INTERVIEW

小野莉奈

『青天を衝け』歌子は「真っ直ぐな明るい女性」渋沢家の象徴的な存在


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:21年12月02日

読了時間:約7分

 小野莉奈(21)がNHKの大河ドラマ『青天を衝け』に、渋沢栄一(吉沢亮)とその妻・千代(橋本愛)の長女で、のちに歌人としても活動する渋沢歌子を演じる。小学校6年の時に遊戯会で『ライオン・キング』のシンバ役を演じ芝居に目覚めた小野。ドラマ『中学聖日記』(TBS系)では有村架純演じる主人公の恋敵役を好演。更に、主演作『アルプススタンドのはしの方』がTAMA映画賞特別賞を受賞。今年は『POP!』でも主演を務めるなど破竹の勢いを見せる。そんな彼女はどういう人物なのか。活き活きとした芝居の源は「楽しさ」と語る彼女の女優としての考えに触れながら、初出演となった大河ドラマの撮影を聞く。【取材・撮影=木村武雄】

楽しさは原動力

――出演が決まった当時の心境は?

 大河ドラマにはいつか出演させて頂きたいと思っていましたが、まさか今の段階でそれが叶うとは想像もしていませんでした。正直、びっくりしましたが、不安もありつつ楽しみという気持ちでした。

――女優デビュー4年目。ものすごいスピードで駆け抜けているような。

 私としては、わりとゆっくり進んでいる気もしています。頂いたお仕事を自分なりに色々と考えながら、一つ一つ大切に向き合っていて、作品ごとに異なる学びもあり掴んでいっている印象です。急にこの作品への出演が決まったということではなくて、今まで向き合ってきた仕事が線として繋がって今があると思っています。

――地に足がついていますね。

 でも悩むこともありますし、地に足がついてないこともあります。

――大切にされている自分の核、軸みたいなものは?

 性格の根は昔から変わっていないです。自分で何かを決めることや、何かをすることへの選択や決断は、小さい頃から自分でしてきました。ですので、決断するときは自分なりの理論や理由をちゃんと考えてから進んでいきます。人に決めてもらった結果、それが思っていたのと違っていたとなるとすごく後悔もします。自分が決めてきた事なら納得もできます。女優を始めた事、そして今もずっと続けている事、悩んだり迷ったりしても、自分が決めた事だから揺るがないような気がします。

――決断する時の基準や傾向は?

 感覚みたいなところはあります。何かをして違和感をもったらやめますし、そうした直観、感覚や、自分が生きてきたなかで培った理論みたいなものの要素がその基準になっていると思います。私ってたぶん、曲がったことが嫌いで、気持ちに対して素直に動いていくタイプなのかもしれないです。一つの物事に対して、楽しいという気持ちを大事にしていて、例えばこれをやったらすごく良い物がもらえるとか、たくさんお金がもらえると言われても、それが楽しくなかったらしんどいと思ってしまうというか。何かも貰えなかったとしても自分が楽しみたいからやる、そういうところにやりがいを感じていると思います。過去には逃げたいと思ったこともありましたが、そうしたしんどいと思うなかにも楽しさがあったからやってこられていたんだと思います。

――あるスポーツ選手は「楽しさは全体の2割」とも話しています。

 私の場合は楽しむように工夫をしています。しんどいと思いながらやるとあまり良い表現ができなくなりますし、楽しいと思っている時は活き活きとしています。ですので、自分が楽しい要素を見つける工夫をすることも大切な要素だと思います。

小野莉奈

楽しさは『青天を衝け』の現場にも

――『青天を衝け』では渋沢栄一と千代の長女、歌子役です。

 渋沢栄一さんのDNAを受け継いで、元気はつらつとした性格で、千代さんに小さい頃から厳しく育てられてきた女性です。色んな愛情の中で育てられて、渋沢家で生きてきた子供という感じがします。だからこそ物語全体として、渋沢家がどういう家庭だったのかというキーパーソンになるといいますか、象徴的な子である気がして責任感が生まれました。資料館に足を運んで、どういう所に住んでいたのかを体で感じました。歌子さんの歌も読み、そこにはお父さんやお母さんの事が細かく書いてあって、それが台本にも反映されていたので、すごくヒントになりました。そういう所から渋沢歌子さんという人物像を探っていきました。

――歌子の役を掴めたと思えた瞬間はありますか。

 毎回現場で発見する事もあります。歌子の根本は、気持ちが明るく素直。邪悪な心を持っていない真っ直ぐな明るい女性なので可愛らしさは大事にしています。

――自分が持っているものを素直に出しているような?

 歌子は本当に純粋でいい意味で何も知らない女性という感じがします。自分の子供の頃を思い出したりして、歌子の気持ちに反映させているかもしれないです。歌子を通じて物事をポジティブに捉える力は貰ったような気がします。

――実在する人物、歴史が反映させたものを演じるというプレッシャーは?

 最初は重要な役に選んで頂いたので、責任感や緊張感はありました。でも、だんだんそういう気持ちは必要ないなと思うようになりました。というのも歌子を演じる上で緊張感は違うと言いますか、緊張する子ではなくて何でも楽しむ子。ですので、私が持っているリアルな感情と役がちょっと違う気がして。緊張感も歌子みたいに楽しんじゃおうって演じていくなかで気付き切り替えました。

小野莉奈

本当の父と母のよう

――撮影現場はどうですか。

 ほどよい緊張感もありつつ、共演者の皆さんやスタッフがそれぞれ情熱をもって動いている環境ですので、自分も役者として力になりたいと感じました。それが自分の原動力になっていて、一緒に作品を作っているんだという感覚がすごく楽しいです。

――吉沢さんや橋本さんとはいかがですか。

 休憩の合間はケラケラ笑っています。千代さんや喜作(高良健吾)さんも含めて家族で話しています。芝居に入る時は集中しますが、休憩の合間は和やかで楽しいです。切り替えも出来て恵まれた現場です。

――吉沢さんの印象は?

 最初はクールな印象でした。セリフもたくさんあるので役に集中しているのかな、話しかけない方がいいのかなと思っていましたが、撮影が進むにつれ会話も増え面白い方だなって。

――その距離感が渋沢栄一と歌子の関係性を作るのに良かったのかもしれないですね。栄一はパリに長く居て離れていましたし、帰国後も動乱のなかにありましたから。

 歌子はお父さんを尊敬していますが、日本を動かす人物として、お父さんだけど遠い存在というような感覚もあると思います。近いはずなのに緊張する関係性に近い気がします。

――橋本さんはいかがですか。

 橋本さんとは、好きなお菓子の話をして、最終日にはすごく仲良くなりました。好きなお菓子をわざわざ買って来て下さって。ふざけてケラケラ笑って楽しくて本当に優しくてお母さんみたいでした。クランクアップされたのが寂しかったくらいです。もっとたくさんお話ししたかったです。

小野莉奈

活き活きとした芝居、その根幹

――さて過去にどういう女優になりたいかという質問に「迷っている人の光になれたら」と回答していましが、歌子を自分自身に重ねた部分はありますか?

 歌子は楽しかった出来事を、自分の頭の中で風船のように膨らませる想像力豊かな女性で、活き活きとした言葉がパッと出てくるといいますか、言葉に想像力や感情を乗せて言う所がちょっと自分と似ていると思います。自分も今まであった経験や楽しい事を想像して動いたり言葉を発したりするので、言葉を膨らませて人に話す所が似ている所だと思います。

――先ほど小野さんが「楽しくないと演じても活き活きしていない」と話されていましたが、そこと重なりますか?

 重なると思います。だからこそ私は楽しい事をやりたいという欲が強いのかもしれないです。新しい物に触れたいとか、そういうものにワクワクしますので。たとえ過程はしんどかったとしても、作品を観て楽しい気持ちになったら、未来の楽しい事を考えながら出来るような気がしますし。常に自分が良いと思うものを追求していきたいです。

――「活き活き」の根幹となる「楽しさ」を追い求める?

 それは生涯追っていきたいです。満足しないで、自分の人生を豊かにしていきたいですし、そうだといいなと思います。満足することが一番怖い事だと思いますので、満足せずに生きていきたいです。それと、演じ切れたとか、やり切れたと思う事はありますが、その気持ちをその後も背負い続けないようにしています。きっとそれがやがて自己満足になってしまうのではないかと思いますし。ですので、その日で終わらせます。

――今の段階でこの作品に携わった事によって、撮影が終わった先に何か見えるものはありますか。

 出演をきっかけに、結果として、たくさんお仕事が出来るようになればいいなと思います。現実的に仕事がたくさんしたいですので。仕事に追われる毎日が送れたらいいなと思います。

小野莉奈

(おわり)

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