ポジティブな変化、平井 大 未来に向けてのヴィンテージ感とは
INTERVIEW

ポジティブな変化、平井 大 未来に向けてのヴィンテージ感とは


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年08月02日

読了時間:約15分

自分を「シンガー」だと感じたことがなかった

平井 大(撮影=冨田味我)

――曲はどういうきっかけから作ることが多いのでしょうか?

 僕の場合は「アルバムを作る」というきっかけで作りますね。EPもそうですけど、作品として作りますということが決まってからが多いです。基本的にはまず最初にケータイのレコーディング機能を使って家でアコースティックギターと鼻歌で作ってます。一番自由度の高い状態で最初の一歩を踏み出すというのは重要で。僕の初期の曲とかは自分で打ち込みもして、けっこう完成されたものを第一段階として持っていっていたんですけど、それだとやっぱり完成されちゃっているから、それはあまり良くないなと感じていて。最初の一歩を柔軟性のある形にすることによって、その曲が一番ベストな形をレコーディングしながら模索できるから、それが凄く良いなと思っています。ここ最近はずっと、『Slow & Easy』くらいからそういう曲の作り方にしています。

――曲や音が凄く近くにある感覚があるのは、そういった作り方が反映されているのかもしれません。

 そうですね。あとは、音楽はもともと私生活と近しい部分にあるので、ミュージシャンって仕事だけど、それが仕事ではなくて生活であったりもするし。公私混同って言ったらアレですけど(笑)。やっぱり日々の生活からのインスパイアというのは僕の曲で凄く多くて。自分がピュアに感じていないこととか、自分が思っていないことを僕はステージに立って演奏することも、レコーディングすることもできないですし。

 そうやってパーソナルな部分を曲にすることによって、聴いてくださるみんなのハートも凄く開きやすくなったりすると思うんです。僕も単なる人間だし、一人の男だし、そういうパーソナルな部分というのは絶対にたくさんの人と共有できる部分だと思うので、それは凄く大事にしていきたい。偽ってプレイできないんですよね、音楽って。そこまで器用な訳でもないから。

――音楽をプレイすることは人間性が出るとよく聞きます。

 凄く出ると思いますよ。几帳面な人だったらそういうサウンドになるし、大雑把な人は大雑把なプレイになるし。面白い部分ですよね。

――ギターをプレイするときなど、どんなことを考えているのでしょうか?

 あまり何も考えていないですね。神秘的な時間でもあって、脳であまり考えていないんですよね。指が勝手に動くというか。やっぱり二度と同じソロというのは弾けないから、そこも凄く面白い部分ではあるかな。大事な時間ですよね。瞑想状態に近いというか(笑)。

――レコーディングでもギターソロはアドリブで?

 ほぼそうですね。フックだったりとかは決まったメロディで、ロジカルに考える場合もあるし、凄く自由にソロを弾く場合もあるし。それはレコーディングでも様々ですけど、基本的には楽器に関して言えばふと出てきたメロディだったり、そういうものは凄く良いなと思うし大事にしていますね。

――歌に関してもインプロビゼーション的に出てきたものを?

 歌は考えないと出てこないです。初めて楽器を手にしたのが祖母からウクレレをプレゼントされた3歳頃なんですが、父がギターをやっていたので楽器は常に生活の中にあるものでしたし、僕も小さい頃から家に帰ってきたらすぐに楽器を弾いてました。今でもそういう感覚ですね。そういった部分で楽器は自分の一部という感覚なんですけど、歌に関してはずっとフロントマンになるということは一切考えていなくて、例えばサポートをするとか、作曲をするとか、スタジオミュージシャンだったりとか。そういう仕事に就くと思っていました。

――歌うきっかけは何が?

 『ホノルルフェスティバル』という、ハワイではけっこう大きいお祭りがあるんですけど、そのイメージソングを歌入りで作って欲しいとオファーを頂いたのがきっかけでした。19歳くらいだったんですけど、プロデューサーが「歌った方がいい。歌わないと金にならないよ」って(笑)。でも歌うことは自分にとって凄く勇気が要ることだったし、今でも楽器のように自由には操れない部分ではありますね。

――歌い始めてから10年が経ちますが、始めた当時に比べてコントロールはできてきている感覚はありますか?

 そうですね。当時は音痴でしたしね(笑)。歌に関しては全然自信がなかったので。ミュージシャンであっても、自分がシンガーソングライターだという意識を持つにはけっこう時間がかかりました。自分を「シンガー」だと感じたことがなかったですから。周りから言われたりすることによって自分も受け入れるようになってきて。今ではそれがライフツールのひとつとなっているので、当時を振り返ると良いきっかけになったと思います。

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