LAMP IN TERREN「夢に生きていた」4人の胸中に迫る
INTERVIEW

LAMP IN TERREN

「夢に生きていた」4人の胸中に迫る


記者:村上順一

撮影:

掲載:21年12月25日

読了時間:約11分

 結成15周年を迎えた4人組ロックバンドのLAMP IN TERRENが12月8日、EP『A Dream Of Dreams』を配信リリースした。今年9月にドラマーの川口大喜が脱退を発表し、12月28日にLIQUIDROOM Ebisuで開催されるワンマンライブ『A Dream Of Dreams』がラストステージとなる。2015年にアルバム『sliver lining』でメジャーデビューし、これまでに5枚のフルアルバムとベストアルバム1枚をリリース。日比谷野外大音楽堂や日本青年館など大きな会場でのライブ開催し、ロックバンドとして爪痕を残してきた。EP『A Dream Of Dreams』はこの4人での集大成となるタイプの異なる3曲を収録。インタビューでは、この4人での活動が残りわずかとなった今の心境を松本大(Vo,Gt,&Pf)、大屋真太郎(Gt)、中原健仁(Ba)、川口大喜(Dr)に語ってもらった。【取材=村上順一】

ドラマーである自分は絶対に諦めない

『A Dream Of Dreams』ジャケ写

――このメンバーでのラストステージまで、残りわずかとなってきましたがどんな想いで1日1日を過ごしていますか。

松本大 僕は曲を書く担当なので、普段ならどういう曲を作るか、と考える時間でした。でも今は良い意味で何も考えていなくて。リセットしている感じはないんですけど、引っ越しをするような感覚で、その引っ越し先でどういうものを作ろうかというのは考えてはいて、でも、根を詰めて考えたからといって、良いものができるとは思えていないので、今はそこと向き合いつつ、11月中は新しいことは考えないというスタンスを取っていました。

中原健仁 僕は、次に向けて頑張っていかなければ、という気持ちが強いです。今は決まっているライブを一生懸命にやるというのはこれまでと変わらないですから。バンド活動は続いていくので。

大屋真太郎 僕も健仁と同じ気持ちで、新しいことを始めるチャンスなのかなと思っています。今はこの4人での活動に心残りがないようにしたい、という想いが一番強いです。 

――川口さんは皆さんとは気持ちがちょっと違うのでは?

川口大喜 12月28日がLAMP IN TERRENの最後のステージになるんですけど、僕はいつもと変わらない、ということを徹底しています。ここから特別新しいことをするつもりもないですし、セトリが決まればライブに向けてスタジオで練習することをやるだけです。28日が終わればガラッと変わると思うんですけど。

――次にやることは決めているんですか。

川口大喜 具体的には決めていないです。僕の中で音楽を続けるか、というよりもドラムを続けていくかどうかが重要なんです。たぶんドラムは続けると思うのでライブの翌日は一人でスタジオに入っている気がしています。ドラマーとしてやりたいことがあって、ガラッと自分のスタイルも変えていきたいですし、それはLAMP IN TERRENではできないことないんです。それを見直すためにスタジオに入ると思うんですけど、まだそこに深い意味や目的は必要ではなくて。

――音楽という観点ではわからない?

川口大喜 生業にするかどうかはわからないですけど、音楽は続けていきたいですし、ドラムを止めることは絶対になくて、ドラマーである自分は絶対に諦めないです。

――ここまで一緒にやってきたメンバーがいなくなるのは寂しいですよね。脱退の話をされた時は引き止めたのでは?

松本大 大喜の脱退の話は今に始まったことではなくて、各アルバムごとに浮上する話題ではあったんです。僕の中で大喜の感覚はプレイヤーよりもコンポーザーに近い感覚があって、自分のスタイルに合ったものを見つけて構築していく感じで。僕としては全然自由にやってもらってよかったけど、僕に合わせてくれることが続いていたと思うんです。大喜がその話をしてくる時は、だいたい僕がバンドに対して怒っている時が多い気がしています。みんなに対して「ちゃんとやっているのか」みたいな。脱退のきっかけになるのはいつも自分のそういった一言だと思っていて...。

川口大喜 そこで騙し騙しやっている自分に気づいてしまうんですよ。ドラムを叩くことやバンドをやることに対する疑問はないんですけど、この環境に自分がいるべきなのか、というのはふわっとしたところがあって。そこに大の言葉が来ると自分を騙せなくなってしまって。

松本大 バンドが作っている空気感に自分も合わせていこう、という感じで、自分が軸になってバンドを回していくのか、バンドが軸になって自分がそこにいるのかと言ったら、僕は後者でした。個人というよりもバンドをより良くするためにはどうしたらいいのか、というのを考えていたので、そこで熱量の差が生まれてきて、そこにヤキモキしていた時期はあったと思います。バンドにはすごくロマンを感じているんですけど、そのスタンスが今になって良くなかったのかなと思っていて。これは未来にも繋がるんですけど、ここ2年くらいは自分を軸にバンドのことを考えようとなったというか。

――中原さんはそういった話はしたことはない?

中原健仁 僕はデビューした時期あたりに一度ありました。その時は求められるものに自分が答えきれないというものを強く感じてしまって。一回そう思い込んでしまうと自分を追い込んでしまうので、バンドをやめた方がいいなと思い、大に相談しに行ったことはありました。でも、やめることをやめたんです。やっぱりバンドをやりたいし、自分がここでベースを弾いていてもいいのであれば、続けたいと思いました。

松本大 何が正しいのかなんてわからないですけど、バンドは長く続けば続くほど仕事と遊びの境界線ですごく揺れていた時期があって。僕自身も何をすればいいのかわからなくて、バンドをやめたいと思った時期はありましたから。でもそれでもとどまっているというのは、バンドが自分に必要不可欠なものであって、役割を全うするために必要な存在ではあるなと。バンドは一人で作っていくものではなくて、それぞれの要素を掛け合わせて曲とか作っていきたいなと思っているんですけど、いつの間にか気を使われてしまっている部分もあったんだと思います。

大屋真太郎 会社で言ったら上司と同僚と部下みたいな上下関係というのがあるじゃないですか。誰の指示に従うのかというのもあると思うんです。そこである程度の忖度はあって、僕らの場合だと大の歌に力を添えるみたいなスタンスでやっていたと思います。その中で、一緒に作ることを尊重するのと忖度することの境界が難しいなと自分の中で感じました。

どこかで夢みがちだった

『Romantic Egoist』ジャケ写

――正解はないですからね。LAMP IN TERRENは新しい名前で活動が始まる予定なんですよね?

松本大 今は誰とやっているかが重要になってきてしまっているんです。LAMP IN TERRENの未来の話を3人で1週間に一度は集まってしていたんですけど、何度話してもLAMP IN TERRENとして続けていくことに前向きな感じにならなくて。みんな言わないまでも思っていたことは、新しいものにしたほうがいいんじゃないかというのはあったと思います。やっぱり自分の生業として友達としてバンド活動を続けていくことではないだろうと思って。

 僕はこれまで音楽は人との関係性だと思っていたけど、一旦それを無くしてものづくりを始めた方が、これまでの曲とも向き合えるし、これから先のことにも向き合えると思いました。それでみんながワクワクできる道は何かと考えて出した答えです。ただ、この4人で活動していくことがLAMP IN TERRENとして重要だったとは思います。

――このことに対して2人はどう感じていたんですか。

中原健仁 僕は割と賛成意見でした。

大屋真太郎 自分は名前が変わることに関してはちょっと渋ってしまいました…。もう少し考えたいなというのがあって何度も話し合いをして。やっぱりもったいないと未練があったのは確かです。

――第3者の私から見てももったいないなと感じる部分はありますから。

松本大 でも、LAMP IN TERRENを残すための選択だったと思います。

大屋真太郎 LAMP IN TERRENを超えられるかという壁もあると思っていて。僕らを昔から知っている方達は、比べてしまうところもあると思いますから。

――『A Dream Of Dreams』という今回のEP、ライブのタイトルの意味が変わってくる部分も?

松本大 ここまですごく夢に生きていたと思うんです。何もかもポジティブに考えて、なるようになるさとか、そういう精神で生きてきたなと思っていて、努力もしてきたと思うし苦しい思いもしてきたけど、どこかで夢みがちだったなと思って。このバンドを一度閉じるというのは自分の中でとてつもなく大きく怖いことで、それでもやれるのか、というのは自分自身に対する問いかけでもあります。

――ところで11月に行ったホールワンマン『Branch』は、“枝”という意味ですけど、枝分かれ、岐路に立たされているといった意味も?

松本大 いえ、これは大喜が脱退することが決まる前から考えていたタイトルなので、そういう意味ではなかったんです。「ニューワールド・ガイダンス」を作っている時のマインドが出ていたかなと。新しいことを始める、というのは深層心理で思っていたのかもしれないです。

――そして、その「ニューワールド・ガイダンス」も含まれるEP 『A Dream Of Dreams』がリリースされましたが、これがこのメンバー最後の作品となります。

松本大 時系列としては「カームダウン」は今年の2月に作り始めて、4月にレコーディングしました。再録ベストアルバムに入る「おまじない」(クラウドファンディングでの追加曲)が一番最新の作品になります。「カームダウン」は「心身二元論」と同時進行していて、マスタリングもその時に終わっていたんですけど、冬に出そうとは思っていました。

――そういう寝かせている曲はまだあるんですか。

松本大 レコーディングまで終わってるのは、2曲くらいありますよ。「時の旅人」と『Blood』ツアーでやっていた「PRIDE」という曲です。

中原健仁 もう聴けないか、何かしら形を変えてやるか、前向きに考えたいですね(笑)。

川口大喜 この2曲が新しいプロジェクトで音源として出たら、ファンの人もそうですけど僕が一番胸熱ですよ。

松本大 この曲知ってるって(笑)。

やっと音楽家になれた

――今回のEPはどんなこだわりを入れていますか。

松本大 『The Naked Blues』あたりがそうなんですけど、自分の好きなアーティストの要素を取り入れて作っていたのかなと今は思うんです。『FRAGILE』では自分の原点と向き合って作った感覚がありました。なんで自分は歌を歌うのかと。僕の歌は僕しか歌えないと思っていて、それは感情でメロディを作っているからで、すごく歌いづらいと思うんです。楽譜に書けないところが沢山あるんですよ。今作はすごくメロディにこだわっていて、音楽と気持ちの融合が出来たのがこの作品だと思っています。

 ここに辿り着くまですごく長い道のりだったなと思うんです。最初はバンドに憧れて1st『sliver lining』と2nd 『LIFE PROBE』を作って、3rd『fantasia』では音像から飛び込んでいける世界とはなんぞやというのを追求して、4thアルバム『The Naked Blues』では詞を書く自分を見つめ直し、そこに合う音楽を探していました。そして、5thアルバム『FRAGILE』は時代の中で人間としてどう生きていくのか、というのがテーマとなって一つずつクリアしていった感覚があって。その集大成が『A Dream Of Dreams』だと思います。

――着実に成長していって。

松本大 ものづくりをする心得を一つずつ理解して、身につけていった感じです。音楽を作ること、誰かに聴いてもらう、歌ってもらう、装備してもらうことによって、世の中に何が言いたい、どこに生きている、松本大という人間がここで息をしている、という融合ができて、このEPでやっと音楽家になれたと思っています。

――みなさんは松本さんの意思みたいなのは曲からどう感じました?

中原健仁 いま、大の話を聞いていて、そうなんだろうなと思いました。今回、プレイヤーとして難しいことをやっていて、ある壁をずっと超えたいと思っていたんです。なかなかそれを超えることができなくて、今回の3曲は壁を超えようとずっと頑張っていて。超えたかどうかは今後わかっていくと思うんですけど、それをLAMP IN TERRENとして出す最後の作品で出来たというのは良かったなと思います。

大屋真太郎 昔はギタリストとしてやらなければいけない、みたいなのがあったと思います。曲の全体を見た時に検討はずれなものもあったと思います。でも、少しは曲のことを考えられるようになったのかなと思っていて。それが僕の中での課題でもあったんです。ギター好きなギターキッズだとこういうフレーズ入れたいとか、自分好みに引っ張られてしまうところがあったので。

松本大 「心身二元論」のギターソロとかすごいなと思いました。割とギターソロは空けておいて真ちゃんに渡すんですけど、どんなものがでてくるのか、ガチャガチャをやるようなワクワク感があります。

川口大喜 今回のEPのレコーディングすごく楽しかったです。これまではある程度の土台があって、それを再現、よりブラッシュアップする感覚でした。でも、今回収録されている3曲はそれを崩さずに自分の色をどう出していくかというのがありました。大のスタンスも変わってきて自由にやれる部分も多くなって、お年玉を握りしめていく初売りみたいな気持ちでした。お年玉は自分で言うとストックしてきたフレーズなんです。デモの段階で動画を撮って大に送って見てもらって。こんなのもあるよ、というのを出していくのがすごく楽しくて。楽しむことを前提にレコーディングに臨めました。結果的にこの3曲は自分の名刺がわりにもなるようなものになったなと。

――曲調も幅広いですからね。

川口大喜 なので、なんでも叩けるんじゃないか、と思ってもらえるような作品になりました。大きかったのは自分から出てきたものを採用してもらえて録れたので、胸を張って「これは川口大喜です」というドラムになっています。レコーディングは基本的に大変だし辛いところもあるんですけど、楽しいところも色々あるなと思えて。

松本大 僕はこれを機にしっかり人とものづくりをする、ということがどういうことなのか、わかりました。その中で自分が作りたいものを見つけること、それが楽しいことなんだとわかったことが大きな発見でしたから。続いていくものなので、それがわかって良かったです。

――個人的には10年後くらいに、またこのメンバーで一夜限りのライブとかやってもらいたいですね。アラフォーになって成熟したLAMP IN TERRENの曲を聴いてみたくて。

松本大 10年後だと39歳か…、なかなか体力的にきつそうですね(笑)。でも、10年後にまたこの4人でやってみるのも面白いかもしれないですね。

(おわり)

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