今のPassCodeのキーワードは「未来永劫」、その真意に迫る
INTERVIEW

PassCode

今のPassCodeのキーワードは「未来永劫」、その真意に迫る


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:21年11月15日

読了時間:約13分

 PassCodeが11月10日、ニューシングル「Freely/FLAVOR OF BLUE」をリリース。今年8月に今田夢菜の勇退が発表され、新メンバー 有馬えみりが加入。2022年2月12日の日本武道館公演に向けて2021年9月11日からスタートした『ZeppTour2021』より、新たなPassCodeが披露され話題となったのも記憶に新しい。新体制初のシングル1曲目の「Freely」はPassCodeの今の姿勢と共鳴した攻めの1曲に仕上がった。 両A面となる「FLAVOR OF BLUE」はアーケードカードゲーム『機動戦士ガンダム アーセナルベース』の主題歌に起用。出だしから有馬のシャウトが炸裂するラウドな1曲になっている。インタビューでは『ZeppTour2021』のこと、新体制になった4人の心境に迫った。【取材・撮影=村上順一】

このまま終わっては心残りになってしまう

――『ZeppTour2021』が9月からスタートされましたが、どんな手応えを感じていますか。

南菜生 (有馬)えみりが加入してまだそんなに時間が経っていないんですけど、それでも期待値の高いライブをしなければと思っています。長く続けることでしかわかってもらえない部分もあると思うのですが、ちゃんとこの4人でPassCodeをやっているんだ、と思ってもらえたらいいなと思います。

村上順一

南菜生

高嶋楓 まだツアーは3本目なんですけど(取材は10月中旬)、この4人での色を出せてきたかなと思っています。ライブを重ねていけばもっと良くなっていくんじゃないかと思っているので、まだまだこれからという気持ちが大きいです。

大上陽奈子 いままでのPassCodeを超えようとするのではなく、今の4人だからこその雰囲気とか、違った良さを出せていければいいなと思っています。それがツアー初日で少し見えた気がしました。回を重ねるごとに大きくなっていくんじゃないかなと思ったので楽しみです。

――手応え、あったんですね。

大上陽奈子 ツアー初日ですごく長い拍手をいただけたのが嬉しくて。きっと今回のツアーは前体制で行う予定のものだったので、皆さんチケットもそのつもりで購入していたと思うんです。新体制に不安を感じている人もいたと思うのですが、私たちが決断したことなら付いていくよ、と言ってくれた方をSNSで見て。でも、実際ライブを観たらどう思うのかと思っていたんじゃないかなって。その拍手はもしかしたらそう感じていた人たちの拍手だったのかなと思ったんです。信じてくれようとしていた方達が、信じてくれたんだとホッとしました。

南菜生 1分くらいは拍手が鳴り止まなくて。MCを始めるタイミングも見つけられないくらいで。暗転していたんですけど、照明が付いてMCしなきゃと思いましたから(笑)。

――そんな状況だったんですね。有馬さんはツアーいかがですか。

有馬えみり 今3本目なのでまだまだ課題はあるんですけど、シャウト歴は長いので自分の経験を活かしつつPassCodeの曲をよく聴かせることができたらと工夫しながらステージに立っています。

――課題はダンス?

有馬えみり そうです!

南菜生 1日2曲ずつ、覚えてきてもらって。セットリストは15曲なので7日〜8日に分けて復習もしながら先生に見てもらったりして練習しました。たぶんメンバーが教える時よりも家で練習する時の方が大変だったんじゃないかなと思います。

有馬えみり ワンルームに住んでいるんですけど、部屋の真ん中にあった机とかを戻すことなく1カ月間、毎日お家で踊っていました。一般の方が一緒にできるような振り付けというのもあるじゃないですか。そういう振り付けがすごく少なくて。どの曲もすごく細かくて大変でした。

――高嶋さんから見て有馬さんのダンスはどのように映ってました?

高嶋楓 ELEVENPLAYのKOHMEN先生の振り付けは身体の“ライン”が特殊なので、えみりのダンスを最初見た時に「踊るのが難しいだろうな」という体の使い方でした。でも、メンバーと練習したり、KOHMEN先生に教えてもらうことで掴んできたなと思う瞬間がありました。もっと良くなっていきそうな予感がしていますし、これからも4人で高め合っていけたらと思っています。

村上順一

高嶋楓

――今田さんが7月に勇退されて、有馬さんが加入されましたがどんな流れがあったんですか。

南菜生 夢菜が勇退して、PassCodeを続けるか、解散するかという話もでました。その中でまだPassCodeでやれていないこととか、やりたいことが残っているというのを加味した上で、シャウトできるメンバーを探そうとなりました。SNSで探したりしてはいたんですけど、その時はまだPassCodeを続けるかどうかはスタッフさんには話していなかったんです。ツアー中だったのでメンバーと動画を見たりして、えみりがいいんじゃないかとなった夜に、スタッフさんにPassCodeを続けたい、そして有馬えみりをいれたい、というお話をしました。

――解散という選択肢もあったんですね。もし有馬さんが見つからなければ…。

南菜生 夢菜を含めたこれまでの体制というのは他のグループとは違うなと感じていて、どんなに体調が悪くてもライブができない日があっても、この4人でステージに立つと言い続けてきたグループだったので…。それを信じてファンの方もついてきてくれていたので、裏切ることになってしまうんじゃないかというのがありました。なので、シャウトができる子が見つかったから続けるというわけではなく、続けると決めたからにはもし見つからなくても他の方法を考えて存続することを考えたんじゃないかなと思います。

――やり残したことというのが大きくて。

南菜生 はい。その一つとして「Anything New」という曲でみんなとシンガロングすることを目標にしていたので、このまま終わっては心残りになってしまうと思いました。それならばシャウトができる子がいた方がいいよね、と3人で話して決めました。でも、とにかく時間がなくて続けるならば早く選択をしなければいけなかったんです。毎日のように3人で話し合ってましたね。夢菜の活動休止から勇退、えみりの加入まで2ヶ月くらいだったんですけど、そんな短期間で行われていたことが未だに信じられなくて。もっと長い時間かかっていたような気がしています。

PassCodeはヒーロー

村上順一

有馬えみり

――有馬さんは加入のオファーを受けた時はどんな心境だったのでしょうか。

有馬えみり 5年前からPassCodeのことは知っていたので、今そんなことになっているんだとびっくりしました。PassCodeの事務所の社長さんとサウンドプロデューサーの平地(孝次)さんとお仕事をご一緒させていただいたんですけど、その後に電話してもいいですかと連絡が来て驚きました。

――加入に対しては即答でOKを?

有馬えみり 即答ではなかったです。私は作曲家志望だったのでステージに立ちたいとは思っていなかったんです。なので、ほぼ断るつもりで1週間考えさせてもらいたいとお話しして。でも、冷静に考えたらPassCodeの曲はすごく格好よくてやりたいなと思い、その日の夜にお返事しました。

 私はアングラな曲、ヘヴィメタルから派生したバンドが好きなんですけど、アングラなサウンドを保ったまま、こんなにも多くの人に音楽を届けているPassCodeはヒーローみたいな存在なんです。その楽曲を歌えるのだから、私がステージに立たないと決めていたことは瑣末(さまつ)なことだなと思いました。

――これまでのPassCodeの曲をどう表現しようと思いました?

有馬えみり シャウトに関してはいろんなやり方があるんですけど、それは発声の方法だったり歌と同じように細分化できるんです。私はボーカルカバーなどコピーをよくしていたんですけど、その時は曲に合うやり方を意識してやっていたので、音源通りというよりも曲に合うようなシャウトを心掛けていました。

――そんな有馬さんがシャウトに興味を持ったきっかけは?

有馬えみり マキシマム ザ ホルモンが好きでコピーバンドをしたことがきっかけでした。シャウト自体はみんなできるんですよね。そこから歌えるように工夫してボーカルの技術として使えるようになりました。

――さて、「Freely」はツアーの1曲目としてすでに披露されていますね。

南菜生 今回のシングル曲は2曲とも前の体制で春頃にレコーディングしていた曲でした。最初はいつものPassCodeらしい曲だなという認識だったんですけど、それが今の状況に追いついてきたと感じていて、いま信念を持って歌えるようになったと思っています。この曲が新体制の第一弾としてリリースされることは運命的なことなんだなと思っています。

――大上さんはこの2曲はどう感じていますか。

大上陽奈子 偶然にも今の自分たちに重なっていて、シャウトが推されている曲だったので、えみりのシャウトが際立つ2曲で良かったなと思います。初めてのえみりのレコーディングが気になって、見にいきました。「FLAVOR OF BLUE」の<無常>とシャウトするところを聴いた時にゾワっとして、生のシャウトをライブで聴けるのかと思うとワクワクしたのを覚えています。

村上順一

大上陽奈子

南菜生 「FLAVOR OF BLUE」は最初「FLAVOR OF YOU」という仮タイトルでした。『機動戦士ガンダム アーセナルベース』主題歌に決まって、BLUEという地球や宇宙、そして哀愁をイメージする言葉に変わりました。なので、えみりが加入してレコーディングし直した時に私たちも録り直しました。

――「Freely」はすごく今のPassCodeに合っていると思いましたが、書き下ろしの新曲で行こうという案はなかったんですか。

南菜生 平地さんは体制が変わったことで、「Ray」のような歌メロがキャッチーな曲を新しく作った方が良いんじゃないか、と言っていました。でも、この2曲をこのタイミングでリリースすることも進んでいて、予定をずらすこともできたんですけど、それって引け目を感じているからの選択だと思ってしまって。「Freely」はシャウトがフィーチャーされている曲なので、新しくシャウトのメンバーが入りました、という見え方になってしまうんじゃないかという懸念があって。

――だったらシャウトをそこまでフィーチャーしていない曲にしようと。

南菜生 でも、こんなにも歌詞が今の私たちにぴったりハマってきている曲をこのタイミングで出さないのも違和感がありました。えみりはシャウトをやってきた過程が夢菜とは全く違うんです。夢菜はPassCodeをやるにあたってシャウトを練習してできていった感じで、えみりはもともとシャウトが好きでずっとやってきた人なので同列ではないんですよね。全く違う武器を2人とも持っていて。それもあって、せっかくシャウトが得意なえみりが加入したのに「攻めていかないとダメじゃないですか」と平地さんに伝えました。平地さんも、メンバーが色々言われるんじゃないかと懸念して、 考えすぎていた部分があったと話してくれて。でも、メンバーがそう言うなら間違いないと、この2曲でいくことを決断してくれて。

――高嶋さんは今作をどう捉えていますか。

高嶋楓 夢菜が勇退してファンのみんなもどんなふうになっていくんだろう、と不安の声もありました。今回PassCodeの王道とも言える曲調の2曲をリリースすることでファンのみんなも安心してくれるんじゃないかなと思いました。えみりが加入して最初にリリースできる曲が「Freely」と「FLAVOR OF BLUE」で良かったなって改めて今思いました。

南菜生 普通、他のグループで王道といったら「Ray」みたいな曲なんですけどね(笑)。

――有馬さんから見て今回の2曲はどう映っていますか。

有馬えみり この2曲に限らずなんですけど、叫べる、シャウトできる方が曲を作ると思うんですけど、平地さんは全くシャウトせずに作っているので、打楽器的だったりギターリフとユニゾンしたり今までに出会ったことがない曲だなと思いました。すごく新鮮でした。

南菜生 最近は過去の音源のシャウトの部分を切り張りしてデモを送ってくるんです。

有馬えみり なので、人間の構造的に息が続かないものとかあって、その時は嫌な気持ちになります(笑)。歌やラップだと大丈夫でもシャウトだと難しいんです。

笑える未来が来たら

「Freely/FLAVOR OF BLUE」通常盤ジャケ写

――「FLAVOR OF BLUE」にはお経のようなパートも入っていて、面白いですけど、これがPassCodeの王道なんですよね。

南菜生 平地さんはそういう耳に残る印象的なパートを入れてくるんです。「PROJECTION」という曲があるんですけど、最初全体的に格好いい感じに仕上がっているなと思いながら、ワクワクしてレコーディングしたんですけど、真ん中のラップパートがデモでは英語でめちゃくちゃ格好よかったのに、当日になったらふざけた日本語ラップに変わっていて(笑)。ただの格好いいで終わるのではなく引っかかる部分を入れてくるので、「FLAVOR OF BLUE」もきっとそうなんじゃないかなと思います。

――「FLAVOR OF BLUE」はアーケードカードゲーム『機動戦士ガンダム アーセナルベース』主題歌ですが、みなさんガンダムは?

高嶋楓 私、昔あだ名がガンダムだったんです…。それは肩幅が広くてがっしりしているタイプだったので、すごく馴染みがあります(笑)。そこからガンダムを調べましたし、アニメも観たりしました。

大上陽奈子 私はそんなに詳しくないんですけど、母と兄がすごくガンダムが好きなんです。まだ、2人に「FLAVOR OF BLUE」がガンダムの主題歌になったことは言っていないので、知ったらめちゃくちゃ喜んでくれるんじゃないかなと思います。

――さて、新体制、これからどんな心持ちで活動していきたいですか。

高嶋楓 今のPassCodeを見たことがない人がたくさんいると思うし、どうなんだろうと思っている方もいると思うので、今回の2曲を聴いていただいてPassCodeはやっぱり格好いいとか、何か感じてもらえるような活動していきたいです!

南菜生 今までもそうなんですけど、売れたいとか思ったりはしないんです。大きな会場でPassCodeの曲を堪能したいというのがあって、続けていくには沢山の人に知ってもらう、一般的に売れないといけないんだなと思うところもあります。長く続けていくためにはそうならいといけないのかなと思っています。

有馬えみり 日本人は未完成なもの、未熟なものを育てていくことが好きな人種だと思うんです。私が洋楽が好きなので特にそう思うんですけど、PassCodeは楽曲的にも聴き手を置いていってしまうくらい強くて完成度が高いので、それが今の日本のシーンとはチグハグな感じがしてクールだなと思っています。私はダンスが苦手なので、完成度の高いPassCodeに完成度の低いダンスは持ち込んでしまって申し訳なさがあります。早くシャウト以外のところでも還元できるようになれればいいなと思います。

――有馬さんはPassCodeの中でどんな存在になりたいですか。

有馬えみり PassCodeを順当に表現できる存在になれたらと思います。

――心強いですね。最後は大上さんにMusicVoice恒例の“今のPassCode”を四文字熟語で表現して締めてもらっていいですか。

大上陽奈子 今回は2つあります!

一同 おおっ!

大上陽奈子 一つは五文字になっちゃったんですけど「未来未知数」です。本当に未来のことはわからないなと思っていて、まだまだ完成系ではないのでツアーを回ってどうなっていくのか未知数だなと思いました。ただ根拠はないんですけど、良くなっていく自信があるので前向きな未知数です。そして、もう一つは「未来永劫」です。

南菜生 いいね。ちゃんと四文字だし(笑)「Freely」の歌詞にも掛かっていて。

大上陽奈子 歌詞にもある<この未来永劫に笑えるように>というのが、今のPassCodeに贈りたいメッセージだと個人的に思っていて、この先何が起こるか未知数ですけど、いつか「PassCodeをやっていて良かったね」と、ファンの皆さんも含めて笑える未来が来たらいいなと思っています。

(おわり)

▼PassCode major 5th Anniversary PHOTOBOOK「LLYL」produced by NYLON JAPAN

タイトル : LLYL
発売日:2021年11月10日(水)

形態:写真集[全76P] 4,500円(税抜)4,950円(税込) USZZ-10400

11/10発売 写真集「LLYL」 アマゾンリンク

オフィシャルサイトリンク

https://passcode-official.com/

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村上順一
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