近藤玲奈「色んな感情表現を」シンガーとして見せたい新たな一面
INTERVIEW

近藤玲奈

「色んな感情表現を」シンガーとして見せたい新たな一面


記者:村上順一

撮影:冨田味我

掲載:21年04月17日

読了時間:約11分

 声優の近藤玲奈が4月14日、ソロ1stシングル「桜舞い散る夜に」をリリース。TV アニメ『バトルアスリーテス大運動会ReSTART!』エンディグテーマとしてOAされる。2015 年声優デビューし、代表作に『ドロヘドロ』ニカイドウ役 、2021年冬TVアニメ『ホリミヤ』河野桜役などがある。インタビューでは予想外だったと語るアーティストデビューを迎えた心境から、今作の制作エピソード、どんなアーティスト、シンガーになっていきたいかなど、多岐に亘り話を聞いた。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

思い描いていた未来のルートが変わった!

冨田味我

近藤玲奈

――幼少期はどんな感じの子どもでしたか。

 保育園の頃はとにかくぼーっとした子で、何をするにものんびりしていたと親から聞いています(笑)。今でもわりとのんびり屋なんですけど。でも、小学校に入ってからは活発になったと思っていて、リーダーシップを取るようになりました。学級委員長をやったり運動会の応援団に応募したり、積極的に行動をするタイプになっていきました。

――応援団ということは、声を出すことが好きだった?

 もともとアニメのキャラクターの物真似をするのが好きで、友達に披露するのが好きでした。それで褒められたりして。「意外とキャラの物真似が上手かも」と思って、今のお仕事にも通じているのかなと思います。

――それが声優を目指すきっかけに?

 小さい頃は想像することもなかったんですけど、中学生の時に本格的にアニメにハマり、『ひぐらしのなく頃に』が凄く好きで、キャラクターを演じている声優さんに刺激を受けました。自分の好きなアニメの中でお芝居をするには声優しかないと思い、そこから声優になるために色んなことをしました。

――音楽に興味を持った時期は?

 小学校三年生くらいの頃からピアノを習い始めたり、エアロビクスに通ったりして、本格的に音楽を意識し始めたのはその頃です。小学生の時は合唱部に入っていて歌うことも好きでした。でも自分が歌ってみんなに聴かせるというところまでは考えていなくて、どちらかと言えば聴く方が好きだったんです。そして、中学では吹奏楽部に入っていて3年間フルートをやっていました。

――あとお母さんの影響でK-POPを聴いていたそうですね。

 母が東方神起さんの大ファンで常に車の中で曲が流れていました。ライブのDVDを家で観るのも生活の一部になっていて、気づいたら私自身も凄く好きになっていました。東方神起さんの曲は自分を奮い立たせてくれる曲が多くていつも勇気付けられていました。

――シンガーとして自分もそういった存在になれたらいいなという気持ちも?

 あります。私自身も落ち込んだ時など、慰めてくれるような歌を聴くとポロっと涙が出てしまうような、音楽や歌に抱擁してくれるようなパワーを感じます。私の歌で一人でも生きる希望を見つけてくれたらいいな、と思っています。

――ところで、アーティストデビューが決まった時はどういう心境でしたか。

 とにかく驚きました。自分がアーティストデビューをするという未来は描いていなかったんです。想像したことはあったんですけど、「だいぶ先のことなんだろうな」と思っていて。プロデューサーさんが私が声優として参加させていただいたTVアニメ『ドロヘドロ』を観てくださって、それがきっかけで声をかけてくださったんです。本業のお芝居の成果がアーティストデビューというご縁に繋がったというのは、頑張ってきて良かったと思いました。こんなに早くデビューのお話を頂いて、本当に予想外のことで「私の思い描いていた未来のルートが変わった!」みたいな感じです。

――まだ整理できていない部分も?

 逆に自分を奮い立たせてくれる、自分に自信が持てる要素になったのかなと思っています。アーティストデビューという、予想もしていなかったことが起こりうるという、人生何があるかわからないので、もう思い込むのはやめようと思いました。自分に自信を持てましたし、メンタル面でも成長できて、それがお芝居などにも自信を持って挑めるようになったので、さらにお仕事が楽しくなりました。

この2曲から始まっていくんだ

冨田味我

近藤玲奈

――今年の1月30日にワンマンライブ「近藤玲奈1st LIVE~Listen~」を行いましたが、ご自身の中でのハイライトはどこでしたか。

 「このライブを乗り越えたら自分は変われる」という意気込みで臨んだライブでした。昼はPop、夜はRockとコンセプトを変えて歌わせていただきました。全てがハイライトだったんですけど、あえて挙げるとしたら夜公演のRockサイドが特に印象に残っています。今までのライブだと可愛い系や王道アイドルのキャラクターみたいな曲が多かったので、ロック系の曲をほとんど歌ったことがなかったんです。

――ロックはお好きですか。

 めちゃくちゃロックが好きで、強めの歌詞の曲が好きなんです。Rockサイドでは初めてみなさんの前で見せるような歌声で歌いました。「新たな一面が見られた」という感想を頂いて嬉しかったです。魂をさらけ出したかのような瞬間だったと思ったのと、自分の曲を披露した時は凄く印象的でした。オリジナル曲は最後に歌うことになっていたので、最後までずっとドキドキが止まらなかったです。

――オリジナル曲を披露されてどんな心境になりましたか。

 「Listen~真夜中の虹」から披露したんですけど、本当にみなさん集中して聴いてくださって、正に“Listen”だと思いました。「桜舞い散る夜に」は皆さんペンライトをピンクにして聴いてくださって、楽しんで頂けてるというのがすごく伝わってきました。ライブの感想をSNSでつぶやかれているのをマネージャーさんが教えてくれたんですけど、「2曲とも凄くいい曲だった」という意見をたくさん頂いて、お手紙などで感想を教えてくださる方もいて、本当にこの2曲から始まっていくんだと嬉しくなりました。

――今作の曲を聴いた時、どんな気持ちが芽生えましたか。

 キャラソンとは違って私の歌として歌わないといけないので逆にどう表現していいか悩みました。まず歌詞の意味を自分で思い描いて理解していくところから始めました。「桜舞い散る夜に」の場合は自分の中で明確な登場人物がいて、その人物になりきる感じで歌わせて頂いています。「Listen~真夜中の虹」も、どういう人が歌っているんだろうと考えたのですが、この曲は逆に自分の経験と重ね合わせたらピッタリとはまったので、自分と重ね合わせて自分の歌として歌うことができたと思います。

――「桜舞い散る夜に」の登場人物はどんなイメージですか。

 昔から曲の解釈や考察することが好きなので、いつもやっていることを自分の曲でやる時が来たなと思いました。「桜舞い散る夜に」は、おそらく主人公の女の子が好きだった人と二度と会えない状態、病気で亡くなってしまったという設定を描いて歌いました。でも、聴く人によって全く違う解釈にとれる歌になっていて、皆さん自身の経験に重ねて聴くのもいいですし、私は大好きなお婆ちゃんのことも思い出したところもあったので、大切な人、もう会えなくなってしまう人のことなどを思い描いて聴くのもいいかなと思います。

――歌詞で気に入っているフレーズはありますか。

 印象的だったのが、2番のAメロの<無くした何かを求めて ずっと歩き続けて壊れた日々>で、昔の私っぽい感じがしています。ずっと声優として夢を叶えるために努力してきたけど、なかなか結果が出なくて悩んでいた日々を思い出しました。最後の3行は、主人公が会えないことはないと信じていたけど、心のどこかで会えないことはわかっていて、その寂しさが溢れ出ていると思いました。<どうしてこんなにも溢れるの>というフレーズは、涙を流しながら歌っている描写がはっきりと浮かんできて、歌い方もこだわりました。

――レコーディングはいかがでしたか。

 「桜舞い散る夜に」のレコーディングは自分の中でもまだどんな曲なのか噛み砕けていなかった時期だったので、ちょっと迷いが生じて歌が固くなってしまったんですけど、スタッフさんに「これは幸せな曲じゃなくて、うつむきがちな感じで歌っている、悲しいけど、前を向いていたいと思い込んでいる」と、説明して頂いてから自分の中で具体的なイメージが浮かんできました。そこからひとつイメージを掴んだだけでスッと全部歌えることができました。

――それは声優のお仕事でもそういったことも?

 お芝居も、そのキャラクターがセリフを言う時に、外か自分かどっちに向かって言うのかなど、細かいことも考えます。現場で監督さんに言って頂いたことをヒントに、だんだん回を重ねていくごとにわかってくるところもあります。明確な答えというのは歌でもお芝居でも無いんですけど、答えのないものを答え合わせしていくという作業は可能性が広がって楽しいです。

――考える、考察するのがお好きなんですね。

 私はディズニーが好きなんですけど、ショーを観てその内容を考察しています。それをiPhoneのメモに書いて、ディズニー好きの友達に送るんですけど、考察がいつも長くなっちゃうんです(笑)。学生時代も道徳の授業の感想文が一番好きでした。読書感想文は苦手でしたけど(笑)。

自身と重なった「Listen~真夜中の虹」

冨田味我

近藤玲奈

――「Listen~真夜中の虹」のレコーディングはどうでした?

 この曲を最初に録りました。過去の自分に今の自分が訴えかけ連れ出そうとしているという解釈になりました。まだ声優として歩みだしていない過去の自分に、今の私にはこんなに応援してくれる人がいっぱいいるから、早くこっちに来なさいと呼びかけているような曲だなと思いました。

 過去の自分は、アーティストデビューできている未来も描けていないし、そんなことも考えたこともなくて、「どうせできない」と思っていた部分もありました。でも、この歌詞の<明日のことはどこを開いても書いてない>とあるように、人生は何が起こるかわからないし、<奇跡が今 奇跡が今 すぐ隣を通り過ぎている>という歌詞もアーティストデビューできている奇跡、可能性はあるのに自分から踏み出せないと思っている自分に一歩踏み出すことで、今の私がいるということを証明してあげたい、という強い意志を持った曲かなと思い歌う時は力が入りました。

――お話を聞くと、声優としてデビューするまでも色々と大変なことがあった?

 私はけっこう苦労したタイプだと思っています。不器用な性格で、なかなか一つのことを成し遂げるのに時間がかかることもありました。養成所などで勉強してデビューというわけではなく、ほぼ独学で学んでいく感じでした。どうやったらお芝居が上達するかというのも自分で考えて挑戦しては失敗しての繰り返しでした…。そんな時間を繰り返していく中で、めげずに夢に向かって努力を続けた結果、一つチャンスを掴むことができて、それをきっかけにたくさんの現場を経験して、色んな先輩方から勉強させて頂いて今の自分がいるんだと思っています。

――ところで、「Listen~真夜中の虹」のサブタイトル「真夜中の虹」というのはどう解釈していますか。

 サブタイトルはいくつか案がありました。「真夜中の虹」というのは神秘的な要素を感じたので選ばせて頂きました。今作の2曲は一見違うようで凄く似ていると思ったのが、「桜舞い散る夜に」は桜と夜で、桜は華やかで希望に満ちた存在だけど、夜はちょっと寂しくて暗いイメージもあって。「真夜中の虹」も、虹と真夜中という真逆の存在というか、そういうので共通点があると思いました。

 「真夜中の虹」は、不可能の中にも可能性があるというのを教えてくれる曲なので、真夜中に虹が出ることはないけど、自分が信じて思い描けばそういう奇跡が起こるかもしれないということを表しているタイトルにもなっていると思いました。真夜中というと静かで誰もが眠っていて、助けを求めても誰も応えてくれないような暗いイメージもあるんですけど、そこに虹が架かっている、それを渡ることで七色の人生が待っているという曲になっていると思っています。

――ちなみに近藤さんは夜型?

 夜型で真夜中派です(笑)。けっこう夜更かししちゃいます。でも寝起きが悪いことはないんです。

――寝起きが良いのはいいですね(笑)。さて、ミュージックビデオの撮影は緊張しましたか。

 MVはリラックスして撮影することができました。緊張はしなかったんですけど初めてのソロ撮影だったので、どういう風に振り付け、身振りをしたらいいのかわからないままフワッとした感じで始まってしまって。でも「桜舞い散る夜に」の主人公になりきろうと思い、振り切って演じようという気持ちで臨みました。表情のアプローチもこだわりました。

――すると見所は表情の変化など?

 ここまでちゃんと自分自身の表情で作品を作るということは、声優になってから始めてだったので、また新しい部分をみなさんに見て頂けるんじゃないかなって思っています。

――最後にアーティスト、シンガーとしてどんな姿を見せていきたいですか。

 私自身もこれからどうなっていくのか未知の世界です。一緒に冒険するような気持ちで応援してくださると嬉しいなと思っています。私はその時期によってお芝居や歌い方も変わっていくタイプなので、ここからまた自分が変化して新たな一面を見せていけるように色々頑張っていきたいです。その瞬間瞬間をとにかく大事にして過ごしていきたいと思っています。アーティストとして、作詞にも挑戦していきたくて、本業の方はお芝居でもあるんですけど、歌もある意味お芝居と同じ感覚のところもあるので、色々経験して新たな扉を開いて、色んな感情の表現をしていけたらいいなと思っています。どんな形になったとしても、私という存在は変わらないし、変わらないものはちゃんとあるので、お互い信頼し合っていくような関係で応援してくださったら嬉しいです。

(おわり)

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