声優でアーティストの三森すずこが6月27日に、4thアルバム『tone.』をリリース。声優として『ラブライブ!』など人気作に多数出演する一方で、キャラクターユニットμ’sのメンバーとして、2015年末の『NHK紅白歌合戦』に出演、東京ドームでもライブを開催した。アーティストとしては2013年にシングル「会いたいよ...会いたいよ!」でデビューし、今年で5周年を迎えた。この5年について「デビュー当時は1日目のカレーのように味が馴染んでいなかった」と振り返る彼女。「今は求められるところにどんどん行きたい」と、使命感のようなものさえ滲ませる。今作『tone.』には、HISASHI(GLAY)、志倉千代丸、みきとP、nano.RIPEなどのアーティストが楽曲を提供し、5年の活動を集大成したようなカラフルな作品になった。新たな曲調にもチャレンジした他、デビュー曲のアンサーソングも収録した本作に、彼女が込めた気持ちとは。【取材=榑林史章】

「海と空のヒミツ」は、園田海未と武之内空をほうふつ

通常盤

──アルバムのタイトル『tone.』には、どんな意味を込めたのですか?

 今回のアルバムは、GLAYのHISASHIさんや志倉千代丸さん、nano.RIPEさん、みきとPさんなど、多彩なアーティストのみなさんが楽曲を作って下さっていて。様々な曲調があるので、そうしたカラフルさを表しながら、音楽とも通じる言葉ということで『tone.』と付けました。

 最初は、『カメレオン姫』という謎のタイトルを考えていたんです(笑)。カメレオンは色が変わるし、擬態するところは声優という仕事とも通じると思って。でも、爬虫類が苦手な人もいるだろうからと、スタッフから即却下されました。

──アーティストの候補は、三森さんから提案されたのですか?

 それぞれの方について、私なりの「ぜひに!」という強い思いがありました。例えば、nano.RIPEさんは個人的に好きなバンドで、何年か前にイベント『Animelo Summer Live』(アニサマ)でご一緒させていただいた時に、好きすぎて話しかけられなかったくらいファンなんです。だからOKをいただいた時は、本当に嬉しかったです。

──nano.RIPEが提供した「海と空のヒミツ」は、壮快なバンドサウンドで、青のイメージと三森さんの持っている透明感が合っていますね。

 このバンドサウンドも歌詞も好きで、曲をいただいてから、レコーディングの日をとても心待ちにしていました。でもレコーディングの少し前に私がインフルエンザにかかってしまって当日は病み上がりで。喉が完全ではなくて、声がカスカスで苦しそうになってしまって…。めちゃめちゃ大好きで楽しみにしていたのに、私はなんてバカなんだ! と悔しかったんですけど、不幸中の幸いと言いますか。その悔しそうな声の感じが、逆に曲とマッチしていいということになって、結局その日に最後まで録ることになったのが、この曲です。

──実際に歌詞には<息がもう苦しくて>というフレーズが。

 実際にすごく苦しかったんです(笑)。聴くと、いつもとは声がまったく違うなって思いますけど、確かにすごく曲と合っていると思いますね。

──「海と空のヒミツ」というタイトルですけど、この曲にはどんな秘密が?

 秘密というわけではないのですが、私は声優として『ラブライブ!』の園田海未ちゃんと、『デジモンアドベンチャー tri.』の武之内空ちゃんを演じています。海未ちゃんも空ちゃんも、当時は必死になって自分なりに芝居の答えを出そうともがいた、私にとって大切なキャラクターの2人です。その2人を想像させる「海と空のヒミツ」というタイトルは、すごく自分の中では感じるものがありました。作詞をしてくださった、きみコさんに確認したわけではないので、狙ってそう書いてくださったのかは分かりませんけど、レコーディングではこの2人のことを想いながら歌っていました。

──志倉千代丸さん作詞作曲「革命のマスカレード」は、まるでファンタジーアニメの主題歌のような格好いい曲ですね。

 「どんなアニメだろう?」って、気になりますよね。それにアニソンっぽさもあるし、私のファンのみんなが絶対に好きそうな曲です。これまでの私の曲で言うと、「Light for Knight」や「Xenotopia」の流れにある曲で、その中で一番の大ボスみたいな雰囲気です。

 千代丸さんには、『アニサマ』の打ち上げの時に「曲を作ってください」と、すごく気軽に頼んでしまったのですが、まったく気軽ではない、しっかりとした千代丸ワールドで楽曲を作ってくださいました。千代丸さんから、「この曲はジャンヌダルクをモチーフにした、フランスの少女が革命を起こすまでのストーリーで…」と、物語が添えられていて。千代丸さんの熱い想いが感じられて、とても感動しました。

──また、HISASHIさんが作詞作曲した「比翼の鳥」は、EDMとロックがミックスされた、独特な格好良さのある曲ですね。

 HISASHIさんには、ボーカルディレクションもしていただいたのですが、最初に「函館に行ったことはありますか?」と聞かれて。ありますと話したら、「函館の暗く曇った空をイメージしている」とおっしゃっていて。「人生は、自分が思う通りにはなかなか上手くいかなくて、曇った空を見上げてまるで自分みたいだと思っている、ちょっと陰鬱とした曲です」と。

──サビは、シャウトするみたいに力強く歌っていて。今までの三森さんにはなかった歌い方ですね。

 いつもなら綺麗にまとまるように歌うんですけど、あえて裏声などは使わず、地声で絞り出すように歌ってほしいとアドバイスをいただきました。こういう歌い方は初めてで、「これで合っているのかな?」と、若干不安もありつつ手探りで歌ったのですが、新しい一面を引き出していただいた感覚です。ただ新しすぎて、みんながどう感じてくれるのか少しドキドキですけど。

──GLAYは、好きで聴いていて?

 はい。それに中学からの親友が、GLAYさんの大ファンなんです。彼女は毎回ライブに行って、CDも全部持っていて。学生時代は、いつも一緒に聴いていました。今回は、「断られてもいいので、ダメもとでオファーしてみて下さい」とスタッフにお願いしたので、OKをいただいた時は本当に嬉しかったです。HISASHIさんに作ってもらうことが決まった時は、真っ先に親友に電話して、「実はね…」って自慢しました(笑)。