松本まりか

 松本まりかが4月30日、本多劇場で上演された、小泉今日子主演舞台『向こうの果て』のアフタートークにゲスト出演した。本作の主人公・池松律子を、ドラマ版では松本、舞台版では小泉が演じている。松本は、演じる小泉の姿を見て「お芝居が大人。私にはないものだと思いました」と衝撃を受けたと明かした。

 松本まりかが、連続ドラマ初主演を務める「WOWOWオリジナルドラマ向こうの果て」。本作は、ドラマ・舞台・小説の3つのコンテンツで展開されるオリジナルシナリオの連動プロジェクト。舞台版は、4月23日より下北沢・本多劇場で上演。舞台版を手掛ける劇団・ゴツプロ!は、2016年の旗揚げ以来、右肩上がりで動員数を伸ばしており、東京・大阪のみならず台湾でも公演を成功させるなど、今もっとも注目される劇団。旗揚げ以来、男性キャストのみで公演を行ってきたが、舞台版「向こうの果て」では初の女性キャストとして小泉今日子がゲスト出演することが決定しており、ドラマ版で松本まりかが演じる池松律子役を演じる。

 物語の舞台は、昭和60年の東京。痴情のもつれから、マンションの一室で放火殺人が発生する。逮捕された池松律子(松本まりか)と、死亡した小説家・君塚公平(松下洸平)は幼馴染だった。事件を担当する検事・津田口(柿澤勇人)の取り調べにも、どこか浮遊しているような態度でするりと躱していく律子。津田口は事件の真相を追って、これまでに律子と関わってきた人物達と接触し始める。次第に明らかになってくる律子の数奇な人生と、彼女を取り巻く男たちの姿。しかし、彼らが口々に証言する律子の印象は、すべてがバラバラであった。津田口は事件を深追いするほどに、徐々に律子という人物そのものに傾倒していく。やがて津田口は、律子と公平が幼少期を過ごした昭和30年代の青森・津軽に、この殺人事件の真相を解くカギがあると睨み始める。律子と公平の父親たちが津軽民謡の同じ一座で活動していたこと、そして、そこで起こったある事件。律子はなぜ公平を殺したのか。二人の過去に一体何があったのか。すべての真相が明らかになるとき、閉ざされていた因縁が解き放たれる。

 同公演は、4都府県への緊急事態宣言発令を受けて、4月25日以降の有観客公演を中止し、4月28日〜30日にauスマートパスプレミアムでマルチアングル生配信(無観客)を全3回実施することが決定。松本まりかが登壇する30日のアフタートークでは、舞台版で同じく池松律子役を演じる小泉今日子、ドラマ版・舞台版の脚本と小説を書き下ろした脚本家・竹田新、ゴツプロ!メンバーとともに、本作の魅力について語った。

 殺人容疑で逮捕される主人公・池松律子役をドラマ版で務めた松本は、舞台版について「物語は同じはずなのに、印象が全然違っていて、ビックリしました。衝撃的というか、オトナだな、と思いました。お芝居が大人。私にはないものだと思いました」と絶賛。舞台版で同役を演じた小泉については「法廷での最後の顔には鳥肌が立ちました。言葉も発していないけれど、あの表情は印象的。圧倒されました」とリスペクトし「ドラマ版の撮影の前に見たかったし、盗みかった!私がシリアスに言ったセリフを小泉さんは明るく言われたりしていて...。表現面での意外性はヒントにしたかったです」と悔しがっていた。

 一方、舞台版で池松律子を演じた小泉は「私もこれからドラマ版の放送を見て、同じように感じると思う」と松本の演じ方に興味津々。役作りについては「舞台だとセットも衣装も変わらないので、どうやって時間軸を表現すれば上手くいくのか、稽古をしながら舞台ならではの方法を考えました」と打ち明けた。松本に「鳥肌!」、竹田に「天女!」と言わしめた法廷での最後の表情について小泉は「舞台版はお客さんに解釈をゆだねるような終わり方だったので、どんな表情でいればいいのかなと。律子は計算をして演じるよりも、どこにも居場所がなくて浮遊している魂というイメージがありました」と振り返った。

 実は松本と小泉は、約10年前から知り合いだという。隠れ家的BARでの初対面を振り返り小泉は「(松本が)壁に寄り掛かったときに、背中で店の電気のスイッチをすべて消して真っ暗にした!」と忘れられないハプニングを明かし、松本は「...私そういうところある。(小泉と対面した驚きで)ひっ!ってなった途端にお店が真っ暗に...」と照れていた。

 ハプニングの初対面となったが、小泉はそれ以前にドラマ『六番目の小夜子』(2000年)での松本を見てから、長年注目していたという。「それを見てこの人いいなと。声も印象的で、気になった。それからは(松本が)出ているといつも見ていました。だから初めて会えた時は嬉しくて、友達になれるかなあと思った」と告白。それに松本は目を丸くして「私のことなんて認識されていないと思っていました...。なので当時は小泉さんと皆さんが明るく楽しそうにお酒を飲んでいる光景をジッと見ていました」とその他大勢の気分でいたという。

小泉今日子

 当時の小泉の印象について松本は「太陽のようにものすごく明るくて、吸引力もある。笑顔で楽しそうで、人間力を放出されていました。自分の中での女優としての一つの価値観をぶち壊された気がした」とありのままの小泉の魅力にゾッコン。しかし当の小泉は「お酒を飲んでいる時は明るいけれど、普段の姿は親友たちからは暗いと言われる。家では猫と同じくらいの静けさです」と照れ隠しのジョークで笑わせた。

 また前日の29日のアフタートークには、ドラマ版で検事・津田口を演じた柿澤勇人と、ドラマ版の監督を務めた内田英治が登壇。これまで何度かゴツプロ!の公演を観たことがあるという内田監督は「これまでのゴツプロ!の作品と、雰囲気が違う。ドラマ版のストーリーは、基本的には同じだけど、舞台でしか描かれていないところがある。結構重要な部分が違っているから、両方楽しめる」と語った。

松本まりか、小泉今日子ら

 舞台版は、主に津田口の視点で進んでいくため、舞台版で津田口を演じる泉知束のセリフ量の多さに圧倒されたという柿澤。ドラマ版でも取り調べのシーンは苦労したそうで「検事という仕事柄、律子に対して延々と質問をしていきます。(取り調べのシーンは)最後の3、4日で一気に撮影でしたし、対面で座ったままの芝居だったのが、面白かったけど大変でした。検事は本来、感情を出してはいけない職業で、どの程度感情を露わにするかは、内田監督とも打ち合わせました。舞台版では、また違った表現をされていて興味深かったです」と撮影時のエピソードを披露。

 また小泉今日子と松本まりかが演じた池松律子というキャラクターについて、内田監督は「演じる役者の個性が出る作品。ベースが一緒なので伝える物は同じでも、キャラクターに役者の個性が乗っかっているので、まったく違って見える」と、メディアミックスならではの面白さについて言及。最後に柿澤は「松本さん演じる律子の終盤のシーンは、研ぎ澄まされていてすごい芝居でした。すごい集中力と体力で挑む松本さんの芝居を受けて僕も圧倒されたので、皆さんにもとにかくご覧頂きたいです」とドラマ版を力強くアピールした。

 ドラマ版は5月14日からスタート。

松本まりか、小泉今日子ら

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