the pillows・山中さわお「想像を上回った」結成30周年記念映画は人との縁
INTERVIEW

the pillows・山中さわお「想像を上回った」結成30周年記念映画は人との縁


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年09月13日

読了時間:約15分

「自分らしく幸せになろうよ」というメッセージ

the pillows・山中さわお

――今作の演技で特に意識した点はありますか?

 僕は本当に自分が言いそうなことしかできないというか、一種類の演技しかできない。原案は僕なので、自分のセリフは僕が作ったものが多いです。あと、監督は「一字一句、毎回一緒ではなくていい」と言ってくださって、だいぶ助けられました。祐介の師匠(虻川塁)役の岡田義徳さんと絡むシーンがけっこう多くて、彼は凄く相手をリラックスさせるのが上手いんです。もともとthe pillowsが好きでいてくれたというのもあるし、カメラが回る前から普通に喋って虻川役の雰囲気のまま芝居に突入するんです。最後の祐介が楽屋に謝りに来たときの「君の最近の写真、見たよ」というセリフは、あまり僕が言わなそうな言葉で、台本通りにやったんです。でも「君の写真見た。最近のやつ」、これだったら言いやすいんです。

――普段の山中さんの口調で、ということですね。

 そうやれば良かったんだけど、そこはまだ撮影が始まったばかりだったから、そういう発想もなく何回も上手くいかなくて…そこも「岡田さんがポンと肩を叩いたら芝居に入って」という感じになったんです。岡田さんと普通に話をしていて、そこから急にポンと叩いて、一連の流れで「君の最近の写真、見たよ」というシーンが自然にできたんです。天音君は繊細な演技が凄く上手くて大ファンになりましたけど、彼は僕にずっと緊張している役なんです。

――それは映画を観ていて凄く伝わってきました。

 そうですよね? だから緊張している人として僕と接しているので、それが上手過ぎて僕がリラックスできないんですよ(笑)。芝居以外では普通に「さわおさん、the pillowsの曲ってこうなんですか?」という風に接してくれるんですけど、芝居が始まると緊張した演技になるので。岡田さんはああいう役だったので僕の緊張を解くサプリメントとしてやってくれていました。

――そういった心の動きの裏話があるのですね。祐介役がTHE BOHEMIANS撮影のチャンスを得て、山中さんにダメ出しを食らって怒られるシーンでは緊張感が凄く伝わってきました。

 僕はあんなに怒ったりはしないんですよ(笑)。だから、監督に「僕、こんなに怒らないですよ?」と言ったんです。あんなに怒鳴るようなことはしないので「できるかな…」って言っていたら、「そこはマックスで行ってくれ」と言われて「わかりました」と。ただ、さっき言った「君の最近の写真、見たよ」というシーンよりは全然やりやすかったです。僕の先輩の(怒髪天のボーカル)増子さんが観てくれて、「凄い良かったけど、あのシーンはディスプロモーションじゃない?」って言われて(笑)。

――後に祐介をちゃんと認めるシーンがあったので大丈夫かと思います(笑)。スカッとしたシーンでした。

 「絶対お前のこと許さねえからな!」というときもありますけどね(笑)。

――祐介が同期の西小路健から「なんなら仕事あげるよ」という感じのスタンスで名刺をもらって、その後に名刺を握りつぶすシーンがありましたね。そこで「Sleepy Head(30th version)」~「ハイブリッド レインボウ(30th version)」という怒涛の展開には心掴まれました。

 僕も「ハイブリッド レインボウ」が流れるシーンが一番好きです。

――そこから祐介は“王様”になっていくような感じでしょうか?

 ちょっと一皮むけるところですよね。大人になるというか。“自分らしさ”と“エゴ”との振り分け、境界線というか、そこは生きて行くうえで凄く難しいことだけど大事なことだと思います。その境界線を見つけたうえでの“王様になれ”という言葉なので。

――凄く腑に落ちました。

 “どう自分を幸せにするか”ということだと思うんです。“王様になれ”というのは言葉として強いので、こういうタイトルになっていますけど、「自分らしく幸せになろうよ」というメッセージなので、それには自分の脳内革命が必要というか。

――正に、「ハイブリッド レインボウ」が流れる展開は自分に革命が起こったシーンかと。

 そうですね。「威張って生きて行け」という、傍若無人になろうという意味ではないので。

――オクイシュージ監督自ら演じる大将役のセリフで「人間なんて不完全だ。だから色んな感情が芽生えるんだろう?」というセリフが印象的でした。山中さんもそう思われますか?

 端的に言ってしまうと、全員が整形をして同じ美人になったらどうなるんだ? という話ですよね。みんな何かしらコンプレックスを抱えているでしょうし。恵まれた環境に生まれ育った人と、逆の人もいるので、そういう人からしたら「綺麗ごと言ってんじゃねえよ」となるけど、基本的にロックバンドが綺麗ごとを言わなくなったらおしまいなので。そうあるべきという理想はほど良くエッセンスとして織り交ぜていかないとなと思いました。

――後東ようこさん(ユカリ役)のセリフで「祐介君はいま、第何期?」というセリフも印象的でした。山中さん自身はいま、第何期ですか?

 僕はもう末期です(笑)。

――そんなことは(笑)。今回30周年で映画という新たなアプローチがあったので、今後も更なる展開に期待しています。改めて今の気持ちを聞かせて下さい。

the pillows・山中さわお

 自分の期待を大きく上回った出来事が今まで3つありました。1つは、15周年にトリビュートアルバムを出してもらったこと。2つ目は、全箇所ソールドアウトのアメリカツアーです。これも自分の想像をはるかに超えた出来事でした。そして3つ目は20周年の武道館公演が10分で即完売したこと。この3つはありえないことだったんだけど、4つ目がやっと来たなというところです。自分の映画を作るということが実現するとは…最初はMVの延長線上みたいなのになると思っていたんですけど、色んな人のおかげでどんどん人が集まってきてくれて、本当に想像をはるかに上回る映画になったのでびっくりしました。

――30周年記念の今作は、ご自身の期待を大きく上回った出来事の一つなのですね。

 「そんなことも自分に起きるなんて」と、思いました。

――最後に、10月17日におこなわれる結成30周年記念ライブに向けての意気込みを。

 想像で言うと、オリンピックに出て金メダルを獲りたいというような気合いが入っています。ステージに上がって降りるまで、理想的な自分でいたいというか。だから非常に燃えています。「楽しみにしている」というようなニュアンスではなく、「やりきりたい」という思いです。

(おわり)

作品情報

『王様になれ オリジナルサウンドトラック』
9月4日発売 KICS-3841 定価3000円+税

【アーティスト】
the pillows
山中さわお
TERU・JIRO(GLAY)
ホリエアツシ(ストレイテナー)

<収録曲>
1 祐介のテーマ(必然的出会い)[Instrumental] :by yamanaka sawao
2 LITTLE BUSTERS[Live] :by the pillows
3 I think I can by :the pillows
4 RUNNERS HIGH :by the pillows
5 MY FOOT by the :pillows
6 ONE LIFE by the :pillows
7 I know you :by the pillows
8 Grandma pics[Instrumental] :by yamanaka sawao
9 Funny Bunny :by the pillows
10 ゆかりのテーマ(宛先のない手紙)[Instrumental] :by yamanaka sawao
11 Melancholy again[Instrumental] :by yamanaka sawao
12 ストレンジ カメレオン[Live] :by ホリエアツシ(ストレイテナー)
13 スケアクロウ[Live] :by TERU・JIRO(GLAY)
14 ゆかりのテーマ(悲しい決意)[Instrumental] :by yamanaka sawao
15 Sleepy Head(30th version) :by the pillows
16 ハイブリッド レインボウ(30th version) :by the pillows
17 Early morning[Instrumental] :by yamanaka sawao
18 どこにもない世界 :by the pillows
19 祐介のテーマ(出来損ないの覚悟)[Instrumental] :by yamanaka sawao
20 この世の果てまで[Live] :by the pillows
21 王様になれ(30th version) :by the pillows

All songs by yamanaka sawao
※M-1,8,10,11,14,17,19はインストゥルメンタル

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