デビュー20周年イヤーに突入した宇多田ヒカルが6月27日に、7thアルバム『初恋』をリリースする。彼女のアルバム史上、初めての日本語によるアルバムタイトルであり、1999年に大ヒットし、今も多くのリスナーに愛されている1stアルバム『First Love』を想起させる、言わば“二度目の初恋”ともとれるアルバムタイトルとなった。そしてこのアルバムタイトルが指し示すように、20年目の彼女が放つ最新の音楽には、深淵なる才能によって更新された圧倒的なポピュラリティと、切なくも瑞々しい力強いピュアネスが満ちている。11月からは12年ぶりとなる全国ツアーもおこなう彼女に、全12曲に込めた想いを聞いた。【取材=内田正樹】

アルバムタイトルの意味

――アルバムタイトルの『初恋』は、ファーストアルバムの『First Love』を想起させますね。

 自分でも象徴的なアルバムタイトルになったと思います。もちろん、『First Love』と『初恋』の間にはいろいろな流れを経ているんですけど、その一方で、私としては特にスタンスを変えたつもりもなく、むしろデビューの頃から今まで、自分が歌っている主題は、基本的にあまり変わっていないと思っていて。そうした思いの中で、かつての『First Love』からの今回の『初恋』という対比が、自分の中ですごくしっくりときました。

――その主題をあらためて言葉にしていただくと?

 人は生きていく上で、最終的には他者との繋がりを求めますよね。浅いものから深いものまで。その関係性の築き方には誰しもモデルがあって、それはやっぱり最初の原体験というか、自分を産んでくれた人なり、面倒を見て、育ててくれた人たちとの関係だと思うんです。それがその人の一生の中で、おそらく多くの場合は無意識に作用して、他者との関係性に影響していく。その無意識の影響を紐解いては、「なぜなんだろう?」と追求したり、時には受け入れようとしたりする。それが私の歌詞の大体のテーマだと思うんです。

――「Play A Love Song」の歌詞の一部は、ご自身も出演されている清涼飲料水のCM撮影の際に訪れた雪原で浮かんだそうですね。

 雪の中にいたせいか、<長い冬が終わる瞬間>というのがぱっと浮かんで。前作の『Fantome』には喪に服しているような緊張感があったけれど、今回はそこからの雪解けというか、春が訪れたような生命力や開放感みたいな方向へ向かっていたので。これは今回の全ての曲に通じるんですが、<長い冬が終わる瞬間>というのは、それが良かろうが悪かろうが、“全てはいずれ終わる”という考えに繋がっていて。“諸行無常”という分かりやすい仏教の言葉があるけれど、それを理解して受け入れることというのは、そんなに簡単なことじゃないよねっていう。今回はそういう思いが詰まったアルバムでもあって。

――そう思いました。いくつもの“始まり”と“終わり”が詰まったアルバムだなって。

 そう感じてもらえたらうれしいです。例えば「初恋」という曲も、恋の始まりとも終わりともとれるように書いています。初恋というのは、それを自覚した瞬間から、それ以前の自分の終わりでもあるので。