INTERVIEW

藤田ニコル

ずっとこのまま。嘘をつきたくない。
自然体、今も昔も変わらない。
『映画ヒープリ』で本人役


記者:木村武雄

写真:

掲載:21年03月19日

読了時間:約7分

 藤田ニコルが、3月20日公開の映画『映画ヒーリングっど(ハートマーク)プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』に本人役で出演する。劇中で描かれる東京ガールズコレクションに登場する。本作では約13年前に放送された『Yes!プリキュア5GoGo!』も登場するが、当時小学4年生だった藤田はその世界に入っている自身を「夢のよう」と喜んだ。2004年の放送開始以来変わらず子供たちに夢と勇気を与え続けているプリキュア。藤田にとっていまも変わらないものとは。そして、描く夢とは。

昔も今も変わらない

 「ずっとこのままです。周りから見たら変わっているのかもしれないけど、私の中では考え方や性格は変わっていないです」

 押しも押されもせぬカリスマモデル。その始まりは2009年、当時小学6年生。もともとモデルに興味があり、母が、「ニコルの名前が似ているから」と『nicola』を買ってきたことをきっかけに、同誌のオーディションを受けた。1万4076人の中からグランプリの5人に選ばれ、専属モデルとなった。

 『nicola』卒業後は『Popteen』の専属モデルに。ティーンに圧倒的な支持を集め、この頃からテレビへの出演が増えた。2017年からは『ViVi』の専属モデルになった。

 「昔も今も変わらない」という藤田だが一つだけ変わったことがあった。

 「最初の頃は、嫌われてもいいやと思いながらテレビに出ていました。でも最近は、ちょっと嫌われるのが怖くなったと思います。年齢を重ねて勇気がなくなってきたかもしれないです。大人になったということなのかもしれないけど…。もちろん今も嫌われてもいいなって思うところはあるけど、ちょっと嫌われたくないかな」

藤田ニコル

ピュア、嘘はつかない

 活発な少女時代を過ごした。

 「わりと男の子っぽい行動というか、虫とかが好きで、女友達より男友達の方が多くて、外で元気よく遊ぶ女の子でした。勉強は…ついていけなかったですね。小2で脱落しました(笑)」

 テレビでは自由奔放に見える語り口だが、会見やイベントではカメラが撮りやすいように気遣うなど些細な心配りも見える。でも、それも意識しているわけではない。

 「常になんとかなると思いながら生活していますね。テレビに出るときもぜんぜん台本見ないし、記者会見も直前まで何を喋るか自分で理解していない(笑)。でも責任もあるから始まったらそれはそれで頑張れるので、本番任せなところはあります。考えすぎてその通りに出来ない方が萎えるじゃないですか(笑)」

 そうした考えは、育った環境によるところも大きい。

 「ほったらかしタイプの育て方をされたと思います。小学生の時は怒られたこともありませんし。ただ、一人暮らしする前までは部屋がすごく汚たなかったのでそこだけは怒られました(笑)。勉強をしろとも言われませんでしたし、門限もありません。でも悪いと思うからやっぱり時間には帰りますし。でも緩く育ちました。学校の勉強も私みたいに脱落する人はいると思うけど、出来たからといってそれが正解とは限らないと思うんです。将来何になりたいかということで変わると思うので、どう育てたいかが大事だと思います」

 包み隠さずに話す。それは子供がそのまま大きくなったようにみえ、彼女からはピュアさが滲み出ている。

 「私、めちゃめちゃピュアだと思います(笑)。嘘はつきたくないし、つかないです。その時その時の感情で動くタイプですし、嫌な事は嫌だと言うし」

 そうした自然体な姿は、ファンから好かれる要素でもある。

本人役で出演、馴染むか不安も

 本作に登場する『Yes!プリキュア5GoGo!』は、2007年から2008年に放送された。その頃の藤田はモデルデビュー前夜の小学4年生だった。当時から『プリキュア』は見ていた。

 「小さい頃に見ていたので、大人になってからプリキュアとお仕事が出来るのは感慨深いものがあります。嬉しいです」

 藤田は本人役で、渋谷のスクランブル交差点に映し出された東京ガールズコレクション(TGC)のステージに登場する。『第30回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2020 SPRING/SUMMER』で実際に自身が着ていた服や髪型を忠実に再現。出演が発表された際にはこう喜んだ。

 「昨年(2020年)のTGCに出た時の衣装も再現されて、足もめちゃくちゃ細く描いてもらって、自分もそうでありたいなって思っちゃいました(笑)。顔も特徴をとらえていて、よりかわいくなっていたので嬉しかったです」

 本人役とは言え、アフレコは緊張した。何より、プリキュアの世界になじめるかが不安だった。

 「普段よりもテンションを少し高めで声を発したぐらいでしたが、結構緊張しました。自分過ぎて大丈夫なのかなって不安もあって。それと、プリキュアの世界に私は馴染んでいるのかっていう心配もあって。公開されるまで不安ですね」

藤田ニコル

TGCは人気のバロメーター

 劇中に描かれるTGCのステージ。映画プリキュアに登場するのは初。TGCは、2005年から年に2回催されている日本を代表するファッションイベントだ。ティーンだけでなく、20代〜30代女性にも圧倒的支持を受け、日本のファッショントレンドの先駆けとなっている。

 そのTGCの常連モデルの一人でもある藤田は毎回、多くの歓声を浴びランウェイを歩いている。藤田にとってその声援は人気を計るバロメーターの役割もある。

 「ファンの方と直接会う機会が少ないので、自分がどのくらい人気があるのかは分からないんですよ。TGCはそれが確認できる場所で、それでいろいろと決めていました。まだ大丈夫だとか、前より少なくなったと感じたら、表に出るのではなく違う事しようとか。そういうことを考えることができる場です」

 ただコロナ禍で昨年、そして前回は無観客での開催となった。

 「ファンに会えないのが一番、心がやられます。仕事が忙しくもてファンの声を聞くと元気がでるし、やる気も出ます。プリキュアはめちゃくちゃバロメーターが高くて、羨ましい!」と目を輝かせる。

可愛いとは思ってもいない

 プリキュアのように、ファンにとって藤田は憧れの存在だ。SNSに投稿する度に「かわいい」という声で溢れる。しかし、本人はそうは思っていない。

 「自分の事を可愛いと思っていないですからね。自撮りした写真はちょっと可愛いと思う事はありますけど、自分の顔が好きとかはないです。むしろいじりたいと思うくらい。かわいいと言ってくれる人の声が大事です。それが自信に繋がります」

 ファンの「かわいい」は、声援と同じぐらい大切なエネルギー源だ。

 若い女性から支持されていた藤田だが最近は年配のファンも増え、年齢層は広がっている。

 「小さい子からおじ様まで増えていて嬉しいです。写真集のイベントでは幅広い層の方が来てくれたので嬉しかったです。インスタグラムは誰にフォローされているか性別年齢地域が分りますが、前は女の子しかいなかった。今は女6、男4でバランスがとれていて、変わってきたなという実感があります」

 そのSNSでは、ファンの投稿をこまめにチェックし、「いいね」を押している。

 「喜んでくれると思うんです。私がちょっと指を頑張ったことで皆の幸せが倍になるなら押さなきゃって」

 そしてこう続ける。

 「私、推しがいあると思いますよ! イベントを開いてもコスパは良い方ですし、ファンの子の名前を覚えているので。すぐに会える近い存在だと思いますよ!」

藤田ニコル

自身でブランドも

 表舞台に立つ藤田だが、最近は「裏の仕事も楽しいんじゃないか」と思っているという。その一つに自身プロデュースのブランドがある。

 2017年には、自身がプロデュースするファッションブランド「ニコロン(NiCORON)」を立ち上げ、HIBUYA109に「NiCORON」の1号店をオープンさせた。そして、コロナ禍の昨年、一区切りした。

 「より良いものを作りたいですし、年齢を重ねてきて服の系統もだんだん変わってきています。なによりリアルを伝えていきたいというのはあるので、自分のやりたかったことはとりあえず出来たのかなって思って。ただ、それをダラダラとやっても意味はないので、いいタイミング一区切りはついたと思います。悔しいと言えば悔しいですよ。109に店舗を持つのは夢だったし。寂しいけどしょうがないので、また一から頑張ろうと思います」

 コロナ禍はいろいろなものを変えた。

 「いつ何が起きるか誰も予想できないことを改めて感じて、楽しい希望を持ってもすぐに消されてしまったら辛いから、もっと楽に生きようと思って。深く考えすぎず今を生きようというテンションで仕事しています。2年後くらいを緩くフワッと考えて今生きています」

 小学6年生から始まった芸能界。コロナという未曽有の危機もあるが、今の歩みに満足している。

 「順調に進んでいます」

 そんな彼女の原動力は「ファン」の存在だ。

 彼女が輝くことが活力だというファンも多いだろう。プリキュアへの出演もその一つと言える。

 「この作品を観て夢を見つめ直す機会になったらいいなと思います。ぜひ大人にも見て欲しい。夢を持つことは大事です。小さい夢でも何でもないよりかは絶対に明るくなると思うので」

 ピュアであり続ける藤田にどこかプリキュアが重なる。ファンという仲間とともに、助け合い、そして前をしっかり見つめ歩く、ランウェイのように。

藤田ニコル

(おわり)

【取材=木村武雄】

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