西片梨帆「あなたの隣にいてくれるもの」初フルアルバムに込められた想い
INTERVIEW

西片梨帆

「あなたの隣にいてくれるもの」初フルアルバムに込められた想い


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:21年10月28日

読了時間:約5分

 シンガーソングライターの西片梨帆が27日、1stアルバム『まどろみのひかり』をリリース。西片は2015年に梨帆としての活動を始め、初めて作った曲で「出れんの!?サマソニ」に応募し、SUMMER SONIC 2015のステージに立つ。2017年、1stミニアルバム「行けたら行くね」を全国リリース。インディーズ時代の楽曲「元カノの成分」は100万回再生を超える反響を呼んだ。2019年、活動名義を西片梨帆に変更。9月23日、メジャーデビューミニアルバム『彼女がいなければ孤独だった』をリリース。 2021年5月よりライブ活動を再開。7月2日、下北沢MOSAiC にてワンマンライブ「恍惚の人」を開催し、ソールドアウトで成功させた。ソングライティングだけでなく執筆活動やデザインなど幅広い活動をみせ同世代女性の共感を呼んでいる西片に、自身初のフルアルバムの話題を中心にメールインタビューをおこない、現在の想いに迫った。【取材=平吉賢治】

光は「何気ない瞬間に」

『まどろみのひかり』ジャケ写

――最近の活動として、10月12日「Ruvijon Tuesday」公演の感触はいかがでしたか。

 久々の対バンイベントで、いろんな方とお話ししたり、ずっと忘れていたライブハウスでの思い出や感覚を思い出しました。嬉しくなりました。

――自身初となるフルアルバムがリリースされた率直な心境は?

 まずは、やっとリリースができて嬉しいです。すごく長い期間準備をしていたので、あまり実感が湧きません..。

――本作のタイトル『まどろみのひかり』は、フレーズもジャケットの描写も印象的です。どんな想いが込められているタイトルでしょうか。

 これまで、幸せは退屈だと思っていて、自然と闇がある方へ惹かれていたのですが、制作期間中に祖父が亡くなり、いろんなことを考えました。何気ない瞬間に光は落ちていて、その光を一つ一つ大切にしたいと思うようになったのが一つのきっかけです。

――収録曲「そのままでいてね」について、「大人にも、もう子供になれないわたしが見つけた一つの答えです」と、セルフライナーノーツに綴られていますが、<あなたはそのままでいてね>と歌われるその心情の背景を教えてください。

 大切な人の好きじゃないところを見つけてしまった時、その人に変わってほしいと思うことは自分本位な願いであって、その人にとっての美しさと自分が思う美しさが同じであればいいけれど、それはきっと微妙な角度や温度が異なっていて、完全に同じ人はいないのかなと…。ならば、あなたにはそのままでいてほしいな、とそんなきっかけです。

――「愛は4年で終わる」はパワフルなロックやパンクとフォークの要素などが交差するカラフルなサウンドテイストと感じました。その中でも歌詞では、ストレートな内容を歌っていると感じます。どんな想いを込めた楽曲で、また、どうしてその想いを楽曲にしようと思ったのでしょうか。

 言葉は人を守ることもできるし、傷つけることもできると思います。この曲は、大切な人にひどいことを言ってしまったんだけれど、傷つけたかったのではなくて、自分のことを覚えていてほしかったという、奥底には確かな愛がある気がしています。あまり人には理解されにくいように思うのですが、傷つけることと守ることは同じなのではないかなと思って作りました。

――ちなみに、どうして「4年」なのでしょうか。

 愛は4年で終わるというヘレン・E・フィッシャーさんの著書からです。

――「夜を捧げる」では、普遍的な愛とは違うかたちの愛を探しているようにも感じました。どのような想いを表現した楽曲でしょうか。

 人を好きになると自分の一部を捧げないといけないように思うのですが、お互いがそれぞれ一人であって、匂いや好きなものが違くても、愛し合う方法を模索しているうたなのかなと思います。

いつも大切に思っているフレーズ

――楽曲制作について、以前のインタビューで「アコースティックギターで好きなコードを弾きながら、メロディーと歌詞を同時に作っていく感じ」とお教え頂きましたが、本作の制作において新たな手法やこれまでになかったチャレンジなどはありますか。

 はい。耐えがたいアイロニーという曲は、サウンドのイメージが先にあり、サウンドから言葉やメロディーを作っていきました。

――レコーディングにおいて「これは欠かせない」というルーティンなどはありますか。

 朝が苦手で、普段は朝に声を出すことがないので、ボーカル録りの日は自分ができる限りの早い時間に起きて、声出しをしています…(笑)。あとは、最近はレコーディングだからといって気張らずに、座って歌ったり、自分の部屋の雰囲気に似せて暗くしたり、リラックスするように心がけています。

――以前のインタビューで、Gibson J-45のアコースティックギターを愛用されているとお伺いしました。今、新たに導入しようと考えている楽器や機材はありますか。

 ガットギターの音色がとても心地よくて、最近気になっています。

――Podcastで配信中の『西片梨帆のやっぱりいえないRADIO』では、どのようなテーマで配信を展開されているのでしょうか。

 友達に話すように、普段言えないことやふと思ったことを話しています。

――配信でのお話や演奏において、特に心がけているポイントなどは?

 寝る前に聴いてくれたらいいなとおもって、ゆったりとしています。あまり力を入れると、頑張りすぎてしまうので、気楽に思うことを発信したいなと思ってこのラジオを始めました。

――プロフィールで拝見した趣味に「サイクリングや散歩」がありましたが、散歩中などに制作のインスピレーションが湧くことなどもあるのでしょうか。

 あります。自転車に乗ると、頭の中が整理されるので、とてもすきです。風も心地よくて、電車が苦手なので、行ける範囲は自転車に乗って、次の作品のことを考えたり、これからしてみたいことを考えたりします。

――最近、衝撃を受けた出来事などはありますか。たとえば日常的なこと、心境的なこと、最近鑑賞して感銘を受けた作品など。

 今朝、ふと思いついたのが、太陽を触ってみたいと思ったのですが、太陽の温度はすさまじく高いことを知りました…(笑)火傷どころではすまなさそうですが、誰もしたことがないのでは?と思い、どうにか触ってみたいです。

――言葉の力について、西片さんが深く心に残っていて大切にしている言葉、または座右の銘は?

 そのままでいてねというフレーズは、もともとファンの方にいつも伝えていたので、そのフレーズはいつも大切に思っています。

――西片さんが今、表現したいことは何でしょうか。

 まだ言葉にしきれていないのですが、長編小説を書いてみたいなと思っています。

――本作のタイトルは『まどろみのひかり』ですが、西片さんにとっての「ひかり」とは?

 小さくて、あまりはっきりとは見えないのだけれど、きちんとあなたの隣にいてくれるもの。

(おわり)

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