INTERVIEW

西川貴教

力を注いできた分、楽しい人生に。
舞台『天才てれびくん the STAGE』出演


記者:原哲

写真:金澤正平

掲載:21年06月14日

読了時間:約8分

 西川貴教が、舞台「天才てれびくん the STAGE ~バック・トゥ・ザ・ジャングル~」に出演し、1年半ぶりにマーヴェラス西川を演じる。

 6月21日(月)から26日(土)まで東京・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホールで、7月10日(土)、11日(日)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで上演される同舞台は、長年愛され続けているNHKの子ども番組「天才てれびくん」の舞台化第2弾。てれび戦士たちが時空をまたぎ、大昔のジャングルを舞台に大切なものを守る戦いに挑む。

 かつて“てれび戦士”として同番組に出演した矢部昌暉(DISH//)をはじめ、長江崚行、伊倉愛美、千葉一磨が集結。ほか、伊藤理々杏(乃木坂46)、健人、加藤 将、伊藤裕一、「天才てれびくん」に現在もレギュラー出演中のチャンカワイ(Wエンジン)も出演。

 そして、2019年度まで同番組に出演していた西川は、今回も茶の間戦士トレーニングロボ「マーヴェラス西川」として映像で登場し、客席の気持ちを一つにするため「ペンライト」の色で歌詞の続きを答えるスペシャルトレーニングを行う。

 ミュージシャンとしてだけではなく、俳優やラジオパーソナリティー、さらにはバラエティー番組のMC、実業家としても活躍し、5月にはソロ活動25周年を迎えた西川。卓越した歌唱力とエンターテインメント性でファンに笑顔を与え続ける西川を直撃し、久しぶりにマーヴェラス西川に扮した心境や子ども番組出演への思い、コロナ禍でのエンターテインメントについて話を聞いた。【取材=原哲】

新しい出会いを求め

――1年半ぶりのマーヴェラス西川はいかがでしたか?

 衣装は4年以上前に作ったんですかね。入るか本当に心配だったんですけど、だましだまし体に合うように衣装を調整して、ギリギリなんとか入りました。ウエストなんかは以前より絞れているんですが、肩や胸は筋肉が付いちゃっているので。

 「天才てれびくん」を視聴なさっているお子さんをお持ちのお父さんやお母さんから、いまだに声を掛けていただくことが多いんです。なので、あまり時間がたった気はしなかったですね。「天才てれびくんhello,」も放送中ですけど、僕がやらせていただいていたマーヴェラス西川というキャラクターも含めて、いまだに応援してくれる方がいらっしゃるのでうれしいです。

――当時、「天才てれびくん」出演は驚きました。

 「天才てれびくんYOU」という番組は、普段応援してくれている方々とは違った世代の方が見ている番組なので、最初は「どうなの?」「やらなくてもいいんじゃないの?」って意見はあったと思うんです。ですけど、自分がやることで一人でも多く元気になってくれる方が増えたらいいなというのはありました。

 見ていただいた通りなので「それをあえて今やる必要ある?」って、否定的というよりは「こんなに忙しいのにやる必要ある?」という声でした。僕的にはそこでまた新しい出会いがあればいいなと思ってやっていましたし、実際に現場はすごく和気あいあいとしていて楽しかったです。

成長も楽しみ

――子役の皆さんとの共演はいかがでしたか?

 ドラマで共演した小さなお子さんが、その後成長してまた別の現場で一緒になることって結構あるんですよ。そういうのがやっぱりうれしいんです。それこそ、「天才てれびくんYOU」で一緒になったメンバーがどんな活躍をしてくれるのか楽しみですよね。NHKの連続テレビ小説「スカーレット」(2019年~2020年)でご一緒した横溝菜帆さんは、最初に会った頃は本当に小さくて。それが1、2年ぐらいでグッと成長して子役で頑張っていたりするので。そういう楽しみもありますね。

 舞台とかでもありますよ。2、3年前ぐらいに出演した舞台で共演した子が成長して、アンサンブルで一緒になって、しっかり女優さんになって並んで舞台に立つこともあったので。今ってなかなかやりたくてもできない状況で歯がゆいんですけどね。

――今回の舞台は映像での出演ということですが。

 今回も重要なキャラクターとして登場させていただけるみたいです。ストーリーを紐解いていくきっかけとしてマーヴェラス西川が登場して。僕自身も舞台上で、ある種、復活みたいなことがあったりすると思います。実際に来てくれる客席のみんなが後押しをしてくれる形になるかなと。

 実は先程映像を撮ったばかりなんですが、今後編集してどうなっていくのか、僕も楽しみです。

――マーヴェラス西川は西川さんそっくりに作られた「AI搭載型・茶の間戦士トレーニングロボ」ということですが、演じる上で意識していることはありますか?

 人間と違って駆動域に問題があるので、そこが面白いところだとは思いますけどね。かわいいところがあるんですよ。動きすぎると頭がパカッと外れたり。その限界との戦いみたいな。

コロナ禍のエンタメ

――「天才てれびくん」以外にも子ども向け番組に出演されていますが、エンタメを伝えていくという部分で思うところはありますか?

 毎日空気が変わるじゃないですか。つい先週、先々週ぐらいまでは音楽とか映画とか舞台とか、楽しむことが不要不急だって言われている雰囲気があった気がするんですよ。でも、さすがに緊急事態宣言が延長されていく中で、みんな違和感に気付いていると思うんです。

 もちろん命に勝るものはないんですけど、皆さんが生きていくことも守らないといけない。そのことの整合性を図るのが難しい状況の中で、まだまだこの先、向き合っていかないといけないという意味では、小さなお子さんを含めて親御さんも本当に大変だと思うんですよね。子どもを遊園地に連れていけないとか、ガス抜きさせてあげるって大変だと思うので。そういった意味では、わずかでも親御さんのストレスを減らしてあげられる企画になればいいなと思っています。

 僕ら世代がちょうどお子さんをお持ちだったりするし、周りからも苦労話を聞くじゃないですか。思った以上に、お子さん向けの番組というのが「本当に助けになっているんです」って言われたりすると、励みにもなりますし。こういったことで少しずつ、明るい気持ちになってもらえたらなと思います。

西川貴教

ライブ配信の課題

――現在、滋賀県下のみをまわるライブツアー「T.M.R. LIVE REVOLUTION'21 -VOTE-」をされていて、9月には「イナズマロック フェス 2021」も予定されています。コロナ禍の中での開催はさまざまな苦労があると思います。

 ワクチンの対応もされていると思うんですけど、10代、20代の人たちにまで年内に行き届くかと言われると分からない。ただおびえるだけじゃなくて、どう向き合っていくか考えないといけない時期に差し掛かっている気がするんですよね。自分たちに何ができて、どうすればそういうものと付き合っていけるのか。

 SARSもMERSもあったし、何年か周期でこういったことが現れるわけじゃないですか。そのたびに対症療法でやりくりしていても、何年も続けられないと思うので、どういうふうに経済活動を持続させながら、自分たちの生活を守れるのか、みんなで考えていかないと。会社が守ってくれるとか、給付金があるんでしょって思っていた方たちもいると思うんですけど、それがいよいよないよと。

 そういった意味では、ちょっとした対策だと思うんですけど、ペンライトだけで意思表示ができたり、開催中のツアーでも一つ一つの公演ごとに毎回エビデンスを出して、場内のアナウンスを変えたりとかしているんです。毎回実験なので、そこで学べるものを全て次に活かして。それを続けられたら、10月、11月には何となく自分たちなりのルールや知見ができていくと思うので、それをこの先も活かしていければと思っています。

――ライブ配信するアーティストも増えてきました。

 日本は無料で見られるテレビがあったことで、衛星放送などに気持ちが向いてない部分があったじゃないですか。配信といっても、そこに課金してまで見るというリテラシーがまだ育っていないんですよ。例えばアメリカでは大手テレビ局、NBCなど3局しかない。それ以上のニュースやエンターテインメントが欲しかったら、自分たちで好きなチャンネルを買って見るというリテラシーが育っているから、Netflixとか人気があるんですよね。

 日本はお金を払わないでも、素晴らしいエンターテインメントが提供されてきていた。その弊害としてリテラシーが育たなかったんですよ。YouTubeだって基本的には無料で映像が楽しめる。そこに有名人がこぞって出てきたから、なおさらハードルが下がってしまった。お金を払ってまでライブ配信や映像作品を見ようって気持ちにならないじゃないですか。

 僕ももとより映像配信に関してはドネーションが軸にあったものには協力します。サブスクリプションなどにエンターテインメントが支えられているわけではないので。ライティングしたりコンポーズしたり、コンテンツホルダー側にお金が降りてくるまでにものすごく経由がありますし、何の助けにもなってないので。

 みんなすぐに「配信したらいいじゃないか」とか「お客さんを入れなくてもお前らの努力が足りないから儲けられていないんだ。泣き言を言うな」って言うんですけど、そんな簡単な図式じゃないですよって思います。そこを誰も説明していないでしょ。メディアも説明せずに「そうすればいいですね」って無責任に言うだけなんですよ。それがよくない。煽りすぎた結果、こうなっていることに対して誰も責任を取ってないから。

 だから、そこに対してもうそろそろ動き出すことで、みんなが前向きに、ちゃんとルールを守りながらやっていけば、みんなが思うよりも楽しめる方法が見つかるかもしれない。そういったきっかけになればいいなと思って、僕は提案させていただいています。

楽しい人生になっている

――今年はソロ活動25周年を迎えられましたが、歌手に俳優、バラエティーのMCやボディビルなど、さまざまなところで活躍されていますね。

 いただいたきっかけを基に、その場所で力を注ぐことだけをやってきたら、いろんなことをさせていただける楽しい人生になっています。これまでやらせていただいたことを軸にしながらなんですけど、社会貢献であるかどうかを判断基準というんですかね。有名になりたいとか利益を得たいとかよりも、これをすることへの意義みたいなことを考える機会が増えました。おのずとそういうことを中心にさせていただくのかなと思っています。

 だからって政治とかではなくて、僕みたいな者ができることなんて限られていると思うので、自分ができる範囲で、皆さんに喜んでいただけることを少しずつ増やしていければなと思います。

天才てれびくん the STAGE ~バック・トゥ・ザ・ジャングル~

舞台情報

「天才てれびくん the STAGE ~バック・トゥ・ザ・ジャングル~」

東京公演:6月21日(月)~26日(土)東京・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
大阪公演:7月10日(土)・11日(日)大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

出演:矢部昌暉(DISH//)、長江崚行、伊藤理々杏(乃木坂46)、健人、加藤将/伊藤裕一、伊倉愛美、千葉一磨/チャンカワイ(Wエンジン)/西川貴教<映像出演>
演出:小林顕作
脚本:川尻恵太(SUGARBOY)
公式サイト:https://www.tvkun-stage.com/

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金澤正平

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