伸びや力強さは武器だと思いますが、素直さ、真っすぐさも山崎さんの特色であると思います。

 私の歌を聴いていてパンっと響き渡るような歌声をしていると思う時があります。それとバラード曲にも向いているなと思っていて、たぶんそれは仰っていた素直さがもしかしたらあるのかもしれないです。それは持ち味としては忘れたくないと思います。でも、クセがないねとはすごく言われます。でもクセも少しは出したいですし、ちょっとうらやましいです。

――出したいんですか?

 はい! 秋吉優花さんは良い意味でクセが強くてすごくうらやましくて。椎名林檎さんがすごく好きなのでそういうクセの強いフックのある歌を歌えるようになりたいと思っています。

――秋吉さんとファイナリストライブで「ドライフラワー」を歌ってましたもんね。真逆のタイプで相性が良かったです。そういえば、山崎さん、YouTubeで色んな歌をカバーしてますね。あれでしっくり来た歌は?

 aikoさんの「カブトムシ」とかですね。最近アップしたYOASOBIさんの「怪物」もめちゃくちゃ良かったって言われます。

――私もいいなと思いました。

 ありがとうございます! 「怪物」はサラッと歌うのではなくて、ちょっと力を入れるので、そうしてみたり、すこし大目に歌ったり。そういうのはアレンジがきくので、遊んで遊んで歌ったのが楽しかったです! YouTubeではいろんな面を見せていきたいなって思っています。

「はじまりの唄」、魔法の言葉

――「はじまりの唄」を最初に聴いた印象は?

 ゴスペラーズの黒沢さんが作詞作曲されているともあって、ハモリをすごく大切にされていて、この9人が歌った時の綺麗さが一発目からウワーって鳥肌が立ちました。一人一人にあった歌詞で音域もちゃんと配慮されていて、ペアもすごく考えられていて。もう隅から隅まで計算づくされて、私たちのことをたくさん考えて下さったんだろうなということが一瞬でも分かる曲で本当に嬉しくて感動しました。

――自分の歌割を知った時は?

 いや、美味しいところを頂いたなって(笑)。私は基本、ハモリが多いんですけど、高音のハモリが結構多くて、もう1つ音を外したらズレてしまうような難しいところでもありました。そこもバチッと決まればかっこいいですし、2サビのところでは、私がメロディラインを歌ってるんですけど、得意の高音を生かせるような音域で。気持ち良く伸び伸び歌えるようなところがすごかったです!

――<この手に届かないものがある>というフレーズが印象的だったと話されていましたね。

 印象的でした! 第2回大会では、三村妃乃ちゃんと2位と3位だったんですよ。その2位と3位がこのフレーズを歌うほど心にくるものはないと思います。

――その三村さんはミュージカルのスクールに通って楽譜も読めて、山崎さんと話が合いそうですね。

 お互い、ドラフト3期生で、同期の存在はやっぱり特別です。年下ですが一番話しますし、お互いにここが良かったよと言い合ったりもしますし、ここは難しいからこうは? という話も気軽に言い合える存在です。大会になるとさすがにそういう話は出来ないんですけど、頑張ろうねとは言い合ってます。

――それと黒沢さんから何かアドバイスされたことは?

 中低音域の声を出せるかが課題なので、もうちょっと声量を上げて歌ったらいいと思うよと言われて歌ったら、すごく褒められました。<憧れのラブストーリー>というところです。

――黒沢さんに褒めてもらえると自信がつく?

 もう嬉しいです。魔法の言葉ですね。黒沢さんは褒めるところは褒めてくださって、ちゃんと改善した方がいいところはちゃんと言って下さるので、とても勉強になりますし、私たちも頑張れます。第2回大会の時も、サビはすごくいいから、AメロBメロからストーリーを繋げかが課題と言って下さったので。

――黒沢さんはストーリーを大事にされますよね。

 はい。ストーリーのためのつなぎを大切にされています。中音域は最近ちょっと出てきたかなって思っていて、歌のレッスンの先生にも出るようになったねと言われました!

ファイナリストライブ、刺激に

――ファイナリストライブでは、秋吉優花さんとギターの弾き語りで「ドライフラワー」を披露されました。

 第1回、第2回、第3回のファイナリストライブで弾かせてもらいました! ギターの先生からも上手くなっていると褒められてすごく嬉しかったです。やっぱりギターを弾きながら歌うのってすごく難しくて。寝ながらでもギターを弾けるぐらいじゃないと歌に集中できない自分があるので難しいですね。でも楽しいです。

――その秋吉さんは低音が得意で、山崎さんは高音が得意。相性が良かったですね。

 正反対の2人なんです(笑)。「ドライフラワー」は特にクセ強めの曲で、私はハモリが多かったんですけど、AメロとBメロは交互に歌っていって。2人の違いと良さを全面に押し出せたと思います。

――なかでも印象に残っている場面はありますか。

 それは「はじまりの唄」ですね。初披露するに向けて、みんなで集まって、黒沢さんにもリハーサルに来てくださったんです。それでいろいろと修正して、みんなでハーモニーを作って、一番良かったねと言って下さったのがファイナリストライブの本番だったんです。やっぱり印象に残ってますし、楽しかったですし、嬉しかったです。で、この舞台から関係者席が見えるんですよ。そのなかで黒沢さんがウンウンとうなずいていて、それも嬉しかったです。

――個性のある人たちが集まってハーモニーを奏でるのは良いですね。

 皆さんうまいからいつも刺激を受けますね。

(おわり)

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