INTERVIEW

川島海荷

「好きだからこそ」私の原動力
舞台『ブライトン・ビーチ回顧録』で新しい自分に期待


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:21年09月21日

読了時間:約5分

 川島海荷が、東京芸術劇場プレイハウスで上演の舞台『ブライトン・ビーチ回顧録』に出演している。軍靴の音が聞こえ始めた1937年の米ニューヨークが舞台。思春期を迎えたユダヤ人の少年ユージンとその家族、そして母同士が姉妹のそこに居候する親類家族の姿を描く。川島は、居候する家族の長女でブロードウェイを夢見るノーラを演じる。「家族」、そして「自分らしさ」を問いかける本作で、川島は何を思い臨むのか。※取材は稽古期間中に実施。【取材・撮影=木村武雄】

毎日が楽しい

――出演が決まった当時の心境は?

 嬉しいと思うと同時に、自分の中ではあまりやったことがないテイストの舞台でしたので、少し緊張もありました。ただこの作品で新しい自分を出せたり、殻を破れたらいいなという期待もあります。

――稽古はどうですか?

 毎日楽しいです! 毎日発見があって、且つ現場の雰囲気も和やかで、合間には笑い合ったり、皆さんとコミュニケーションを取りながら絆を作り上げていて、徐々に距離が近くなり、家族の温かい雰囲気は出てきていると思います。

――ノーラはどういうキャラクターですか。

 一言でパワフルです。勢いがあり活発で力強く見えるところもありますが、その中に孤独や寂しさもあり、それが、話が進んでいくなかで垣間見えるところもあります。

――共通点?

 長女という点です。「自分が頑張らないと」「支えないと」というところは似ていますが、ノーラはお父さんが早くに亡くなっていますので「私が家族を支えないといけない」と言う強い思いを持っています。

――ノーラはブロードウェイの夢を叶えたい一心ですが、ご自身と重ねて?

 16歳でノーラのような勢いはなかったと思います(笑)。ノーラは、自分が家計を支えるべく、ブロードウェイに行って「稼ぐぞ!」という強い思いがありますが、私は比較的のんびりと過ごしているので、ノーラは逞しいというか子供っぽくないなと。目的がちゃんとしていて、且つ成し遂げないといけないという状況にあるのでその責任感は強いと思います。

――幕が上がって楽しみにしていることは?

 稽古場はもちろんお客さんがいないので、幕が上がってどういうところで笑って頂けるだろうかというのは楽しみです。クスっと笑えるような所もありますし、どういう部分で面白いと思ってくれるのかその反応が楽しみです。

――“私的”見どころは?

 会話劇ですので、スピード感やテンポ感は楽しんでいただきたいと思います。家族の会話って何も気にせずしゃべっているからこそ、会話の移り変わりが早くどんどん進んでいきます。そのリアルさが出ていると思いますし、そのリズムに乗って楽しんでいただけたらと思います。

――セリフ量が多いですね。

 多いんです(笑)。日々追われています。でも終盤になってきているのでこれからはブラシュアップしていく時期ですが、ただ私はまだまだ序の口の方でほかの皆さんの方がたくさんがあります。それを考える間もなくずっとしゃべっていくので、そのスピード感はびっくりすると思いますし、観られる方は楽しんでいただけると思います!

――集中しないと、ですね。

 そうです。もう気を抜く間もありません。ずっと有酸素運動しているような感じです(笑)。

川島海荷

好きだからこそ

――この作品では「自分らしさ」も描いていますが、川島さんの「自分らしさ」とは。

 負けず嫌いなところは昔から変わっていないと思います。いまは落ち着いてきていますが、若い頃は「こうだ!」と決めたことは曲げない性格でした。たまにぶつかるときもありますが、それがあるからこそ今でもこのお仕事を続けていられるのかなと思いますし、どんどん好奇心や挑戦心が生まれてきているので、それが自分らしさなのかなと思います。

――ノーラは若い時に父が亡くなっていますが、叔父のジャックをはじめ色んな方が支えています。川島さんにとっての「家族」とは?

 何があっても味方でいてくれる存在だと思っています。小さい時とか嘘ついたときもちゃんと向き合って叱ってくれるし、且つ周りが敵になったとしても絶対に味方になってくれるので、支えられています。この仕事は若い時からやらせて頂いているので、忙しい時とか親に当たってしまうこともありましたが、ずっと受け止めて私の味方でいてくれました。「辞めたいんだったら辞めていいし、自分で決めなさい」と言われてきましたし、私がやりたいことを尊重してくれて、だからこそ「私がやりたいことってなんだろう」と自問自答し「こういうことをやりたい」「こういう事を目指したい」というのが明確になっていきました。

――やりたいことをしっかり考えているからこそ、地に足をつけてしっかり前に進めるんですね。

 基本的に自分がやりたくてやってきたことなので、誰のせいにもできないというか、成功しても失敗しても誰のせいにもできません。なので、私自身の自立心を促してくれたのかなと思います。

――ノーラはブロードウェイという夢と家族を支えたいという思いが原動力にもなっていますが、川島さんご自身の原動力は?

 好きだからというのが一番強いです。この仕事を始めたのも、私自身がドラマや映画を見ることが好きで、私もその世界に入れる、人に何かを与えることができる存在になれるチャンスがあるんだったら「やってみたい!」という憧れがあったから。その好きという気持ちはずっと変わらないです。もちろん「出るのも好き」というのがあるのかもしれませんが、どちらかというと観ていたり、観たことで何かを得る、作品から影響を受けて人生に彩りをもらうことがあって。特にコロナ禍で、家で映画やドラマを見る機会が増え、舞台を生で見ることの素晴らしさを改めて実感して。ですので、私の人生に欠かせないものだと思います。

――では出演する作品はすべてが特別なものなのですね。

 そうです。一つの作品に携われること自体が幸せです。今回も見て下さった方がいろいろな反応をして下さると思いますが、その方の人生のなかでちょっとした良い影響を与えることができたらそれだけでやっていて良かったと思えます。

川島海荷

(おわり)

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