足立佳奈、様々な挑戦が詰まった新曲「ノーメイク」に迫る
INTERVIEW

足立佳奈

様々な挑戦が詰まった新曲「ノーメイク」に迫る


記者:村上順一

撮影:

掲載:21年04月13日

読了時間:約10分

 岐阜県海津市出身のシンガーソングライターの足立佳奈が7日、配信シングル「ノーメイク」をリリースした。3月27日にwacciとの初コラボ楽曲「キミとなら」をリリースし、全国8カ所をまわる『ADACHI KANA LIVE TOUR 2021~ Dear. ~』を終えたばかり。「ノーメイク」はテレビ東京系 ドラマParavi『理想のオトコ』オープニングテーマに起用され楽曲はCarlos K.とタッグを組み制作。同曲の演奏陣にはベースにハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、ドラムに澤村一平(SANABAGUN.)、ギターにサトウカツシロ(BREIMEN)を迎えた。インタビューでは久しぶりとなった有観客のツアーについてや、新曲「ノーメイク」と「タラレバ」の制作エピソード、新年度に因んで新しい場所に馴染む方法や、彼女が追求していきたいことなど話を聞いた。【取材=村上順一】

感極まってしまった全国ツアー

「ノーメイク」ジャケ写

――全国ツアーも残り1本ですが、『ADACHI KANA LIVE TOUR 2021~ Dear. ~』はいかがでしたか。(※取材日は3月末)

 ステージに立てることの幸せや皆さんの前で直接目を合わせて歌える喜びを感じたツアーでした。皆さんも声は出せないけれど手拍子などで盛り上げてくれる、その空間が本当に幸せでした。

――ツアーで印象的だった出来事はありましたか。

 コール&レスポンスができない代わりに、体を動かして楽しんでもらえるようなコーナーを作りました。それは、皆さんが私の動きの真似をしてもらうというもので、どの会場もすごかったんですけど、特に石川県の皆さんは私の細かいところまで動きを真似してくれていたのが印象的でした。

――大阪ではタコチームと焼きチームに分かれて、何かやられていたみたいですね。

 その地域にあったチーム名を考えました。大阪はベタですけど、たこ焼きが有名ということで「たこチーム」と「焼きチーム」にわけたんです。東京はEX THEATER ROPPONGIでライブをさせて頂いたので、『チームEX」と「チームギロッポン」に分けてみたり。

――足立さん、よく“ギロッポン”という業界用語を知ってましたね。かなり昔の言葉だと思うんですけど。

 ちょっと前まで全然知らなかったんですけど、最近事務所の方に教えてもらったんです。 それをメモしておいたので早速使ってみました(笑)。

――すぐに使えるときが来たんですね(笑)。久々の有観客ライブだったということで、感極まる場面もありました?

 はい。ツアー初日の北海道公演は1曲目が終わってステージからお客さんを見たときに、一年半ぶりの有観客ライブだったということもあり、涙が止まらなくなってしまって...。全然涙が止まらなかったので出し切って、落ち着いてからライブを再開したんです。ステージに立つにあたって、コロナ禍で皆さんがライブに来ていただけるのだろうかなど、不安な気持ちも少なからずあったので、みんながいることで安心感に変わったんだと思いました。

――この経験がこれから作る楽曲にも反映されそうですね。

 はい。実はライブが一本終わるたびにその時に感じたことを日記に書いていました。仙台公演では3.11、東日本大震災が起きた日の翌日に当たる3月12日がライブ当日だったんですけど、震災の番組が沢山放送されていました。それで前日11日の夜に震災について思うところがあって、自分にできる事は限られているけど「歌で何か伝えたい」と思い、曲を作って急遽ライブで披露させていただきました。

――そうだったんですね。その曲のタイトルは?

 まだタイトルはないんです。この時間を一緒にいよう、というテーマで書いた曲でした。ライブでは皆さんもじっくりと耳を傾けて聴いて下さっていて、改めて表現者で良かったと心から思えた瞬間でした。

「ノーメイク」という言葉に込めた意図とは

――新曲の「ノーメイク」はドラマ『理想のオトコ』のオープニングテーマですが、ドラマを見てどんな感想を持ちましたか。

 ヒロインの小松燈子は30代で独身、働きながら恋愛をしていくというストーリーということもあり、今の自分よりも少し大人なお話しという印象がありました。

――前作の「待ちぼうけ」と同じくCarlos K.さんと共作ですね。

 Carlos K.さんと一から作っていく楽しさもあるんですけど、今回はCarlos K.さんにデモを作っていただいて、 そこから一緒にドラマのオープニング曲としてふさわしいものを作っていこう、というスタイルでした。そこから鼻歌で歌ってみたり、メロディを色々試しながら作っていきました。 これまでタイアップさせて頂いた作品は私と同世代のものが多かったので、等身大で歌詞を書いていたんですけど、今回は自分より年上の方をイメージして作ったのですが、これは初めてのことでした。

――どんなことをイメージされましたか。

 スタッフさんに20代後半から30代前半の方がいたので「こういう時ってどんな気持ちになりますか」と質問を投げかけたり、恋愛について雑談をして情報を得てました。 なので自分ではまだ意識しない、感じていないような貴重なお話もあって、それを参考に作詞した部分もあります。

――その雑談の中で印象的だったワードはありましたか。

 ありました。それが歌詞に入っていて、<ああ 子どもたちが走ってく 背中見て なんだか今…>というのは、その雑談の中で出てきたワードなんです。 最後の「…」の部分は聴いてくださった方に委ねたいなと思って「…」にしました。

 そのスタッフさんは子どもを見ると自分のご両親が今の自分の歳の頃には子どもを育てていたけど、まだ自分は独身で親になれていない、だから子どもを見ると感慨深いものがあるとお話ししてくれて。私はまだそういった気持ちにはなったことがないので、初めて知った感情でした。

――自分にはまだない感覚があったんですね。さて、「ノーメイク」 というタイトルにはどのような想いが込められていますか。

 社会に出てお仕事をしている女性はキチッとして外見から素敵な女性と思われがちだと思うんです。蓋を開けてみたら誰にも言えない葛藤や悩みがあって、メイクをしている時は「大人としてしっかりしなきゃ」と感じているけど、 実際は大人の方もいろんな悩みをもっていて、それを隠しているんだと思ったので「ノーメイク」というタイトルにしました。

――歌詞の<強がってたって心は愛されたいの 誰が作った台詞でもない私だけの本音よ>の部分がそれを表していますね。さて、この曲のレコーディングはいかがでしたか。

 Bメロの<ああ 大人になっても>の<ああ>は何度も録り直しました。あと今回歌うにあたってリズムに挑戦がありました。それは今まで以上に空間を大切にしたかったんです。

――この曲は演奏陣はベースにハマ・オカモトさん(OKAMOTO’S)、ドラムに澤村一平さん(SANABAGUN.)、ギターにサトウカツシロさん(BREIMEN)とバンドメンバーも豪華ですよね。

 急遽お願いさせていただいたんですけど皆さん快く引き受けて下さいました。(澤村)一平さんのレコーディングに私も立ち合わせていただいたんですけど、その時に私にも「この演奏どうだろう」「どっちの演奏が良い?」など私にも聞いてくださって。ちょっとアレンジが変わっただけでもこんなに変わるんだ、という発見もありました。初めてではないんですけど、楽器のレコーディングに立ち合わせていただくことは、そんなに多くはなかったので、すごく楽しかったです。

――発見があったんですね。ミュージックビデオの見所は?

  全体的に楽曲の雰囲気に合わせて大人な世界観になっています。白と黒、昼と夜の異なるシチュエーションを描いているところがポイントです。これまでのMVは可愛らしいものが多かったと思うんですけど、今回は髪型も普段とは全く違う感じにしたので、注目していただけると嬉しいです。

――足立さんはその時の気分でメイクを変えることもありますか。

 気分によってメイクを変えることはあります。たまにテンションをあげたくない時もあるんですけど、そういう時はあえて唇をファンデーションの色、肌に近い色にしてみたり、逆に今日は気合を入れたい、という時は濃い色のリップを使ったりします。 あと目元に白いラインを引いて気持ちをあげることもあるんです。

――アーティスト写真は凛としていますね。

 ありがとうございます。大人のイメージで表情も強さが見えるような写真を選びました。色もキリッとしたものが良いなと思って、濃いブルーにしました。

――そういえば、YouTubeで配信されている番組「あだちの絵日記便」で最近は青色が好きだとお話しされていましたね。このアー写が関係しているところも?

 これは偶然でした。最近、占いにハマっていて、そこで提示されたものでその日の色を決める事があるんです。なので、基本は緑色が好きなんですけど、その時々で好きな色は変わります。でも今は柔らかい青色が好きです。

新しい場所に溶け込むには?

――「タラレバ」は全国専門学校広報研究会CMソングで、「ノーメイク」とはまた曲調が異なる一曲ですが、どのように制作されましたか。

 この曲は中村瑛彦さんに楽曲を作っていただいて、タイアップが付いて楽曲の方向性が変わりました。以前はラブソングだったんですけど、日常と照らし合わせながら、自分を鼓舞するような応援ソングになったらいいなと思い歌詞を書きました。過去の自分を思い描きながら書いたので、まさに私だと言える曲になりました。

――「タラレバ」という事で足立さんも「こうしておけば良かったな」と思うこともあると思うのですが、どんなことで思いますか。

 学校での課題の締め切りです。後でやればいいやと後回しにしてしまう事があって...。歌詞にある<なりやまない通知音 締め切りに追われる日々>というのは学校からの連絡なんですけど、その度に「ちゃんと早くやっておけばこんな事にならなかったのに」と後悔します。学生の皆さんなら一度は思った事があるんじゃないかなと思います。

 あと、お家に帰ってきて部屋を見ると朝出かける時にそのままにしてしまった食べ物や、服が散らかっていたりすることもあるんですけど、その度に片付けてから出かければ良かった、とよく後悔しています(笑)。こういうちょっとしたことで日常生活も左右されてしまうので、そろそろ抜け出したいなと思っていて。

――その食べ物は歌詞にも登場するたまごサンドですね。

 そうなんです。たまごサンドって2個入りで売っていると思うんですけど、私は朝に一つだけ食べて一つ残してしまうことが多くて。ちゃんとラップをしておけばいいのに、そのままお皿に乗せたまま出かけてしまうので、帰ってくるとたまごサンド乾いてしまっていて。

――これらは割と皆さん経験する“あるある”ですね。この曲はどんな意識を持ってレコーディングに臨みましたか。

 自分に言い聞かせながら歌ったんですけど、すごくレコーディングもスムーズで早く録り終えることが出来ました。録り終えてスタジオを出たらまだ外が明るかったんです。

――特に気に入っているフレーズはありますか。

 冒頭の<もうそろそろ抜け出したい タラレバばっかな私 good bye>はすごく気に入っています。この曲のようにそんな自分にgood byeするような気持ちで通勤、通学したら心が晴れやかになるなと思いました。

――さて、4月は新年度ということもあり、新年度や新生活と聞いて連想するものはありますか。

 出会いです。新生活と聞くと大学に進学して上京してきた時のことを思い出します。すごく不安な気持ちもあったんですけど、友達との出会いによって、その気持ちもだんだん穏やかになって、その時に咲いていた桜のように、自分の心もピンク色に染まったんです。

――新しい生活に不安な人も多いと思うんですけど、新しい空間に馴染むために足立さんならどうしますか。

 思ったことをちゃんと口にすることは大事だと思っています。そうすれば繕わなくていいですし、ありのままの自分で過ごしていけると思うんです。なので私が新しいところに行くときはしっかり発言することを心掛けています。

――新年度ということで今、足立さんが追求していきたいことはありますか。

 歌の音域をもっと広げたいと思っています。 どこまで広げられるか、これからの課題でもあるんです。 それは歌う時にここまでしか音が出ない、ではなく「ここまで出せます!」と自信を持って言えるようになりたいと思っていて、追求していきたい事です。

――今後が楽しみです。最後にファンの方へメッセージをお願いします。

 いつも応援ありがとうございます。 今回の楽曲は私自身も挑戦した曲です。皆さんに寄り添う曲なのか、それとも未来を想像させる曲なのかは聴いていただいた皆さんに委ねる部分もあるのですが、みんなを肯定できる曲が出来たのでたくさん聴いてもらえたら嬉しいです。

(おわり)

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