富田美憂「これが終わりではない」1stアルバム「Prologue」に込めた想いとは
INTERVIEW

富田美憂

「これが終わりではない」1stアルバム「Prologue」に込めた想いとは


記者:村上順一

撮影:

掲載:21年07月02日

読了時間:約11分

 声優でシンガーの富田美憂が6月30日、 1st ALBUM『Prologue』をリリース。2019年に「Present Moment」でシンガーデビューし3枚のシングルを発表。『Prologue』はその3枚のシングル表題曲と新曲7曲を含む全10曲を収録した。インタビューでは自身初となる作詞を行った楽曲「Letter」に込めた想いから、タイトルの『Prologue』に行き着いた経緯、そして、出会いを大切にしていきたいと語る彼女に、自身にとっての大きな出会いについて話を聞いた。【取材=村上順一】

自分を鼓舞する意味も込めた『Prologue』

「Prologue」通常盤ジャケ写

――1stアルバムが完成しましたが、どんなお気持ちですか。

 一つの作品という表現がピッタリだなと感じています。収録曲もこれまでにリリースした3曲と新曲7曲にしたのも、このアルバムを通してファンの皆さんが私との歩みを一緒に振り返って、成長の過程を見ていただきたいなと思ったからなんです。

――今回作詞にも挑戦されていますが、アルバム制作にはどのくらい関わられていますか。

 アルバムを作るというお話を聞いてから、私も一緒にアルバムタイトルや楽曲の方向性、曲順など提案しました。自己プロデュースに近いことが出来たと思っています。歌うこともそうなんですけど、自分がやりたいことを見つめ直したり、やりたい音楽もこの1年半で出来たので、それを形に出来ました。

――デビューから1年半を振り返るとどんな思いがありますか。

 歌手デビューしたのが最近のことのように思うんですけど、すごく密度の濃い1年半で貴重な経験をさせていただいています。コロナ禍になる前のスケジュール帳を見ていたら、5カ月間の毎週土日の2日間はイベントに出ていて、それが当たり前のことだったんですけど、お客さんに会えない状況になってから、それがすごくありがたいことだったんだと思えるようになりました。この歌手活動が声優活動にプラスになったり、その逆もあって違うジャンルの仕事ではあるんですけど、お互い良い影響を与え合っているなと感じています。一人の人間としてもすごく成長出来ました。

――オンラインライブで感じたことは?

 お客さんからテンションだったり、いろんな面を支えていただいていたんだなって。オンラインで歌うことも多かったんですけど、本番とリハーサルの境目がわからなくなることもありました。お世話になっている先生が「ライブはディズニーランドだ」と教えて下さって、非日常を与えるのがライブなんだとこの1年半で学んだことの一つなんです。でも、オンラインだといつも以上に本番だという意識で臨まないとダメなんです。最終リハーサルからこれは本番なんだと言い聞かせて臨むようにしました。それも先生に教えていただいたことだったので、すごく人に恵まれているんだなと実感しました。

――そういった意識の変化が今作にも詰まっているわけですね。さて、今作どんな1枚にしたいと考えていましたか。

 これまでアニメ作品を背負うことの楽しさも経験してきて、作品を背負っていないことで表現ができることもあるなと思いました。アニソンを聴いている方から見て、馴染みのないサウンドの曲があってもいいなと思いましたし、それが出来るのがこのアルバムだと思いました。それでこんな曲が歌いたいですとマネージャーさんやレーベルの方に提案させていただきました。

――企画書を出したり?

 企画書まではいかないんですけど、マネージャーさんにアイデアを綴ったノートを渡しました。

――タイトルの『Prologue』はどの段階で決まったんですか。

 曲が出揃ってレコーディングも終盤に差し掛かった頃でした。1曲1曲にコンセプトがあって、声優をやっているからこそ出せる強みはどこなんだろうと考え、演じる仕事なので1曲1曲に主軸となる人物を作って、10通りの富田美憂を見せることが出来たらと思いました。それで、物語チックな雰囲気を感じてもらいたいと思い、“Prologue”という言葉がピッタリだなと思いました。作品としてもこれ以上ないくらいこだわることが出来ましたし、『Prologue』は今私が出来る最大限のもので、次の作品を出せた時に一歩でも今作を超えなければいけない、これが終わりではないと自分を鼓舞する意味も込めたタイトルなんです。

――デビュー曲の「Present Moment」を1曲目に持ってきたのも、ここから始まったという意識が強い?

 最初はリード曲ということもあり「ジレンマ」を1曲目にしようと思っていました。今回自分で作詞をした「Letter」という曲があるんですけど、この曲には私の人生がすごく詰まっていて、ここまでのシングル曲がなかったら出来なかった曲だと思ったので、「Letter」をアルバムを締め括る曲にしたいとなって、1曲目はシンガーとしての一歩目となった「Present Moment」が良いなと思いました。

――「ジレンマ」は大人っぽい1曲ですが、最初に聴いた時、どのように思いましたか。

 「ジレンマ」は3rdシングル「Broken Sky」の時に既にあった曲なんです。アニメ作品の世界観とは違うと感じたので外れてしまったんですけど、これはいつか歌いたい、歌わないとねとスタッフさんみんなも思うくらい印象的な曲でした。それでアルバムの制作も同時期に始まっていたので、収録したいとなりました。なので、ずっと温めていた曲でもあったんです。今作は富田美憂の成長というのもキーワードにあって、「Present Moment」を歌っている人がこんな曲も歌えるんだ、という驚きを与えることが出来たらいいなと思い、あえて2曲目を「ジレンマ」にしました。

――リード曲になったのも最初から決まっていたんですか。

 最初からリード曲にしようとは考えていなくて、歌っていく中でだんだんMVの映像がイメージ湧いてきて、「この曲がリード曲だ!」と直感的に思いました。「ジレンマ」は時間がコンセプトになっている楽曲で、過去、現在、未来を表現するためにリップシンクを逆から撮影しています。完成したものは私の口の動きは歌詞通りなのに、周りのオブジェが逆に動いているんです。それを再現するために監督さんから逆再生した映像を頂いて、それに合わせて歌う練習をしました。

――歌詞をローマ字にして逆さに読んでいくことになると思うんですけど、頭がこんがらがりそうですね。

 そうなんです。撮影では表情を大事にしていたので歌詞に集中し過ぎると、表情が疎かになってしまう、でも歌詞も難しいという状態で、これまで撮影してきたMV撮影の中でも一番難しくて、一番練習してから臨んだ撮影でした。

――「ジレンマ」は時間がコンセプトになっていますが、もし時間を戻せるとしたらどこに戻って見たいですか。

 私は声優は天職だと思っていますし、後悔はもちろんないんですけど、もし時間を戻せるなら普通の学生生活を送って見たいです。10代からお仕事をさせていただいているので、みんなと同じように学生生活を過ごせていませんでした。放課後にカラオケに行ったり、校庭で遊ぶという経験がほとんどないんです。よく覚えているんですけど、卒業式の次の日に大分県でお仕事があって前乗りしなければいけなくて、卒業証書を頂いてこっそり抜け出して向かったこともありました。みんなで寄せ書きしたり、写真を撮ったりした経験がないのでやって見たいです。

歌で人の気持ちは動かしていける

「Prologue」初回盤ジャケ写

――「Letter」はご自身で作詞された曲ですが、どのような経緯があったのでしょうか。

 アルバム制作が開始する段階で1曲作詞をしてみませんか?というお話をいただきました。私もいつかは作詞をやってみたいという気持ちはあって、書くならばみんなへの感謝を綴った歌詞にしたいなと思いました。それでその機会を頂けたので詞先という形を取らせていただきました。

――どんな想いを込めて書かれたのでしょうか。

 自分自身に対してもそうなんですけど、今まで演じてきたキャラクターたちへの歌でもあり、日々お世話になっている方々、ファンの皆さんへ向けた曲なんです。私は作詞のプロではないので、オシャレな歌詞はまだ書けないと思っていて、アルバムのクレジットに作詞:富田美憂と乗った時にグッとくるものとはなんなんだろう? と考えた時に、そのままの気持ちをストレートに書いたほうが皆さんに届くんじゃないかなと思いました。手紙というのは普段照れ臭くて言葉に出来ないことでも、素直に書けるなと思いました。

――一人称が<ボク>なのはなぜですか。

 ファンの皆さんも楽曲世界観に入り込めるように<ボク>にしたというのが理由のひとつなんです。私以外の人が聴いた時にも富田美憂と歩んできた道を走馬灯のように思い出していただけたら嬉しいという想いがありました。

――作詞を経験されてみて気づきはありましたか。

 プロの作詞家さんは言葉のボキャブラリーが膨大なんだろうなと思いました。例えば夢という言葉を他の言葉に置き換えたら目標になるのかなあとか、一つの言葉を他の言葉で表現する為に、自分の引き出しから出すのが大変でした。そして、歌というのは自己満足のためだけに歌うのではなく、私の歌で少しでもその人の人生を変えられたらというのがありました。ファンの方で私のようになりたいと言ってくださる方もいるんですけど、その言葉を聞いた時に歌で人の気持ちは動かせる、動かしていけるんだと思えて、誰かのために歌うことが一つの答えだと私は感じました。「Letter」の1番では自分のために、というようなことを歌っているんですけど、2番ではあなたのために歌っているという流れになっているので、その変化を感じ取ってもらえたら嬉しいです。

伊瀬茉莉也との出会い

――今作で新しい挑戦だった曲はありますか。

 「かりそめ」はすごく大人な雰囲気もある曲で、聴いてくださったみなさんが驚いてくれるんですけど、私自身も新境地に行けた感覚があります。これまで私のハスキーな声を良いと思っていてくれた方が多かったと思うんです。あえて今回そこを封印して、シルキーで艶やかな声が出せたらすごくマッチするだろうなと思いました。収録曲の中でも一番女性らしさを出せた曲だと思いますし、良い意味でこれ誰? となってくれたらいいなと思いながら歌いました。

――その声を出すためにどんなことを心掛けてレコーディングしましたか。

 すごく力を抜いて歌いました。こんなに力を抜いて歌ってもいいのかなと思ってしまうくらい脱力しています。それを客観的に聴いた時にセクシーだと感じていただけたら狙い通りなんですけど。

――コーラスも多いので、時間もかかったのでは?

 大変でした。楽曲の雰囲気を作るのにすごく大事なパートで、他の曲でも主旋律と同じくらい大切に歌わせていただいています。でも、この曲はコーラスというニュアンスより、自分の声と掛け合いをしているような感覚もありました。

――続いての「足跡」は、富田さんのエモーショナルな一面を堪能できますね。

 バラードも1曲入れたいと思いました。この曲は「ジレンマ」のその後を描いた曲なんです。「ジレンマ」では現在進行形でモヤモヤしている心情を描いていて、「足跡」は数年経ってあんなこともあったよね、と語り合えるくらい大人になった2人の曲なのかなと思いました。なので、大人をイメージして包容力や温かさみたいなものを意識して歌いました。

――大人と言いますと何歳くらいをイメージしてました?

 30歳前後をイメージしていました。

――理想の大人像はありますか。

 この現場に富田美憂がいたら安心だよね、と思っていただけるような大人になりたいです。数年前までは声優としても新人で、周りの先輩方にすごく助けられていました。それもあって他の現場でその先輩方とお会いした時に、○○さんがいるから安心だと自分も思えるんです。そういう存在になることが自分の目標でもあるんです。すごい方達と比べると私なんかまだまだで、そうなるには経験を積みながらも、多くの人に出会うことが大切だと感じています。

――自己評価、厳しめなんですね。

 伸び代があると思いながら活動しています。それは両親から感謝すること、常にありがとうを言えること、謙虚でいることを物心がついた時から言われ続けていました。確かに先輩方を見ているとスタッフさんやキャラクターへの感謝の気持ちを忘れていないですし、すごい人ほどすごく謙虚なんです。それもあって少しでも「自分はすごい」と思ってしまったらそこで止まってしまうなと思っています。

――すごいと思うことと自信を持つこととは違うんですね。

 違うと思います。自信を持つことはすごく重要で、私もこの何年間で少しずつ自信を持てるようになってきました。それも周りの方のおかげだと思います。

――いろんな人との出会いが大切とお話ししていただきましたが、富田さんの出会いの中で特に大きかったのは?

 沢山あるんですけど、お仕事としてのスタンスを教えてくださったのは、『メイドインアビス』でご一緒させていただいた伊瀬茉莉也さんです。すごく愛情深くて、熱い方なんです。『メイドインアビス』の頃の私は17〜18歳だったと思うんですけど、声を出して文字を読むというのが精一杯でした。キャラクターを命懸けで演じることの楽しさを教えていただいたのが伊瀬さんで、アフレコが終わった後に食事に連れて行っていただいて、アドバイスをいただきました。

――どんなアドバイスだったんですか。

 文字を読むだけではなく、そのキャラの匂いや温度を考えるようになるともっと楽しくなる、というお話でした。伊瀬さんの情熱に触れていなかったら、ここまで本気になれていなかったんじゃないかなと思います。私のスタンスに影響を与えてくれた方で、すごく大きな出会いでした。

――最後に9月26日にLINE CUBE SHIBUYA開催される『富田美憂 1st LIVE ~Prologue~』への意気込みをお願いします。

 今、セットリストや演出を考えていて、9月26日の数時間はお客さんを現実には帰さないぞ! という強気な気持ちでやっていきたいと思っています。ファンの皆さんでも一生私のことを応援していただける保証というのはないかもしれないですけど、もし私から心が離れて行ってしまったとしても、あのライブは自分の中で特別だったなとか、何年後かに振り返ったときに良いライブだったと思っていただける日にしたいです。忘れられない日にできるようにライブに臨みたいです。

(おわり)

▽富田美憂(とみた・みゆ)

 1999年11月15日、埼玉県生まれ。2015年に声優デビュー。代表作に、TVアニメ『アイカツスターズ!』『ぼくたちは勉強ができない』『かぐや様は告らせたい?』『メイドインアビス』など。2019年11月、1stシングル『Present Moment』で富田美憂自身名義の音楽活動をスタート。9月26日(日)には、LINE CUBE SHIBUYAにて『富田美憂 1st LIVE ~Prologue~』を開催する。

公式Twitter:@miyju_tomita
公式アーティストサイト:https://columbia.jp/tomitamiyu/
富田美憂 公式オフィシャルファンクラブ「+ you(プラスユー)」:https://dps2.jp/TM/p/tomitamiyu

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