INTERVIEW

志田彩良

コンプレックスが強みに。『かそけきサンカヨウ』で主演


記者:鴇田 崇

写真:鴇田 崇

掲載:21年10月27日

読了時間:約5分

 ドラマ「ドラゴン桜」での好演も記憶に新しい志田彩良が、人気作家・窪美澄が2014年に発表した短編集の中の一篇を映画化した『かそけきサンカヨウ』に出演した。『愛がなんだ』(19)などの恋愛映画の旗手・今泉力哉監督の最新作で、幼い頃に母と別れ、早くに大人にならざるを得なかった少女・陽(志田)の成長を、父や新しい家族との間に生まれる確執と交流、そして同級生・陸との“淡い恋愛感情”を交え描く。今泉監督とは3度目のタッグとなった志田は、作品をどう受け止め、役柄を演じたのか。本人に話を聞いた。【取材・撮影=鴇田崇】

父役・井浦新に救われた言葉

――演じられた国木田陽という女性は、複雑な内面を抱くキャラクターでしたが、どう受け止めて演じていたのですか?

 どうすれば陽らしさ、陽のキャラクターを私らしく表現できるかと考えた時に、いつもは脚本をいただく時に役柄の深いところまで考えるのですが、今回の陽のキャラクターは、あえて深く考えないほうが繊細さを表現できるのではないかなと思いました。父との関係性は事前に考えていたのですが、あとは現場で私が感じたままを言葉にしようと思って演じていました。

――父親役は井浦新さんでしたが、井浦さんと親子の関係で共演されていかがでしたか?

 井浦さんが出演している作品を拝見するたびに、本当に素敵な俳優さんだなと思っていました。尊敬する俳優さんのおひとりであり、いつかご一緒したいと思っていたので、今作で共演させていただき本当に嬉しかったです。陽の父親としても助けていただいたところがたくさんあるのですが、先輩としても現場で声をかけてくださったり、本当に感謝しています。

――どういう会話をしたか覚えていますか?

 カメラが回っていない時は、たわいもない話をよくしていました。また、撮影の前半で家族のシーンを撮り、後半で友人たちとのシーンを撮ったのですが、前半最後の家族のシーンを撮り終えた時、井浦さんが「ここまでで陽の芯の部分はしっかり伝わったと思うから、明日からの友人たちとのシーンは学生時代を思い出して純粋に楽しんできてね」とアドバイスを頂き、その言葉に本当に救われました。

――素敵な一言ですね。まるですべてを見透かしているかのようで。

 それまでは明日からの友人たちの中にいる陽をどうやって演じたらいいのか、撮影現場でどうしようと悩んでいたので、井浦さんのその言葉のおかげで肩の力が抜けて、後半は陽らしく楽しむことができました。井浦さんの優しいお言葉に、ものすごく救われました。

――そして母親役は石田ひかりさんでしたね。

 石田ひかりさんとは今作の現場で、初めてお会いしたのですが、ずっと母親のような存在でいてくださってとても温かく声をかけていただきました。初対面とは思えない感覚があり、石田さんしかお持ちでない空気感にとても助けていただいたと思います。

志田彩良

私らしさ

――最初の話に戻りますが、役柄については普段は熟考するタイプなのですか?

 お仕事以外のことについては全く悩まない性格なので、寝てしまえば全部忘れるのですが(笑)、お芝居のことについては常に悩んでしまって、緊張すると夜も眠れなくなるタイプです。特にクランクイン前日の夜は色んなことを考えてしまい、一睡もできずに現場に向かうことがよくあります。

 プライベートのことなら忘れられるのに、お芝居のことだとどうしてここまで悩んでしまうのだろうと思いますが、だからこそ本当にこのお仕事が好きなんだなと感じます。

――好きだからこそ悩みも出てくるわけですね。

 はい。当たり前のことですが、作品への責任がありますし、その作品に関わらせていただく限りは、いいものにしたいですし、自分のちょっとした行動でいいようにも悪いようにも変わっていくと思うので、責任感は自然と出てきます。

――自分なりの陽らしさの追求と言われていましたが、同世代の俳優がたくさんいるなか、自分らしさみたいなことを考えることは?

 あります。わたしがお芝居を始めた頃、自分の印象的に残らない顔がコンプレックスだったのですが、色んな現場を経験していくなかで、メイクさんに「メイクで印象が変わるね」「髪型や衣装で雰囲気が変わるね」と仰ってことが多くなりました。そういった言葉を頂いてから、自分の印象のなさ、コンプレックスそのものが武器になると気づいて、髪型も役によってどうするのか考えるようになりました。内面ではなく、外見も役に合わせて変えていければいいと思えるようになりました。

――なるほど、受け止め方一つでコンプレックスにもなり武器にもなるのですね。

 特にモデルをやらせていただいた時は、オーディションで自分よりもきれいな方々にお会いして圧倒されていました。そういった時にまわりの方々と比べてインパクトがないなど、悩みは多かったのですが、お芝居をやらせていただくことになって、メイクで色んな顔を魅せることができるということは私だけの強みだなと思うようになりました。

――衣装が役作りのすべて、とおっしゃる方もいるので、内面と外見の両輪でいけばいいわけですよね。

 仰るとおりです。髪型同様に、衣装が少し違っただけで気持ちも変わりますし、役の雰囲気も衣装からこういう雰囲気なのかと感じ取ったりするので、とても重要だと思います。

志田彩良

音楽の接点

――ところで音楽は聴かれますか。仕事に行く時いつも聴いている曲などはありますか?

 音楽がとても好きで移動中も常に聴いていますし、家にいる時にも音楽を聴いていることが多いです。特定の曲をいつも聴いているのではなくて、毎回シャッフルで色んな曲を流して聴くことが多いです。

――どういうジャンルが好みですか?

 日本のロックが好きです。特に、マカロニえんぴつさん、TETORAさんなどよく聴きます。最近は奥田民生さんにハマッています。キッカケは、阪神淡路大震災の復興ライブで「愛のために」を歌われている動画を観て、とてもかっこよかったです。今でもよく観ています。

――最後になりますが、今後の目標を教えてください。

 まずは役者ではなく人として、あいさつや、礼儀、当たり前のことですが、謙虚の気持ちを絶対に忘れない人でありたいです。そういうところを大切にしていける人になりたいと思っています。

(おわり)

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鴇田 崇

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