BAND-MAID「まだ見ぬ世界へ連れて行きたい」“現点進化”で示したアティチュード
INTERVIEW

BAND-MAID

「まだ見ぬ世界へ連れて行きたい」“現点進化”で示したアティチュード


記者:村上順一

撮影:

掲載:21年01月22日

読了時間:約13分

 メイド姿のハードロックバンドBAND-MAIDが20日、メジャー4枚目のアルバム『Unseen World』をリリース。2020年はコロナ禍で予定していたツアーは中止となり、オンラインでのお給仕(ライブ)を中心に活動してきたBAND-MAIDが、原点回帰、現点進化(※造語)というコンセプトを掲げた全13曲を制作。完全生産限定盤では「原点回帰盤」と「現点進化盤」の2枚のCDに楽曲を分けて収録するという初の試みも見られ、今のBAND-MAIDの魅力を余すところなく詰め込んだアルバムに仕上がった。インタビューでは例年とは全く違った活動スタイルになってしまった2020年を振り返りながら、『Unseen World』制作背景や、5人の今に迫った。【取材=村上順一】

より愛が強くなった2020年

――みなさんそれぞれどのように2020年を過ごされていましたか。

SAIKI 2月に開催したお給仕『BAND-MAID WORLD DOMINATION TOUR 【進化】』をやるまでは、ご主人様、お嬢様たちがこうしたら喜んでくれるだろう、というところばかりを考えていたんです。でも、このコロナ禍になって皆さんが抱えている不安なこととか、悲しいことは何なのだろう、というところまで考えられるようになりました。今までよりも人の事を考え、優しくなれた1年だったなと思います。その一つとして、前はメンバーに厳しくしたら厳しくしたままだったんですけど、飴と鞭の“飴”もあげられるようになったかなと。

――それは大きな変化ですね!

小鳩ミク 最近SAIKIは「優しくならないと」とよく言ってますっぽ。MISAがすごく優しいから、そこに影響されているっぽ。

SAIKI MISAはBAND-MAIDのマイナスイオンなので。それで、私も絵文字を使ったりする様になりましたから(笑)。自分は大丈夫でも、人によって違うということがわかったんです。

――小鳩さんはどんな1年でしたか。

小鳩ミク これまでデビューしてからずっと動いていて、気づいたら1年が終わっていたという感じだったので、ゆっくり見直す時間がなかったんですっぽ。それが出来た1年でしたっぽ。成長に繋がる1年になったと思いましたっぽ。あと、メンバーとこんなに直接会わない日々はなかったので、離れてみてメンバーと一緒にいたから小鳩は元気だったんだなと思いましたっぽ。改めてBAND-MAIDは仲が良いなと思いましたし、こういう時にもプラスに話し合えるメンバーで良かったなと思いましたっぽ。

――小鳩さんが元気じゃない姿が想像出来ないんですよね。

小鳩ミク 何も喋らなくなりますっぽ…。わかりやすく不機嫌になるのでわかりやすいっぽ(笑)。もともとポジティブというよりネガティブな方だと思っていて、こんなに明るくいられるのもメンバーのおかげですっぽ。

――AKANEさんは?

AKANE これまでは国内外のツアーを駆け抜けていたので、それと並行しながら自分の時間を作っていたんですけど、2020年は自分の時間をフルで使えたので、ドラムの基礎を一から見直していました。動画を撮ってフォームをチェックしたり、一曲一曲に対しても見直す時間が出来ました。バンドとしてはファンクラブのコンテンツを盛り上げようと、普段中々見れないメンバーの姿を公開出来たのも良かったです。

――それはレアですね!

AKANE 皆さんとの距離も縮められたら良いなという思いがありました。少しでもご主人様、お嬢様に元気になってもらいたかったんです。

小鳩ミク 今まで以上に愛が増えた1年だったと思うっぽ。

――MISAさんは、2020年いかがでした。

MISA ステイホームでとにかく時間があったので、自分にも練習にも向き合うことが出来た1年でした。普段やっていなかった散歩もよくしたんですけど、それによって自分の心のお掃除、整頓が出来たなと思っていて(笑)。

――今までは外に出なかったタイプで。

MISA 外に出る時は飲みに行くとか目的がないと外出しなかったんです。ずっとお家にいたのでちょっと外の空気を吸いたくなって。あと、今年の変化としては全員なんですけど、自宅の機材が充実しました。机や椅子から全部新しくして。

小鳩ミク 近年はデータでやり取りすることも多くなってきて、小鳩も家で仮歌を録ったりしていたんですけど、この時期にそれぞれ機材の質を上げて、作品自体の質の向上を目指したっぽ。

MISA それは今作にも大きく影響した部分なんです。

――KANAMIさんはどんな1年でした?

KANAMI このコロナ禍で気持ちが落ち込んでしまったんですけど、こういう時だからこそご主人様、お嬢様を元気付けたい、それを曲にしたいと思いました。なので曲作りを中心とした1年になりました。メンバー1人ひとりにどんな曲をやりたいか、出来た曲に関してもどうしたらいいのか、など細かく詰めることが出来たんです。

まだ見ぬ世界へご主人様、お嬢様を連れて行きたい

『Unseen World』ジャケ写

――メジャー4枚目となる『Unseen World』ですが、まずジャケ写のインパクトがすごいですね。

小鳩ミク これ、全部メンバーの手なんですっぽ。

SAIKI まず『Unseen World』というタイトルを決めて、まだ見ぬ世界へご主人様、お嬢様たちを連れて行きたいという想いと、自分たちもそこを求めている、というのをデザイナーさんとお話ししてこのジャケ写になりました。みんなを引っ張っていく、連れて行くとなると手が良いんじゃないかなって。

小鳩ミク 色々アイデアは出たんですけど、これが一番、追い求めている感じが出ているなと思ったっぽ。

SAIKI よく見ると付け爪の形が違うんです。ブックレットの中には私たちが掲げる世界征服に向けてのメッセージが入っていたりするので、めちゃくちゃ凝ったので是非見てもらいたいです。

――アートワークも含めた上での作品ですからね。さて、今作は現点進化という言葉からもわかるように、今のBAND-MAIDが感じられますが、最初からこのコンセプトはあったんですか。

小鳩ミク ある程度曲が出揃ってどう纏めようかと話し合ったときに、新旧が折り混ざったように感じたっぽ。それで、昔の雰囲気を感じさせる曲を今の私たちがブラッシュアップさせた曲と、挑戦したことがない曲、両方やろうということになっていったっぽ。そこでコンセプトが生まれて、それに対して足りない曲を埋めていくような流れでしたっぽ。

――みなさんそれぞれ新しい試みの入った楽曲は?

MISA 私は5曲目の「I still seek revenge.」です。BAND-MAIDの曲でワンポイントでスラップを入れることはあったんですけど、ここまでスラップが推された曲はなかったので。それで、挑戦してみようとスラップが上手い人の動画を観たり、勉強しながら挑戦しました。研究した成果がこの曲に詰まっています。

――新しい楽器は導入されました?

MISA 今までプレジションベースはレコーディングで使ったことがなかったんですけど、今回初めて使用してみました。今回のアルバムは半分くらいプレベを使いました。

――低音の感じが今作は違って聴こえたのはそれもあるかもしれないですね。AKANEさんはいかがですか。

AKANE 「BLACK HOLE」です。この曲はBAND-MAID史上最速の曲なんです。テンポで表すと220なんですけど、これまでは215が一番速かったので、更新しました(笑)。「BLACK HOLE」は基本のビートが2ビートなのでこれは挑戦でした。

――Aセクションのリズムパターンもものすごく難解ですよね。

AKANE そうなんです。KANAMIから送ってもらったデモの打ち込みは、もっとすごいパターンだったんですけど、それをどこまで再現しようか悩みました。とりあえずお給仕のことは考えずにKANAMIがやりたい雰囲気を再現しようと思って。人間が叩けるフレーズに落とし込んで行ったんですけど、難しかったです。

――あと「CHEMICAL REACTION」でカウベルが入っているのが珍しいなと思いました。

AKANE デモでもらった時からこの音は入っていたんですけど、ライドシンバルのカップで代用出来るかなと思って、KANAMIに相談したら、「ここはカウベルでやって欲しい」とリクエストをもらったので、カウベルになりました。自分の中で80年代のイメージで叩きました。

 あと、今までリズムの縦の線をかっちり揃えることに重きを置いていたんですけど「Why Why Why」では少し崩す、セッション的な感じに挑戦しました。お給仕でもドラムの自由度を再現出来たらと思っています。

――小鳩さんはいかがですか。

小鳩ミク 「サヨナキドリ」の最後はすごくキーが高くて、小鳩は出ないんじゃないかと思えるくらい挑戦でしたっぽ。あと、今までは割とおまかせだったんですけど、曲調も小鳩から参考曲をいくつかKANAMIに送って作ってもらったのも新しいことですっぽ。楽曲の構成も最初は最後にサビが来て普通に終わっていたんですけど、もうちょっと盛り上げて終わりたいと話したら、これが来て(笑)。不安はあったんですけど、自分を超えたいと思ってチャレンジしたっぽ。

――作詞に関してはいかがですか。

小鳩ミク 現点進化盤の方は展開が多くてストーリー性がある曲が多かったので、お話みたいに歌詞を書きたいなと思い、特に「Giovanni」や「NO GOD」はストーリー性が強い歌詞になったっぽ。テーマも 大きく持ちたいなと思ったので「 BLACK HOLE」 はそのまんまなんですけど、こういったスケール感の大きな歌詞は時間がなかったら書けなかったと思いますっぽ。

――「Giovanni」や「H-G-K」のモチーフは?

小鳩ミク  宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をイメージして書いたので、このタイトルになりましたっぽ。イントロの雰囲気が列車が空に登っていくようなイメージが湧いて、今までBAND-MAIDでは人名の楽曲タイトルはなかったので面白いかなと思いましたっぽ。「H-G-K」 は激しくて爆発するようなイメージがこの曲にはあったので、爆弾がいいなあと思って色々と調べていたら、H-G-Kという名前の爆弾があったんですっぽ。それがこの曲にぴったりだなと思ったので付けましたっぽ。

――「サヨナキドリ」はどこから出てきたタイトルなんですか。

小鳩ミク 小鳩が歌う曲で恋愛の曲が最近無かったなと思って、恋愛の曲にしたくてロミオとジュリエット読んでみたんですっぽ。歌詞に出てくるセリフの部分はロミオとジュリエットの台詞で、お話の中でナイチンゲールという鳥が出てくるんですけど、 それを日本語にするとサヨナキドリと言うみたいでそれをタイトルにしたんですっぽ。

――今回は小説からのインスパイアも多かったんですね。さて、SAIKIさんはいかがですか。

SAIKI 今までは全力で100%で出し切る、張っている声の格好よさでレコーディングしていることが多かったんですけど、今は抑えて耐えているような声で歌うということができるようになったので、「Manners」でやってみました。あと、元々私はブラックミュージックとかが好きなんですけど「Giovanni」のDメロでは、ラッパーみたいな感じをイメージしながら重たく歌うというのをやってみたり、「NO GOD」の跳ねたリズムは苦手なんですけどAKANEに相談してコツみたいなものを教えてもらって挑戦しました。今回機材を揃えたことで自宅で確認しながら練習できたのが良かったかなと。

――小鳩さんが書いた歌詞に関してはどう思いましたか?

SAIKI 歌詞に関しては自分がこう思うからこう歌うというのは元々やらないタイプなので、無感情ではないんですけど割とフラットに捉えているんです。でも言葉の響きは重要視して歌っています。内容に関しては基本何も言わないんですけど、歌いやすさだったり聴きやすさだったりというところでは、小鳩にリクエストを出して歌詞を変えてもらったりというのはありました。

グラミー賞の楽曲を分析して作った「Manners」

――KANAMIさんは今回どんなチャレンジが?

KANAMI 「Manners」は原点回帰と現点進化を繋ぐ1曲になったと思っています。今まではリフだったり、バンドオケを重視していたんですけど、新しい私たちを見せたいというのもあって、ブラスを入れてみたり、サンプリング音にエフェクトをかけてみたり、そういった要素を交えた曲が出来たのは新しいことでした。

――サビで聴けるコーラスの雰囲気も新鮮でした。

KANAMI この曲は洋楽チックにしたいなっていうところがあったんです。実は、今回グラミー賞に選ばれた楽曲を全部自分なりに分析したんです。どういった音色でどんなサンプリングを使ってるのか調べました。

小鳩ミク 分析するの好きっぽね。

KANAMI 楽曲を作る上で分析をしていかないと新しいものは作れないので、ステイホーム期間で新しいものを吸収しようとやっていたことなんです。 その中で気付いたのは結構まるまるサンプリングの音を使っているんだなということと、その音に対してエフェクトをかけるとこうなるんだ、という気づきはありました。なので「Manners」もそうなんですけど、他の曲でも参考にした部分はあります。 そういったチャレンジもあった中で、ある意味失敗したものもあったんですけど...。

――失敗ですか?

KANAMI 「H-G-K」は過去にリリースした「Choose me」のようにして欲しいというオーダーがあったんですけど、ちょっとそういう感じにはならなくて。一応チャレンジはしたんですけど 「Choose me」を作った時とはやっぱり違うみたいで、そういう風にはならなかったんです。それで今度は「After Life 」で挑戦してみたんですけど、「Choose me」や「alone」のようにはならなくて。その時にしか曲って作れないんだなというのが分かりました。

――寄せすぎても駄目ですもんね。リード曲の「After Life 」は 未来のことを歌っているんですよね。

小鳩ミク 来世という意味で、これから先のこと、生まれ変わるという新しいイメージの曲になっていますっぽ。 サブリード曲として「Manners」もあるんですけど、アルバムの一番最後に出来た曲で、ここまで作ってきた楽曲との架け橋になるような曲があったらいいなと思って作ったっぽ。 すごく大事な曲になったので歌詞の中にもアルバムタイトルであるUnseen Worldという言葉も入れたり、テーマもBAND-MAIDのことを書いたので、このアルバムになくてはならない大切な楽曲になりましたっぽ。

――「Manners」というタイトルに込めた想いは?

小鳩ミク メイドさんの中の決め事、大事にすること、という意味の言葉にしたかったんですっぽ。最初はRULEにしようと思ったんですが、SAIKIに相談したらちょっとそれは規則みたいで固いよね、と言われて。

SAIKI RULEだとどこか押し付けがましい感じもしたし、RULEという字面もあまり好きになれなくて。 長いタイトルもいいかなあとか考えたんですけど、それは「I still seek revenge. 」になって。

小鳩ミク 最初はrevengeだけだったんですっぽ。

――今回、完全生産限定盤の方をは2枚組で、通常盤と初回盤は1枚にまとめられていて、それぞれ曲順が違うんですけど、これは考えるの大変だったんじゃないですか。

SAIKI マネージャーも交えて、私と小鳩の3人で考えたんですけど大変でした。 収録されている曲は一緒ですけど、それぞれ違うものとして感じて欲しいなと思って。1枚にまとめた方はどの曲が1曲目に来てもいいなと思っていますし、どの曲が最後にきても大丈夫という感じはあります。私たちはこれが聴きやすいんじゃない? というものを提示した感じなんです。なので皆さんもガンガン自分たちなりのプレイリストを作って頂いてもいいかなと思ったり。

小鳩ミク 今までは映画のようにストーリー性を持たせた作り方をしていたものもあったので、流れで聴いてもらいたい、というのもあったんですけど、今回はそれとは違う感じかなと思っていますっぽ。

――あと、以前もあったと思うんですけど、Instrumental Videoが完全生産限定盤と初回盤の方に付属していますが、これ面白い試みですよね。

小鳩ミク 前回とても好評を頂いて、マルチアングルで収録したことで「プレイが分かりやすかった」と言って頂けたんですっぽ。それで今回もやらせて頂いて、 新曲を中心に撮影したっぽ。

AKANE ギターのここが見たいとか、 ドラムのここが見たいとか声が多かったんです。 ドラムは普段撮られないような真上からのアングルもあるので、それも緊張しました。

KANAMI 本当にこのDVDの撮影はすごく緊張しました。曲の頭からつるっと最後まで撮らないといけなかったので、一音も間違えられないという状況で...。

小鳩ミク 小鳩が弾く時はKANAMI先生がモニターの前に座って、小鳩が間違えるとスッと手が上がって(笑)。

MISA もうみんな真剣な表情で笑顔とか全然なかったですから(笑)。

SAIKI みんな、職人の顔だったよね。

――その緊張感も含めて楽しんで欲しいですよね。最後に2021年の意気込みを聞かせてください。

小鳩ミク  2020年はできないことも沢山あって、モヤモヤしたものが自分達の中でも溜まったりしてましたっぽ。オンラインお給仕をやることによって、早くご主人様やお嬢様の前でお給仕をやりたい、という思いがどんどん積もっていきましたっぽ。 2021年はそのエネルギーを放出させて、新たな挑戦の1年にしたいなと思っていますっぽ。

(おわり)

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