小西真奈美「想像力の余白を」新曲“Dear my friend”で感じてもらいたいこと
INTERVIEW

小西真奈美

「想像力の余白を」新曲“Dear my friend”で感じてもらいたいこと


記者:村上順一

撮影:

掲載:21年06月24日

読了時間:約8分

 女優で歌手の小西真奈美が、5月28日にシングル「Dear my friend」を配信リリースした。2016年にアーティストデビュー、2020年にセカンドアルバム『Cure』をリリースし、今作「Dear my friend」は2021年第一弾となるシングル作品。自身で作詞・作曲を行いアーティスト、シンガーとして開花。世界観のある楽曲からアップテンポの楽曲と幅広い表現で見せる。今作は自身の経験をもとに書き下ろされ、女性同士の友情を描いた、心温まるバラードナンバーに仕上がった。インタビューでは同曲の制作背景に迫りながら、アーティスト小西真奈美のいまに迫った。【取材=村上順一】

何でも出来るんだと思った

小西真奈美

――2021年も半分が過ぎようとしていますが、この半年間はいかがでした?

 すごく充実していました。コロナ禍で出来ないことは沢山ありますけど、その中でも私が携わらせていただいたお仕事では、体調が悪くなった方もいなくて。舞台にもお客様がいらしてくださいました。マイナスなことを考えるとキリがないんですけど、健康でお仕事が出来るだけでも感謝ですし、気づかせられることがいっぱいありました。

――舞台といえば先日、『家族のはなし PART1』を終えられたばかりですが、すごく集中されていたみたいですね。(※取材日は6月上旬)

 集中せざるをえない舞台でした。この舞台は1話と2話に分かれていて、1話はすごくセリフの量も多く、叫んだりする場面もあるお話で、2話は心情が深いものだったり。この舞台は草なぎ剛さん、畠中洋さん、小林きな子さん、羽場裕一さんの5人でやっていたので一人ひとりの分量も多かったこともあり、終わるとぐったりするくらい集中していました。

――リハーサルもマスクをつけてやっていたようで大変だったみたいですね。

 そうなんです。もう高地トレーニングみたいな感じで、酸素吸入しながらやっていました。でも、本番ではマスクを外してできたので、すごく爽快でした。

――メリットもあったんですね! そういえばピアノを始められたんですよね?

 コロナ禍になる前から始めたのですが、ステイホーム期間ではリモートでレッスンを受けながら続けていました。色んなことがストップした中で、オンラインで出来ることがすごく充実してきて、こういったレッスンで新たな可能性を見つけたような感覚もあります。クリエイティブに考えれば何でも出来るんだと思いました。

――5曲くらい練習されたとお聞きしてますけど、どんな曲を練習しているんですか。

 最初は「メヌエット」から練習しました。先生と相談して曲は決めたのですが、弾いていただいたメロディがすごく気に入って、「これを弾きたい!」と思いました。そのあと「バイエル」やバッハの「平均律クラヴィーア」、エリック・サティの曲などを練習しました。

――プライベートではどんな音楽を聴いていますか?

 この前まで舞台『家族のはなし PART1』をやっていて、心身ともにアグレッシブな状態だったので、その行き帰りはずっとディラン・シッツの「Rain Check」という曲を聴いていました。その曲はカームダウン(気持ちを落ち着かせる)させてくれる効果が私にはあって。舞台が終わった後に聴けば、落ち着かせてくれますし、始まる前に聴くとエナジーを溜められるような曲だと思っていて、舞台中はヘビーローテーションしていました。劇場が神奈川だったので高速道路で移動していたんですけど、それにもすごく合っていたんです。

何事にも動じないような人になりたい

――さて、今作は友達をテーマに書かれた曲ですが、このタイミングで女性同士の友情をテーマに書こうと思った経緯は?

 もともとこの曲は存在していたのですが、アルバムに入れようとか、リリースとかを考えていたわけではありませんでした。その時に感じたことを書きとめておいた曲です。友達というテーマで書いたのは初めてで、曲としても独立した感じだったのでどのタイミングで発表しようか考えていました。このコロナ禍で希望が見えては見えなくなって、人に会えなくなったりというのを繰り返して、友達が寄り添ってくれたりすることが、心の支えになっているように、この曲を聴いてくださった方が、寄り添ってくれているような感じになってくれたり、友達を思い出してもらえたりしたらいいなと思いました。この年齢だから書けたというのもすごく感じています。30代の後半でも難しかったと思いますし、きっと5年後でも5年前でも書けなかったんじゃないかなと。今というのがすごく大きかったなと思います。

――ジャケ写もすごく曲と寄り添っていますよね。

 ありがとうございます。歌っている時にこのジャケ写のイメージが浮かんで来ました。最初は普通の部屋でテレビを観ている感じ、2人で20年前に撮った思い出のビデオを観ているかのような画にしようと思ったんですけど、それだと情報量が多すぎるかなと思って、あまりモノがない空間にしました。このジャケ写で2人が観ているスクリーンは真っ白ですけど、何が映っているのかは、この作品を聴いてくださる皆様に想像していただけたらなと思いました。

――歌詞はお友達1人をクローズアップされたわけではないんですよね?

 はい。いろんな友達との間であったことを思い出して、あんな大変なこともあったなあとか、でも今は笑って話せているなとか、助けてもらったことなど、実体験を綴っています。

――どんな場面で助けられたり?

 私が落ち込んでしまった時です。夜の深い時間に電話してしまったことがあったのですが、話を聞いてくれただけでも十分なのに、家にまで駆けつけてくれたり、高熱を出してしまった時にも何も言わずにフルーツとか家に届けてくれて、チャイムを鳴らすと起きちゃうから、メールで報告してくれたり、いろいろ助けてもらいました。ですので、私もその友人が困った時は駆けつけたいと思いますし、同じことをしてあげたいなって。20年以上の友達だと当たり前の行為になっていくんです。

――歌詞にある<夢と元気だけで 楽しかったね>というのもすごく共感ポイントだと思いました。

 もうその歌詞の部分は本当にそうで、今でも友達と夢の話をするのですが、あの頃は元気だけだったよね、みたいな(笑)。

――小西さんの夢はずっと女優さんだったんですか。

 昔は素敵な大人になることが夢でした。そんな大人になれたらこんな場所に一緒にいきたいよね、といった話を友達としてました。

――その時に思っていた理想の大人にはなれました?

 まだまだです。もっと落ち着いて、何事にも動じないような人になりたいなと思っています。ここから10年後どうなっているか、年齢を重ねるのも楽しみです。

聴き手の方の想像力も合わさって完成する曲に

小西真奈美

――今回2人のミュージシャンと制作されていますが、どのように決めたんですか。

 昨年『Cure』というアルバムをリリースさせていただいたんですけど、その時にASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤(正文)さんと制作させていただきました。Gotchバンドという後藤さんのバンドとプリプロやライブのリハーサルなどご一緒して、その時に感じたお人柄や音の感じがすごく良かったのでギターは井上陽介(Turntable Films)さん、ピアノは下村亮介(the chef cooks m e)さんにお願いしました。

――そのライブ『小西真奈美 Cure Online Live at Blue Note Tokyo』は無観客で行われましたが、実際にやってみていかがでした。

 想像以上に感動しました。最初は必死でやっていたので、その達成感から感動するだろうと思っていました。でも、ライブの最後の方で自分では思っていなかった感情が込み上げてきたんです。ライブ中もお客さんがいないからというのもあまり感じなくて、高い熱量のまま歌えて、すごく良い経験になりました。

――どんなことを意識して歌っていたのでしょうか。

 スタッフさんはライブをその場で観ていてくれたので、身近にいる人が「良かった」と思ってもらえれば、画面の向こう側で観てくださっている方々にも伝わるだろうと思いながら歌っていました。

――さて、小西さんの作る音楽はすごく世界観が確立されているイメージがどの曲にあるなと感じていて、それは声なんじゃないかなと思いました。ご自身の声をどのように客観視して歌っていますか。

 曲を作っている段階でどんな声で歌おうかというイメージは出来ています。意図的にこうしようというのはあまりなくて、曲に対して感じた感情を大事にして歌おうと思っています。役者としては役によって変えている部分もありますが、音楽の時は自分の内面から出てきたもの、そこで見えた景色に声が寄り添うみたいなイメージです。だから、レコーディングでも迷いはないです。

――レコーディングといえば、音源はすごく声の近さを感じました。どんなイメージを持って録られたんですか。

 色んな人に向けた曲にはなっていますが、ジャケ写のように寄り添って歌っている感じを出したかったんです。なので、張り上げて歌うというのとは違う感じにしたくて。いつもだったら喉を潤して整えて歌うのですが、それは少し違うと思ったので、ざらつきがある瞬間もあえて取り入れました。今回はより人間味が出るといいなと思って、私という人間の声が耳元で鳴っているような感じになるといいなと思いました。

――逆に<朝までいよう>という歌詞のところではエフェクトがかかるんですけど、ここはどんなイメージなんですか。

 ここはより親密になったり、特別に感じられるようなものに聴こえたらいいなと思いました。ここまでのイメージとは違う感じ方をしてもらえたらいいなと。ここは何パターンか試させていただいて、今のエフェクトに落ち着きました。

――ちなみにこのレコーディングは楽器と同時にレコーディングされているんですか?

 いえ、別々に録りました。もし、そう感じていただけたなら嬉しいです。同じ空気感というのを狙っていたところもありました。あと、楽器の音数をシンプルにしたのは、聴いていただいた方の想像力の余白を作りたいなと思いました。曲だけで完結しているというよりは聴き手の方の想像力も合わさって完成する曲にしたかったんです。

――ライブではどんな雰囲気に変化するのかも楽しみです。

 ライブが出来たら、ピアノで弾き語りでやってみるのも面白いかもしれないですね。もしくはギターを弾いてもらったり、色々出来そうだなと思っています。

――最後にシンガー、アーティストとしての展望を教えてください。

 まだまだやってみたいこと、世に出したい曲、ご一緒してみたい方などたくさんあります。ここから、それらを少しずつ形にしていけるようになりたいと思いますし、皆さんもそれを楽しみにしていただけたら、いつかライブなどでお会いできた時に熱量、情熱の交換が出来たら嬉しいです。

(おわり)

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