河口恭吾×川崎鷹也、世代の違うシンガーソングライター2人が語る音楽に取り組む姿勢
INTERVIEW

河口恭吾×川崎鷹也

世代の違うシンガーソングライター2人が語る音楽に取り組む姿勢


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:21年09月23日

読了時間:約11分

 デビュー20周年を迎えた河口恭吾が15日、配信シングル「Stay Blue(feat. 川崎鷹也)」をリリース。昨年11月にリリースした第1弾「マイ・アイデンティティー(feat. FLYING KIDS)」を皮切りに、第2弾「lai・lai・lai (feat. ISEKI)」、作詞・ジャケット原画提供に片岡鶴太郎が参加した第3弾「ぬれ椿」を発表。第4弾となる「Stay Blue(feat. 川崎鷹也)」はラジオでの共演がきっかけとなり、楽曲「魔法の絨毯」が話題の川崎鷹也とコラボレーションが実現した。インタビューでは世代の違うシンガーソングライター2人が生み出した楽曲の制作背景から、アーティストとしての活動のモチベーションの保ち方についてなど、多岐に亘り2人に話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

お互いの声の印象

――今回、川崎さんとコラボすることになった経緯はどのようなものだったのでしょうか。

河口恭吾 僕のラジオ番組のゲストに来てくれたのがきっかけで、すごくいい声をしているなと思いました。それで、いま僕が20周年の企画として色々な方々とコラボをさせていただいているので、川崎さんに声を掛けさせていただきました。

河口恭吾

――川崎さんは河口さんからお誘いを受けていかがでした?

川崎鷹也 ビックリしました。河口さんの曲は聴いていましたし、ラジオに出させていただいただけでもすごいことだと思っていたので、まさか一緒に曲をリリース出来ることに驚いています。「僕でいいのだろうか」という気持ちもありましたが、声をかけていただいたので期待を超えたい、一緒にやって良かったなと思ってもらえる歌を歌いたいと思いました。

――お二人は栃木県出身なんですよね。栃木県の良いところも沢山あると思うのですが、川崎さんが良いと思うポイントは?

川崎鷹也 僕は那須塩原の出身なので、自然豊かで水が美味しい、そして道が広いので車に乗るのが楽しいところです! 都会の道路は複雑で怖いんです(笑)。

――河口さんは?

河口恭吾 僕は佐野市の出身なんですけど、宇都宮の浜崎(貴司)さんたちからは「佐野人だ」とすごく差別されるんですよ。これはいいところじゃないか(笑)。

川崎鷹也 県南、県北で分けられることも多くて(笑)。

――川崎さんは栃木でやってみたいことはありますか?

川崎鷹也 僕は高校まで栃木にいたので、何か還元したいという気持ちもあります。まだ僕は栃木でライブをやったことないので、それも一つのやってみたいことで、地元の黒磯文化会館でやってみたいんです。あと、栃木でフェスを組んでみたい、という思いもあります。

川崎鷹也

――フェス良いですね! 先ほど河口さんが、川崎さんの歌声がすごく良かった、とお話して下さいましたが、具体的にはどのような印象だったのでしょうか。

河口恭吾 レコーディングの時に初めて歌声をしっかり聴かせていただいて、倍音もあって声がすごく太いなと思いました。ざらついている質感が男性的で力強いんですよね。

川崎鷹也 ありがとうございます。もともとハスキーというわけではないんです。僕は野球をやっていたのですが、1年生の頃なんて声を出すことぐらいしかやれる事がなくて、声を枯らしながら叫んでいたので、その時に出来た声なんです。

――そうだったんですね。川崎さんは河口さんの声や歌というのはどのような印象がありますか。

川崎鷹也 昔から河口さんのCDを車の中でも聴いていましたし、過去に「桜」もカバーさせていただいているのですが、今回ご一緒させていただいて、改めて唯一無二の声だなと思いました。その中でもブレスの使い方がすごくて、レコーディングでも勉強させていただきました。そして、シンガーソングライターとしても河口さんのメロディの作り方や言葉の使い方は、僕が次のステージに行くために参考になることが多かったです。ご一緒させていただいたことに意味があるなと強く思えたコラボでした。

――「桜」はきっと一生歌い継がれていく楽曲ですよね。

川崎鷹也 僕もそういう楽曲を生み出したい、と思って日々活動しています。何十年も残るような楽曲を生み出した河口さんとご一緒させていただいて、僕も食らいついていきたい、という気持ちでレコーディングしました。

変わっていく中で変わっていかないものを持ち続ける大切さ

――「Stay Blue(feat. 川崎鷹也)」の作詞はお二人での共作ということですが。どのような制作方法だったのでしょうか。

河口恭吾 夏の終わりをテーマに書きたいと思いました。その中で川崎さんにも制作に参加してもらいたいなと思って、僕が書いた歌詞にアイデアをもらったり、書き足してもらいました。夏の忘れない恋の1ページみたいな歌詞は最近自分の曲にはなかったんですよね。そのテーマでも川崎さんとは世代も違うので自分も若い気持ちで書けるのではと思いました。そして、違う世代の感覚が混ざることで、より奥深いものになるんじゃないかなと。

――川崎さんはこの曲を初めて聴いた時、どのような感想を持ちましたか。

川崎鷹也 お祭りなど誰もが経験しているような夏の出来事が入っていて、この歌詞を読んで僕も懐かしさを感じましたし、すごく河口さんっぽいなと思ったんです。例えば歌詞に出てくる<揺れる蜃気楼>や<大の字でふたり探したアルタイル 結んだ三角形>は、僕は使わない言葉なのですごく新鮮でしたし、この曲を早く歌ってみたい! と思いました。

――川崎さんのアイデアが反映されているところは?

川崎鷹也 <呼吸も忘れた線香花火を 今も覚えているから>という歌詞です。僕は線香花火が好きなんです。もちろん打ち上げ花火のような派手なものも好きなのですが、当時の恋人とかとした線香花火が僕の記憶の中で鮮明にあって。自分の曲の中でリアルなことを入れることが多いので、この「Stay Blue」でもリアルを入れたいと思いました。5〜6個ぐらい考えてその中で皆さんが特にいいねと言ってくれたのが、この線香花火でした。

――他にはどんな言葉が?

川崎鷹也 <見上げて指さした打ち上げ花火>とか、<思わず目を逸らした浴衣姿>で、僕の記憶を辿って出てきたものでした。

――本当にリアルな描写ですね。さて、レコーディングはどのように進んでいきましたか。

河口恭吾 順番としては僕が一番を歌っているので、先にレコーディングをして、その後に川崎さんが歌うという流れでした。川崎さんの歌が最初からすごく良い感じだったのでスムーズにレコーディングすることが出来ました。

――タイトルの「Stay Blue」のBlueにはどのような想いを込めたのでしょうか。

河口恭吾 タイトルは最後に決めました。青春の頃のままでは誰も生きてはいけないけれど、変わっていく中で変わっていかないものを持ち続ける大切さを表現できたら良いなと思って。

――それにちなんで、シンガーとして変わってはいけないことや想いというのもありますか。

河口恭吾 シンガーとして変わってはいけないもの、というのはないと思っています。ただ僕の中では前に出した曲よりももっと良い曲を出したいという気持ちはあります。そういう気持ちがなくなってしまった時は、この仕事を辞める時なのかなとも感じていて、その向上心は大事ですね。

――川崎さんは?

川崎鷹也 ミュージシャンというのは音楽をさせていただいている、という感覚が僕にはあります。僕の考え方なんですけど、音楽と僕らミュージシャンが分かり合えることはないと思っていて。でも、僕らは音楽を求めているし、大切なものだと思っています。その中で僕は音楽への感謝を常に忘れてはいけないと思っていて、それ以外は変わってもいいと思っています。歌詞の世界観やメロディはその時の心境が大きく反映されますし、極端な話、もしかしたら何年後かにメタルをやっているかもしれないですし(笑)。

――それくらい変化しても良いと。

川崎鷹也 その時に自分を誇れていれば良いと思っています。

――河口さんはこの20年というキャリアの中で音楽性を変えたい、と思ったことはありますか。

河口恭吾 あります。カバーブームだったのでカバーアルバムをリリースしたことがあったのですが、その時はあまり気乗りしていなかった自分がいました。でも、今だったら全然嫌ではなくて時間と経験を経てなんでも楽しめる枠が広がってきたなと感じています。自分が凝り固まった考えがあるというのも認識しているので、いろんな方とコラボすることでそれを取っ払えるんじゃないかなと。

 今回は川崎さんのエネルギーに触れて自分の新しい一面が見れるかもしれない、自分自身が変わりたいというのもありました。歌ったことがない歌詞を歌ってみたいとか、そういった欲求がここ数年すごく高くて、自分らしい作品は今でもどんどん作れるんですけど、今はそうではないものを求めている感覚があります。

モチベーションは目の前の音楽

「Stay Blue(feat. 川崎鷹也)」ジャケ写

――ところで、同じシンガーソングライターということもあり、お互いに聞いてみたいことはありますか。

河口恭吾 実はさっき川崎さんに聞いてしまったんですけど、曲の作り方ですね。川崎さんは詞と曲が同時に出来るみたいで、スマホのメモ機能を使って作っていてパソコンは最初使わないと教えてくれて。やっぱり、同じシンガーソングライターとして曲の作り方は気になってしまいます。

――川崎さんが曲作りで気をつけていることは?

川崎鷹也 僕は聴いた音楽に影響されてしまうことがあって、人の曲はなるべく聴かないようにしています。以前、竹原ピストルさんとMOROHAさんにめちゃくちゃハマっていた時があったんですけど、その時の歌詞がすごく尖っていて(笑)。泥沼から抜け出せとか、明日に向かって拳を突き出せみたいな自分とはかけ離れた詞になってしまって。それくらい影響されてしまうので、他の人の曲をあまり聴かないようにしているんです。

――吸収し過ぎてしまうんですね。そんな川崎さんが河口さんにお聞きしたいことは?

川崎鷹也 精神面なんですけど、モチベーションの保ち方です。これは音楽に限ったことではないと思うんですけど、活動していく中で一番大変なことだなと思っていて。最前線で20年間続けられるモチベーションはなんだったのかなと。

河口恭吾 いや〜それは自分もよくわかっていなくて(笑)。それこそ自分のラジオで同じことを色んなミュージシャンの方に聞いているんですよ。僕は飽き性で音楽に飽きてしまった時があったんですけど、その時に藤井フミヤさんに「音楽に飽きたことはありますか」と聞いたら、フミヤさんももちろんあると仰っていて。その時は自分が好きなダンス系の音楽をやったみたいなんです。そうしたらお客さんもそれがすごく気に入ってもらえたと話して下さって。そのお話を聞いたときに自分はある一点しか見ていなかったけど、隣にあるものだったり、自分が興味があるものをやってみるのもいいのかなって。

――一回離れて違うことをやってみるのもいいかもしれないですね。

河口恭吾 あと、松村邦洋さんが仰っていた言葉も印象的で、それは「今日、一日頑張ろう」という言葉でした。死ぬ時が芸人を辞める時だから、「あと1日頑張ってみよう」という気持ちで活動されているみたいなんです。その言葉もすごく沁みました。

――いろんな人の考え方に触れるのもモチベーションに繋がりますよね。

河口恭吾 そうですね。いまはコロナ禍で常にリスクがありますけど、ミュージシャンというすごく不安定な人生を選んで、幸か不幸かヒット曲が出てしまって。

――幸か不幸かなんですか。

河口恭吾 これはヒット曲が出たことで多かれ少なかれ重荷になっている部分もあって。なので、1日を頑張るということを続けていって5年10年と経っていた、というのが良いのかなと思いました。今のモチベーションは本当に目の前の音楽にしかなくて、今回も川崎さんの歌声がよく聴こえるような曲を作ろうとか、参加して良かったと思ってもらえるようにしたい、ということだけなんです。

――良い意味で未来のことは考えない。

河口恭吾 未来のことは誰にもわからないですから。今はその時に良い答えを出してくれる人を探しています(笑)。

川崎鷹也 確かに遠くても近くてもゴールがないとモチベーションは維持出来ないと感じています。例えば僕もこのリリースが終わってしまったらどうしようとか、不安もあるんです。それで次のやることを決めるわけですけど、それら一つひとつに真摯に向き合っていくしかない、毎日を愚直に積み上げていくことしかないのかなと、今のお話を聞いて感じました。

――最後にそれぞれのファンの方にメッセージをお願いします。

川崎鷹也 まだまだ堂々とステージが作れる時期ではないですし、それはお客さんも一緒で自信を持ってライブに遊びに行けるような状態を求めています。だからこそ、その未来を僕らが作れるように、その日が来るまでいい曲を作り続けたいと思っています。20年後、30年後まで生き続けられる音楽を生み出したくて、そのお手本となる河口さんと一緒に音楽を作ることができて嬉しいです。僕の世代のみんなにも河口さんの素晴らしさを今以上に知って欲しいですし、「Stay Blue」がすごくいい曲なので、“青い心”を思い出しながらいろんな世代に届けられたらいいなと思っています。

河口恭吾 男性のデュエットというのは近年少ないと思うんです。声が特徴的な2人だと思うので、この曲で小田和正さんがやっているような輪唱を2人でやってみたんですけど、そういったところも聴きどころだと思っています。川崎さんに歌ってもらいたいというモチベーションで良い曲が書けたという自負があるので、この楽曲がどのように受け止めてもらえるのか、というのもすごく楽しみにしているので、是非聴いてみてください。

(おわり)

作品情報

9月15日(水)配信リリース
河口恭吾
「Stay Blue(feat. 川崎鷹也) 」
作詞:河口京吾・川崎鷹也
作曲:河口京吾  ※ 作家名の表記は京吾になります。
編曲:清野雄翔・倉品翔

【配信番組情報】

■番組名 ストリーム with:河口恭吾×川崎鷹也
■配信日時 9月24日(金) 20:00〜
■プラットフォーム Twitch Amazon Music Japan Channel
■URL https://www.twitch.tv/amazonmusicjp
※Twitchでの配信は、Amazon MusicアプリからAmazon Musicをご利用の方はもちろん、Twitch上のAmazon Music Japanチャンネルでも、事前登録不要で無料で視聴可能です。

【ワンマンLIVE情報】

20th anniv. 河口恭吾 「ALL YOUR SONGS」 supported by mont-bell
12月11日(土)渋谷duo MUSIC EXCHANGE
開場/17:15 開演/18:00
チケット代金 4,500円(税込) ドリンク代別
オフィシャル HP 先行受付 URL : https://w.pia.jp/t/kawaguchikyogo-20th/

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村上順一
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