22/7、「ヒヤシンス」で救われた
INTERVIEW

22/7

「ヒヤシンス」で救われた。
西條和、海乃るり、高辻麗が思うこと


記者:木村武雄

撮影:木村武雄

掲載:21年07月12日

読了時間:約12分

 22/7(ナナニジ)の第1章を締めくくる1stアルバム『11という名の永遠の素数』がリリースされる。今ではシングルをリリースすればトップ3入りするなど充実した活動に見えるが、その歩みは決して平坦なものでなかった。グループ発足当初、キャラクターが与えられたのは8人。涼花萌と高辻麗、武田愛奈は苦汁をなめた。キャラクターが与えられた以降は名前を冠したアニメ番組のスタート、ゲームアプリ「22/7 音楽の時間」(ナナオン)のローンチなどがあったが、その間、メンバーの卒業などもあった。そうした経験を養分に代え美しい花を咲かせたのが、本作のリード曲「ヒヤシンス」。この曲で救われたとも語る。どのような思いで受け止めたのか。そして、カップリング曲のファン投票1位に選ばれた「空のエメラルド」をどう捉えたのか。西條和、海乃るり、高辻麗との鼎談で振り返る。【取材・撮影=木村武雄】

第1章、印象深いこと

――第1章の締め括りともあって、結成からこれまでで印象深かったことは?

高辻麗 この5年、いろんなことがありました。その中でも私としては去年1年がぼっかり空いてしまって。コロナ禍もそうですし、前半は私が活動休止しましたので…。ただ、ナナニジとしても、私個人としても「風は吹いてるか?」(20年9月リリース)あたりから急速に開けていく方向に進んでいった感覚があります。それまでは、大人に言われたことを漠然とやっていたという感じもありましたが「私たちがナナニジとしてこうありたい、だからこうした方がいい」と意思を強く持ち、意見を出し合うようになりました。MCでも、ダンスでも、自分たちが出ていくという意識が芽生えた感覚がありました。

――「風は吹いてるか?」からということですが、何かきっかけみたいなものは?

高辻麗 曲自体に力がありました。それまでは「なんで生きているんだろう」という感じで閉じこもっている曲が多かったんです。でも「風は吹いてるか?」は、<自分の意思を確かめろ>という歌詞のように背中を押してくれて。そもそもナナニジは、曲とともに成長してきていて、曲に影響を受けることが大いにあります。だからこそ今回の「ヒヤシンス」という前向きな曲を頂けたことは自分にとって希望になっています。

――希望ということは、それまではそうではなかったんですね。

高辻麗 私を含めた3人(涼花萌、武田愛奈)は、「何もしてあげられない」(2019年8月リリース)まで表題曲に出られず、歌える歌えない以外のところでも格差を感じるところがありました。でも「僕らの環境」(20年2月リリース『ムズイ』カップリング)で、「公平なものはないんだから自分の場所で頑張るしかない」と自覚させられて。そうしたことを全て受け入れて「ここからスタートだ!」と一つの区切りができ、曲を通して成長した上での「風は吹いてるか?」でした。

――自分たちの曲が支えに?

高辻麗 支えになる時もありますし、逆に自分のなかにある負の部分を引き寄せることにもなりかねないです。音楽の力は本当に絶大だなって思っていて、全部の曲に共感できる部分は少なからずあります。でもそこを増幅させてしまうところもあります。

――海乃さんはいかがですか。この5年はキャラクターと一心同体になれるように取り組んできたり、以前よりも前に出られるようになったり、しっかりしてきている部分もあるように見えますが。

海乃るり いや…私としては、どんどんしっかりしなくなってきています(笑)。メンバーは、しっかりしている子も多いですし、しゃべりも上手。最近は頼ってばかりだなって思っています。なので私も頑張ろうって思っています。悔しいというよりかはもっと頑張らなきゃという気持ちの方が強いです。でもそれって悔しいのかな…。

――自分のキャラが確立されているように見えるんです。最近は焼肉キャラも定着して。

海乃るり ありがとうございます(笑)。でも変にキャラを作ろうとかキャラ付けしようということはなくて、自然に過ごしていたら付いてきたという感じです。焼肉キャラも周りの方がつけて下さって、普通に過ごしてみるもんだなって思います(笑)

――互いの信頼関係があるからこそだと思うので、普通を言い換えれば自然体でいられると。

海乃るり そうです! 結成から5年、デビューしてから4年が経つので、大学じゃないですか。すごい信頼感はあるなって思いますし、ラジオとか仕事をしていても誰と組んでも話が合ったり、私はすごく楽しいなと思います。どの組み合わせでも楽しめるグループになっていると思います。居心地がいいですし、充実しています。

――そのなかで一番印象深いことは?

海乃るり 計算中、アニメ、ナナオンというキャラクターと一緒にしたことが印象深いです。ナナオンは11人になっての物語なので印象に残っていて、アプリゲームも念願だったのですごく嬉しいので印象に残っていますね。

――以前から11人という認識はあったけど、その節目でより1つになれている感覚がある?

海乃るり みんなはどう思っているかは分からないですがそう思います。前々からそういう感覚はありましたが、11人で行うそうしたことを通じて絆を確かめられている気がします。

――西條さんは?

西條和 私の中で大きいのはメンバーの卒業と加入だったと思います。他のアイドルさんの卒業は聞きますのでアイドルには卒業があるものというのはなんとなく知っていたんですけど、自分達のことのように思えなくて、最初はみんなでメンバー11人と言ってきましたし、何の根拠もなく私達には縁がないものと思っていました。でもふいにきたので、最初はすごくとまどいました。特に私は身の回りの環境が変わるのが一番怖くて、人のお別れや新しい人とのつながりができるというのは怖くて、そういうのが同時にきたのが2019年の年末から年明けでした。その頃はアニメのアフレコが始まった時期で、こんがらがっていたなというのはあって。でも(河瀬)詩ちゃんが加入してから1年が経って、だいぶ私も状況になれつつあります。変化が怖いなとすごく思うし、変化した後に変化する前を思い出すのは必ずあって。今と昔を比べて昔が良かったって思っているわけではないんですけど、なんとなく昔にを引っ張るのでそこはまだ考えてしまいます。でも変化しているところもあれば変わらないところもあると思うので、変わらないところは大事にしていきたいと思います。

――とは言ってもそうした現実をちゃんと捉えて前に進もうとしているのは進歩だと思います。

西條和 自分が加入した時は、ここにいたくていたわけではないという思いが強くて、成り行きで来たというか。なので起こっている出来事にもあまりピンときていなかったり、そこにあまり自分の意思がなかったんですけど、今は本当に心の底からこのグループにいたいなと思っています。物事が起きたときにちゃんと嬉しいなとか、寂しいなと思えるようになったのがちょっと人間らしくなれたかなって思います。

海乃るり、高辻麗、西條和

全てを受け入れた「ヒヤシンス」

――「ヒヤシンス」はどう捉えましたか。

高辻麗 最初に聴いてダンスを見た時、涙が出てきて…。今までのナナニジの良かったところも、悪かったところも全部ひっくるめて肯定してくれる曲だなって思いました。別れも新たな出逢いも自分のなかで理不尽だと思って苦しかったこともこれがあるから花になったんだなって思えて、率直に嬉しかったです。こんなにも全部を受け止めてくれるんだと。色んな花が集まってここにあるんだって。私はオタクなので、伏線回収が好きなんです。これにはどんな意味があったんだろうと考えるんです。苦しかったこともここで回収して、まっさらにして次のスタートを切れそうだなと思いました!

海乃るり 私はナナニジのアルバムリード曲にぴったりだなって思いました。この曲は失恋を書いていると思うんですけど、今までのナナニジの楽曲の主人公だったら「別れてしまった、僕なんか、どうして…」という感じに悲観的になっていく曲が多くて。でもこの曲は「辛い思い出も全部消化して次に進んでいく、でも忘れはしないよ」という感じで進んでいくのが私は好きで、これから新たに歩んでいくナナニジの曲にぴったりだと思いました。歌詞にある<僕たちにとっては 特別な花>というフレーズはこの曲の主人公うんぬんではなく、私の解釈ではナナニジが特別な花として受け止められて、印象的な曲だなって。

――これまではMVでは特にそうですけど、桜のイメージが強かったですよね。

海乃るり そうなんです。しかも花の名前がタイトルにドンと付くのもなかなかなかったので、びっくりしました!

西條和 私は救ってくれる曲だと思いました。歌詞に<しあわせだったとふと気づく>とか、<日常がいいってふと気づく>というのがあるんですけど、全体的に過ぎ去った後に思い返す歌詞になっていて、私自身も終わってから、いなくなってから気づくことが多くて。もちろん目の前にあるときから大事にしようと思っているんですけど、いざなくなってみないと本当の意味で大事にできなかったり、いつも過ぎ去ってから「あの時こうだったのにな」と思う事が多くて。それで昔を思い出して苦しくなったりもします。でもこの曲の最後に<愛は絶対枯れはしない><愛を絶対忘れはしない>というのがあって、過ぎ去っても、無くなったことがあっても、ここにあったこと、一緒にしたことは事実として枯れたり、消えたりはしないんだなと感じて。全体的に切なくはなるんですけど、同時に救ってもくれる曲だなと感じました。

――曲は、特にアイドルの曲は、楽しいことも悲しい事も全てを飲み込んで、成長して次に紡がれていくものだと思うんですよ。それをこの曲が表現しているように感じて。

高辻麗 ナナニジの紆余曲折あったことは、私たちを知らない方や遠くから見ている方からしたら、どうでもいいことと言えばどうでもいいことだと思うんです。でも私たちにとっては特別なもの。それが最後の<僕たちにとっては 特別な花>というところに書かれているなってさらに深く思いました。

「空のエメラルド」

――カップリングベスト盤の収録曲はファン投票で選ばれましたが、1位になった「空のエメラルド」は帆風千春さんの卒業コンサートの最後にも披露された曲です。この曲が選ばれたことをどう思いますか。

高辻麗 私としては、アニメのエンディング曲という印象です。私自身は、アニメにはOVA(EXTRA EPISODE)しか参加出来ていない組(涼花萌、高辻麗、武田愛奈)でした。好きな曲ではあるんですけど、「こんなにもいい曲なのに8人だけが歌えて、私たちが歌えないのはなんでなんだろう」とつらくて。そのつらい記憶も閉じ込められている曲でもあって。曲を聴いた時に当時の記憶って思い起こされると思うんですけど、例えば受験勉強に聴いていた曲とか、目覚まし代わりに鳴らしていて嫌いになったとか。私たちにとっては「空のエメラルド」に限らずそういう曲が多くて、でも(帆風)千春が卒業した後は、千春の歌い出しのパートを私が歌わせて頂くことになって。この曲の要になるぐらい大切なところだから、自分のなかにある嫌だった思いを一旦置いて、すごく聴き込んだら改めていい曲だなって思えて。当時抱いたどうしても歌いたかった気持ち、歌いたいけどそう思っているとみじめになるから見ないふりをしていた気持ちとか、そういういろんな気持ちが蘇ってきて、「ヒヤシンス」を経て、そういう気持ちがあるからこそここのパートも歌えるんだと思えるようになって。大切なパートだからこそ私が歌っていいのかなとか、聴いて下さる方にどう思われるんだろうという気持ちもあるけど、それもありつつ大切に歌っていきたいなって思っています。いまはちゃんと向き合えています。

海乃るり この曲は直近だと帆風の卒業ライブの印象がすごく強くて。私は、いままで好きになった声優アイドルさんの活動休止は解散とかで一番最後に歌った曲は聴けなくなるんですよ。あの時のことを思い出して、私の心には残っているけど「もういないんだな、もう見られないんだ」って思って聴けなくなってしまって。それは今もそうで、聴くとどうしても前向きな気持ちになれなくて、悲しい気持ちになってしまうんです。「空のエメラルド」も同じような感覚があって。でも向き合う機会があって、卒業ライブから時を経てこの曲をフルサイズで聴いたのが、みんなで曲を聴くリスニングパーティーだったんですよ。フルサイズは卒業ライブ以来だったんですけど、気持ちが割り切れている自分がいて、前に進めていることに気付きました。時間が解決してくれたところもありますし、あの時の「空のエメラルド」はあの時の想い、でも今の「空のエメラルド」はいまの10人で歌っていくという意思みたいなものが良い意味で消化させたんだと思っています。それでも切ない思いはどこかにあります。ただ、この曲自体は好きですし、歌詞も前向きですし、アニメのエンディング曲というのもあるので思い出深いです。

――ファンが1位に選んだというのはどう思いますか。

海乃るり 納得! という感じです。ライブもそうですし、いろいろと詰まった曲だと思います。当時初めて聴いた時に、カップリングではなくて表題曲でいいんじゃないかと思ったぐらいだったので、それは納得しました。

西條和 私は、ファンの方に特別にしてもらった曲という印象が強いです。リリース当時は「ムズイ」のインパクトが強かったので、個人的には「空のエメラルド」に引っ張られることはなかったんですけど、2月の卒業ライブで、ちはるんとお客さんと共有できたあの時間に披露したのが「空のエメラルド」だったというので、あの日を境にすごい特別な曲になりました。でもあのとき私大号泣していたんですけど、これから歌う時は悲しい気持ちは引っ張らずにせっかく皆さんが1位に選んで頂いた曲なので大事に大事に歌っていきたいと思っています。

――帆風さんはあの時、涙を流す場面もありましたが、笑顔に努めて、最後の去り際も笑顔でした。

西條和 練習の時もいつものちはるんで、ちはるん自身が前向きでした。だからこそこの曲を悲しい思い出にしたくないなと思います。

――海乃さんも?

海乃るり 全く同じ気持ちです。

ユニットソング、新曲

――ユニットソングと新曲について。晴れた日のベンチの新曲は「To go でよろしく!」です。

高辻麗 前作の「半チャーハン」ですごくバズったんですけど、「半チャーハン」しか言ってないぐらい「半チャーハン」でした(笑)。今回はストーリー性があるんです。全部のカップリングのユニットソングに共通しているのが恋の曲。そのなかでもポップというか、可愛い男の子の気持ちを歌っている曲で、晴れた日のベンチはちょっとおバカなところが魅力のキャラクターが集まっていると思うので、すごくぴったりの曲を頂けたらなと思いました。

――海乃さんも同じユニットですが、全体の新曲としては「空を飛んでみよう」があります。

海乃るり かっこいい曲だなと思っていて、すごく好きなので、何回も聴き込んでいます。他の子が言っていることでなるほどなと思ったのが、「足を洗え!」という前向きな曲があるんですけど、それと似ているなって。ちゃんと言葉で強くなるんだと言ってくれている曲だと思いますし、勇気も出ます。ダンスも力強いのでライブで見て頂けたら更に頑張ろうと思ってくれると思います。

――出だしも華やかな感じですね。

海乃るり そうなんです! 私あそこが好きなんです! 「テッテレッテー♪」みたいな(笑)

――西條さんは気の抜けたサイダーで、新曲として「好きになるのは自由だし…」があります。

西條和 最初聞いた時はセリフが多いなっていう印象で、でもやっぱり、今も可愛い曲に慣れていないのに、試練が来たなと思いつつ、さすがに2回目だしなと(笑)。22/7 白組として歌った「キウイの主張」も入れて数えたら、なんだかんだやっているんだなって思って。前作の「ソフトクリーム落としちゃった」の時は(涼花)萌ちゃん(神木みかみ)と(天城)サリーちゃん(藤間桜)の声に紛れて消えてくれたらいいなと思いながら収録していて(笑)でも3人だと紛れようがなくて(笑)。今回は1人ずつレコーディングしたので2人の声を想像しながら浮かないように頑張りました(笑)

西條和、高辻麗、海乃るり

(おわり)

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木村武雄

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